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十六夜桜(通称;野良猫)と申します。
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小説 薄桜鬼『晦日の月』(土方×沖田)<R18指定 完全版>

2011-06-06 | 薄桜鬼 小説

今回のタイトル『晦日の月』は、その月の最後の日である晦日、その新月間近の見えるはずのない月であることから。あり得ないことを例えたものです。
次回が、最終回となります。(随想録などは残っているのですが、本編としては、最期です。)
なお、今回は、こちらのR18指定完全版と、R18に該当する部分を除いた通常版の2通りを用意しています。
18歳未満で、小説を読み進めていただいている方は、こちらではなく、通常版をご覧ください。。
通常版は、こちらのR18完全版から、濡れ場部分を除いたものになります。
その他に関しては、全く同じ内容になっています。
18歳以上の方で、濡れ場部分も読みたい!という方は、このまま、R18指定完全版本文へお進み下さい。
通常版に、濡れ場シーンが追加された、完全な状態でお楽しみいただけます。
いつもは、18指定は、読んでも読まなくてもOKな、随想録につっこんでいたのですが、ここだけは、どうしても本文につっこみたかったので、ややこしくて申し訳ないです。
↓↓↓
◆晦日の月◆ 土方×沖田(R18版)

総司と二人、花火をした翌日の早朝。
新しく作った、洋服に腕を通すのを、総司は、布団に寝転んだまま見ていた。
長かった髪はばっさりと切り落とす。
もったいなそうに総司が見ていたが、せっかく、動きやすい洋装にすることを決めたのだ。それで、髪だけ今まで通りというのもいまいち恰好がつかない。
とはいえ、いざ切ってみると、首筋がスースーして落ち着かないものだ。
それを見ていた総司がほんのり頬をそめてはにかむ。。
「わぁ、髪切ると、ちょっとだけ若く見えたりするんですね。」
「ちょっとだけってなんだよ」
それでも嬉しそうに、しげしげと見返してくるので、こっちのほうが恥ずかしくなった。

最期のジャケットに腕を通し、襟を正して総司の方を向く。
「どうだ?おかしくねえか?」
まだ、明け方近くで暗く、ともした蝋燭の炎に浮かび上がる姿を総司が起き上って見上げる。
ひとしきり見たあと、恥ずかしそうに、布団に顔をうずめた。
「なんだよ?どこかおかしいか?」
「おかしくは・・ないですけど・・・なんていうか・・・・」
布団に顔をうずめたまま、もごもごといいごもる。
なんなのだと腰をおろして総司に近づくと、総司が嫌だとさらに顔をかくす。
「おいっ」
「もう、だって、なんか、恥ずかしいんです!!」
追いこむように、布団をめくろうとすると、布団を離さないように、ぎゅっとつかんだまま、身を縮めて、必死のかな切り声をあげた。
「恥ずかしいって」
声が笑う。
「だって、なんか、いつもと違いすぎて・・・」
布団にうもれたくぐもった声がかえってくる。
「ふうん」
そう言われると、余計に追い詰めてみたくなる。
一度はなして、あきらめたふりをしてから、小さくなる総司を見下ろし、唇の端をあげると一気にその布団をひっぱってやると油断してゆるめていた手のひらから布団がはなれる。
あらわになった体を抱きよせて、はがいじめにする。
総司は必死で見ないように、向こうをむいて抵抗をするが、強引に、その顎をひっぱって自分の方へむけた。
おそるおそる半目をあけた総司と眼があう。一瞬見つめあったあと、その唇に、自分の唇を近づけようとする・・・と総司が声をあげた。
「駄目です、土方さん」
「それでもかまわず近づく」
「うつったらどうするんですか?」
そう言って、もう何年も口づけをかわしてはいなかった。あれだけ、交わりを求めていたはずの総司は、かたくなにそれを拒みつづけた。
総司の体が震える。それでも。
「うつらねぇよ。」
唇を重ねる。
総司のぬくもりを一つ一つたしかめるように、かたくなに閉じようとする唇をおしわってその奥へと舌を差し入れ、深く何度もからめとる。
「んんっ」
苦しそうに総司が艶めいた吐息をもらす。
たまりにたまった鬱憤をはきつくすかのように、求めあう。
力つきた総司の体を布団へとゆっくり下ろしながら唇をはなした。
総司の茶色い髪が白い布の上に、広がる。その双眸は悲しげにゆらめきながら、俺の顔を見ていた。
その姿を見下ろしながら、優しく、その髪をなでる。

