野良猫本舗~十六夜桜~

十六夜桜(通称;野良猫)と申します。
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小説 薄桜鬼『目前の高峰1-総司-』(土方×沖田 随想録)<R18指定>

2011-06-21 | 薄桜鬼 小説

土方×沖田 随想録『境界線』のその後のお話です。

境界線では、中途半端に終わってしまったことを気にしている沖田さんの奮闘??なお話。
沖田さん目線でお送りします。
R18指定とさせていただきますので、18歳未満の方はご遠慮下さい。
また、そういった表現が苦手な方も、お気をつけ下さい。
↓↓↓
◆目前の高峰 −総司−◆(土方×沖田 散らない花 随想録)

「はあ」
湯船につかり、足を抱えて深いため息をつく。
数日たって、もうすっかり消えてしまったが、身体の所々にあった土方さんが触れた跡、その場所を覚えている。
そこにふれた指や唇の感触を思い出すと、ドキリと心臓が跳ねた。

はじめて一線を越えたことは、嬉しい。
けれど、最期までできなかったということがひっかかる。
土方さんは「最初から飛ばす必要はない」って言ってくれたけど、でも。
ブクブクと泡を吐きながら、顔を御湯の中にうずめる。

男同士でつながる場所。
おそるおそる、自分の指を、土方さんが言っていた場所へを動かしてみる。
その指先が、自分の秘部にふれる。
堅く閉ざしたすぼまりが、ヒクリと動いた。
『こんなところに・・・』
今も手のひらに残る土方さんの硬い感触がよみがえると、自然と顔が紅くなる。
『あんなのを・・』
でも、受け入れれないと、きっと先には進めない。
土方さんのことだから、ずっと我慢して待っててくれるんだろうけど、そんなのは嫌すぎる。
だって、そうしたら、土方さんばっかり、つらい思いをするってことだよね。
土方さんの心音、とても速かった。
あんなに、ドキドキしてたんだ。僕を見て。
こうして、考えているだけで僕の心臓も早くなる。
もう一度、そこにふれる。おそるおそる指先に力を入れる。
「・・っ」
指の感覚に、身ぶるいする。
入れないと、と思うほど、ギュッとそこは、入口を閉ざした。
随分と長い間、そんなことを繰り返した。
けれど、いっこうに、その指は、そこから中へは入らない。
自分でそこへ押し入ろうとすることに躊躇してしまうのもまた、進まない原因だった。

◆◆◆

気がつくと、風呂場にいたはずなのに、よく知っている部屋にいた。
幾度となく、目にしたことのある天井のシミが目にはいる。
「気がついたか?」
先ほどまで脇の机で書きものをしていたらしい土方さんが覗き込む。
土方さんの部屋だった。
いまいち、状況がつかめずに、ぼんやりとその顔をながめた。
整った容姿に、斬れ長の目があきれた表情で見下ろす。
「えっと・・・」
そして、おでこの上にのせられていた手ぬぐいをとりあげると、横の桶にそれをいれて、がさがさとかき混ぜる。
桶に入った氷の音が、静かな部屋に響いた。
ギュッと絞り、パンパンと振って広げ、丁寧に折りたたむと、再び僕のおでこの上にのせる。

「ったく、風呂場でのぼせて気を失うまでいったい何をしてやがったんだ」
あまり記憶がない。思案をぐるぐる巡らせている間に、どうやら、そのまま、湯だってしまったらしい。
「こら、総司、聞いてるのか?こっちは心臓が止まるかと思ったんだぞ」
答えずに、ふわふわと考えていたら、土方さんが怒りながら、僕の頬に手をやる。
「・・土方さんが運んでくれたんですか?」
「あぁ、帰ってひとっ風呂あびようと思って言ってみたらお前がぐったりして、湯船にうもれかけてたからな。何をしてたんだか知らねぇが、下手すりゃ溺れてしまうところだったんだぞ」
「・・・ごめんなさい」
いつもとはまた違う剣幕に、つい素直に謝る。
一人で、担ぎあげて、身体も拭いて着物まで着せて、ここまで運んでくれたのだろうか。

そう思いながら布団から出した腕にまとわる着物をみて、あれっ?と思う。
自分の着物じゃない。濃い墨色の生地に、ひかえめな柄のはいった着物。
『これ、土方さんのだ』
そういえば、新しい着物を用意するのが面倒で、着の身着のまま行ったのだった。
好きな人の着物、なんとはなしに、嬉しい気持ちになる。
両の袂を手のひらで握り、自分の顔にすりよせて微笑む。
きっと、風呂上りに着ようと持ってきていたものだろう。
綺麗に洗われたそれから、別に土方さんの香りがそうするわけでもないけれど、幸せな気持ちになる。
「なんだ、気持ち悪いやつだな」
土方さんがいぶかしげに眉間に皺をよせる。
「土方さんの」
「あぁ、てめぇの着替えが見つからなかったからな。風呂に入るなら、着替えくらい用意していけってんだよ。・・・ってなんだ嬉しそうな顔しやがって」
そう言って笑うと、土方さんがくしゃくしゃと僕の頭をなでる。
「だって、なんだか、土方さんの着物着てると、土方さんに抱きしめられてるみたいな気がするじゃないですか」
フフフと笑いながら着物の袖から顔を出して言う。
すると、土方さんの顔がちょっとだけ紅く染まる。
「バカが」
フイッと顔をそむけたと思ったら、横に転がり、僕の身体をはがいじめにしてくる。
「わっ、なんですか土方さん!!」
ギュウギュウと締め付ける土方さんの行動に抗議すると、僕の耳たぶに、土方さんの唇が触れる。