まだ、時間はある。
着たばかりの洋服のボタンをはずし、胸元をはだける。
それを総司が凝視している。コクリと喉のなる音がした。
昨日まで、迷っていた。さっきまで迷っていた。
けれど、このまま去りたくはない。
昨日、心に決めたことがある。口づけをして、もしも総司がそれを求めたら、禁を解こうと。
もう、十分すぎるほど我慢をしたのだ。長くは無い道先。
今日、今この時が今生の別れになってもおかしくはなかった。
総司が先か、今行く戦場で、自分が先にいくのか。先は見えず、地が揺らぐ。
後悔して死にたくはない。後悔して死なせたくはない。

そして総司は、俺を求めた。拒みながらも、絡む舌は熱っぽく俺を求めた。
何一つ、肝心な事を語らぬ唇が、心が、啼いている。
声にならぬ、声。
3年以上触れぬままだった。
なのに、総司の身体は俺を覚えている。
襟をはだけ、その胸元に顔をうずめる。触れる唇の感触に、反応を返す。
布団に埋もれる総司の身体をうかして、帯を解く。
露わになった身体は、筋が落ち、みるからに痩せて、所々に骨が浮いて見える。
変わり果てた胸に咲く、紅いつぼみが、風に触れ、見つめる俺の双眸に恥じらってさらに色を染めていく。
求め、ふくらむその先に、舌をあて、優しく転がし、舐め上げる。
「・・ぅんん」
吸い上げる度に、歯でやんわりと噛むたびに、総司の口から甘い声が零れる。
あがる声に、総司が恥ずかしそうに、手の甲を口にあけ、歯をたてる。
「跡がつくから駄目だっていっただろう?」
抱き上げて総司の腕を離すと、ポツポツとついた歯型が、白い肌に紅く刻まれていた。
その歯型に一つ一つを数えるように、舌を這わせ、余裕の笑みを浮かべると、総司が顔を真っ赤にして、眼をそらす。
その部分を強く吸い上げると、紅い唇の跡が浮かぶ。
下半身に手をのばし、総司を揉みしだきながら、首や、胸元に唇を落とす。
ひとつ、二つ、花が咲く。
「んっぁあっ」
色を含んだ声が吐息とともに何度も漏れる。
膨らんだ中心を転がしながら、自分と向かい合わせんあるように、膝の上に座らせて、後ろのすぼまりに指をそえる。
総司の腰がうく。緊張したそこが、その指先を圧迫し、ヒクヒクと動くのがわかる。
初めて抱いた、あの日のように、侵入をはたすのには、根がいる。
それでも、そこは、はじめて抱いたあの日とは違う。遠い記憶でも、そこに入る感触を知っている。
開こうと、受け入れようと、葛藤を繰り返す。
それをうながすように、やんわりと、入口をなで、徐々に、ほぐして、進んでいく。
「あっ、ぁあっ」
総司のいいところを探り、指先でこする。ひときわ高い声をあげ、より自身が硬くなる。
「総司、俺のも触って・・」
自分の声も甘く、吐息をもらす。
耳元にかかる息に、総司が身をそばだてる。
「・・・っう」
おそるおそる総司が手をのばし、それに触れる。
硬く、大きくなったそれに、ビクリと手をふるわせて、戸惑う。
息を飲んでそれに触れ、ぎこちなく手を動かす。
久しぶりに触れたその手の感触は、想った以上に、刺激的で、心臓が波打つ。
「・・・っ」
放ってしまわないように、意識を調整し、総司が柔らかくほぐれるまで我慢をした。