「自分の着物に嫉妬してんだ、悪いか?!」

背筋がゾクリとするほど、甘い声で耳元に囁く。
すぐそこであたる吐息に、心臓が鳴く。
どうも、僕は、耳や首筋が弱いらしい。
目を閉じて、首をすくねて耐えてみるが、うまくいかない。

ワタワタと腕の中でもがくと悪戯っぽい顔でニヤリと土方さんが笑う。
この間のことで、すっかりどこが弱いのか掌握されてしまっている。
わかってて、そこを責めてくるのだ。
必死で耐えようとしていると土方さんが囁く。
「もう、大丈夫なのか?」
何が?と聞きかけて、口をつぐむ。
僕の身体を気づかってくれての言葉だ。
コクリとうなづくと、「そうかっ」と優しい声が帰って来た。
やっぱり、ちゃんとやりたい・・・最期まで。
「土方さん」
「ん?」
神妙な声に、首をかしげながら、後ろから覗き込み、僕の顔を見る。
その続きを言おうと身構えていると、土方さんがふっと一瞬笑って、もう一度、強く抱きしめる。
「総司、また、抱いてもいいか?」
言わなくてもわかっているというふうに微笑む。
どうやったって勝てない。この人は、嫌というほど、僕を知っている。
知っていて、だから、僕よりも先に言う。
そして、開きかけたその唇に、唇を重ねる。
「・・ふっ」
しっとりとした柔らかい感触。いまだにどうしたらいいのかわからず、ただされるがままに口をあける。
土方さんの舌が、僕の唇をなぞり、口の中に侵入して、舌に絡む。
もう、それだけで意識を手放してしまいたくなる。
一度起き上り、僕を抱き起こして胸元に抱き寄せると、後ろから、顔を落とし、もう一度口づけた。僕は、この人としかしたことがないけど、多分、この人の接吻は、旨いのだと思う。
昔は幾度となく女の人と寝たりもしていたのだろう、ときおり香る知らない女性の香りにムッとしたこともあった。
ただ、その頃はまだ、僕には近藤さんしか見えてなくて、別に気にもしなかった。
それでも何故か、心の端で、それが気にかかった。
本人は認めたがらないけど、ねっから商人にできているこの人は、誰かれなしに、愛想よく話すせいか、はたまた、この容貌のせいなのか、えらく女性のうけがよかった。
いつだったかは、足しげく通ってくる女性がいて、あまりに鼻についたから、その女性に嫌がらせをしたことがある。
その女性は逃げるように去っていって二度とこなくなった。
何につけてもすぐ怒る土方さんだからその時も怒るだろうと思っていたのに、どういうわけかすっきりしたような顔をして、結局何も言わなかった。
あの時は、へんな人だと思ったけど、今思えば、この人は、あの時から、あれよりもっとずっと前から、僕のことを見ていた。
待って、待って、あの出来事でもなければ、今もまだ想いを抱えたまま、ただ、僕を見ていたのだろうと思う。

昔のことだ。今、この人は、僕を抱き、僕はこの人の腕の中にいる。
ただこの、無駄に経験知の高い人に、自分が追いついていけないのが悔しいと思う。

土方さんが、僕の着物に手をかけると、身体が固まる。
過呼吸にでもなりそうなくらい、心臓の音が早くなる。
「総司、緊張しすぎだ」
その様子をみて、笑う。
「・・・だって」
へんなものだ。気にしてない時は、目の前で服をぬぐのも、こうして抱きしめられるのも平気なのに、意識すると、とたんに恥ずかしくなる。
しかもなんだかこの間よりも、土方さんの触れる指先が、自分の身体にすいついてくるような気がした。
いつもみたいに、強がりを言おうと思うのに、全く思い浮かばない。
恥ずかしいという思いと同時に、身体中がそれを求めて、期待してしまっていた。
するりと侵入した手のひらが、じかに肌をすべる。

「あっ・・」
紅に染まる突起に一度ふれ、離された手のひらの代わりに、指先がそれをつまむ。
柔らかい果実にでもふれるように、優しく。
つかんだかと思えば、また、ふわりと、その感覚がはなれ、触れるか触れないかの微妙な場所でとまり、そしてまたそれに触れる。
「や・・・あっ」
離れるたび、もっと、触れて欲しいと、より紅くそまり、硬くつきだす。
いったい、僕はどうなのだろう。
誰でもこんなに、反応をするものなのだろうか。
人を抱いたこともなければ、抱かれたことだって、まだ1回しかない。
土方さんしか知らない。
土方さんは、僕以外にも、他の人を知っているから、へんな反応をしてしまっていたらどうしようと不安になる。
だからつい、漏れそうな声を必死で抑える。
でも、抑えきれずに漏れて行く。手の甲で口をふさぐと、その手を強く噛んだ。
<続>

 

 


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