後ろをいじられ、前を弄られてたまらす、総司が声をあげる。
「やっ・・・で・・るっぅ・・・」
突き上げる衝動に、声をあげて、総司がたまらずそれを放つ。
甘い衝動に、身をくねらせ、力を失い、俺の上に落ちてくる。
あいた腕で総司の体重をうけとめて、そっと、布団の上に、総司の身体を戻し、指をぬいて、見下ろす。
総司の濡れた唇が、うっすらと開いて、瞳がさまよい、俺を見る。
ゆっくりと、その足を上に持ち上げ、受け入れやすいような体制をとらせると、俺は、そこに、自分自身をあてがい、腰を進める。
「いっ。。。ぁ・・」
押し入る痛みに、総司が悶え、俺の腕をかく。
ギュッと目をつぶり、その痛みが去るのを待つ。
何度抱いても、総司はこんな感じで、入るその時には、こわごわと眼をつぶり、布団の上を泳ぐのだ。
耐えてギュッと結んだ手のひらを時、俺の背に回させて、首筋にふれる。
痛みを紛らわせるように、他の場所に快感を与え、その緊張が解けた好きに中へと進む。
はじめての時に、痛みを共有するために、髪をつかませたせいか、こういう時、よくその時と同じように俺の髪や、服をつかんだが、ばっさりと切り落とした長い黒髪はもうない。
ひと房くるんで、につつみ、総司の枕元に残るのみ。
つかむ場所をなくした手がさまよう。
短くなった黒い髪に指がからむ。
腰をあげ、ぐっと突き出し、負担を極力かけないように、腰を降る。
「ひっ」
と喉を鳴らし、そこが収縮し、俺を引き込む。
離すまいと強く閉じて、誘いこむ。
「総司っ・・・」
腰をすすめる度、総司の腕がぎゅっと俺の肩にしがみつく。
「土方さ・・」
「総司」
名を呼ぶ、互いに求めあい、むさぼる。
「総司・・」
「ぁっあぁぁつ!!」
やがて、総司がビクビクと痙攣し、再び持ち上がったそこから、白い液体を放つ。
その収縮にあわすように、俺もまた、総司の中に、それを吐き出す。
互いに、荒い息をはき、涙を流し、総司が天を仰ぐ。
離れようとする身体を離すまいと引き寄せて、総司の顔が、俺のかみにうもれ、声をあげる。
「好きです。。土方さんが・・好き・・」
「・・・・」
「・・・好き・・・だよ」
嗚咽のもれる押し出された声。
素直じゃない総司は、俺に対して好きとは言わない。一度も言ったことがない。
俺がどれだけ愛してると囁いても、その口からは、語らない。
どれだけ身体が反応しても認めない。
はじめて聞いた告白に、眼がしらが熱くなる。
「総司・・・」
顔があげれず、総司の身体にしがみつく。
やっとの思いで顔をあげる。
総司の茶色い髪が白い布の上に、広がり。その双眸は悲しげにゆらめきながら、俺の顔を見ていた。
その姿を見下ろしながら、優しく、その髪をなでる。
そして、もう一度その胸元へ顔をうずめて抱きしめる。
「愛しているよ、総司」
聞こえる心音に耳を傾けると、ドクンドクンと早い音が何度も何度も繰り返す。
生きている音がした。
総司は何もいわず、そのまま天井を見上げていた。


「副長、そろそろ、時間なのですが」
控え目に、外から、山崎が声をかけた。
山崎も、今日、新選組について、甲府へでることになっている。
俺は、体をおこすと、
「あぁ、すぐに行く」
そう短く返事をかえした。

もう一度だけ、総司の顔を名残惜しくみつめてから、乱れた服をなおし、出かける準備をする。
そうだ、と思いだし来るときに持ってきた風呂敷の中身をとりだす。
隊全員を洋装にかえる為に、総司の分も作らせていたのだった。
差し出された総司が、まだ布団に寝転がったまま、ちらりと横目で見て、訝しげに眉をよせる。
手の届くところへ持っていくと手をのばして受け取った。
「なんですか?これ」
「お前のぶんの洋服だよ、趣味合うのかどうかはわからねぇがな」
発注をかけるのに時間がなかった為、総司の好みを聞いてやることはできなかったから、似合いそうな色をみつくろって作らせた。気に入ってもらえるのかも謎だが、ここに置いてでるにしても、総司を璃隊させたわけではない。
そういう意味でも同じように作っておきたかったのだ。
「だって、僕、ついていけませんよ」
当然のように、総司は困った顔をしたが、それでも。
「そうだけどな、怪我や病気がよくなったら来るのだろう?その時のためにもな」
「あはは、いつになるかわからないのに」
「いいんだよ、その辺にでも飾って、早くいかなくちゃいけねぇなと思ったら、ちょっとはおとなしくしてられるだろ」
膨れたふりをして見せながら嬉しそうに洋服をつかんで笑った。
「あいかわらず、ひどいこといいますね」
「お前ほどじゃねぇってんだ」

◆◆◆

支度を終えて、外にでる。すでに用意を終えた山崎が門のそばで待機していた。
外は寒いから、見送りは良いといったが、総司は、結局、外まででてきた。
「必ず、直して、追ってこいよ」
「はい」
子供のように、無邪気に笑うその顔に、まだ消えぬ不安がゆらぐ。
「山崎、すまねぇが、ちょっとの間だけ、後ろを向いていてくれねぇか?」
「はぁ?」
いきなりふられた山崎が、何を言われたのか一瞬うけとめられずおかしな声をあげる。
俺が少し困り顔で笑いかけると、察して「失礼しました」とかしこまって後ろを向いた。
いつもなら、うつったらどうするのか、と山崎はおこっただろうが、さすがに今日は何も言わなかった。
はじめは、総司との恋仲を隠しているつもりだったが、すぐにばれた。
平隊士たちはどうかしらねぇが、長いこと一緒にいる幹部連中や、直接接することが多い山崎には、どうにも隠しきれなかったようで、かなり早い段階でばれ、原田や永倉あたりには、よくからかわれもした頃が懐かしい。
本当に、あまりにも環境がかわりすぎた。
山崎が後ろを向いたのを確認すると、今一歩、総司に歩み寄る。
自分よりも背の高い総司を見上げ、引き寄せると、軽くその唇に口づける。
「またな」
長くかわせば、別れがたくなるから。
そのまま、総司に背を向けて歩きだす。


と、不意に総司が大きな声をあげた。
「土方さんっ!!」
そして、走りよった総司は、振り向いた俺の懐に手をのばすと、腰にさげた刀をひきぬいた。
「おいっ」
とっさのことに、何をするのかと身構える。
総司はその刀を落とさないように、握り締め直し、首元で一度支え直すと、一気に、自分の髪をばっさりと切った。
いきなりのことに、俺も山崎も目を丸くする。
「洋装には、長髪は似合わないんでしょう?だから。」
そう言って、泣きそうな顔で笑うと、抜き取った刀と、その髪の束を差し出した。
「僕がいくまで、持っていて下さい。・・・僕の匂いだけじゃぁ、・・・満足できないんでしょうけど」
悪戯っぽい顔をして精一杯笑いながら、それでも、泣くことを必死で我慢しているような。
一緒に行きたいと言いたいが、言えない。一緒に来いと言ってやりたいが、言えない。それだけ、今の新選組の状況は、暗雲の中にある。
「そうだな」
優しく笑んで、その束をうけとった。
そして今度こそ、歩き出す。幾度となく、見送る総司が咳こむ音が聞こえたが、振り返らずに前へと進む。


その日、新選組は甲州鎮撫隊として進撃、その後、4月には流山に転陣するも、追い詰められ、逃げ場を失った。それを打破すべく、局長、近藤勇が投降することを決意する。
近藤さんに逃がされた俺を含む新選組は、一路、宇都宮をめざした。さらに、そこで負傷をおったことにより、傷の治るまで、身をかくすべく、会津へと向かうことになる。
一度崩れた道筋は、二度と修復されることはなく、ただ、前へ、北へ、進むしかなかった。

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