芥川賞作家・町田康が執筆した、江戸時代が舞台の人気小説を映画化。規格外の能力を持つがいいかげんな侍である主人公・掛十之進には綾野剛がふんし、自らがまいた種で起こる騒動に翻弄(ほんろう)されるさまが描かれる。『謝罪の王様』などの宮藤官九郎が脚本を手掛け、『シャニダールの花』で綾野と組んだ石井岳龍監督がメガホンを取る。共演は、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、渋川清彦、國村隼、豊川悦司ら。
あらすじ:江戸時代とある街道で、自らを「超人的剣客」と豪語する浪人・掛十之進(綾野剛)が突然、巡礼の物乞いを斬り捨てる。彼は、この者たちがこの地に恐るべき災いをもたらすと言い放つ。黒和藩の家老・内藤は、掛の語る新興宗教「腹ふり党」の脅威を利用して政敵を陥れようと企むのだが、・・・。
<感想>江戸時代を舞台に、隠密ミッションをめぐって繰り広げられる10人の男たちの腹の探り合いと、1人の女をめぐる恋の行方、そして謎の猿将軍が明かす驚がくの真実を描き出している。とここまで面白そうになってましたが、違うんですね。最後には、主人公の十之進さえも“騙される”という予想外の展開と、江戸時代でありながら現代風の口調で紡がれる滑稽な会話劇に続き、後半では猿と人間による壮絶な大合戦が壮絶であります。
「シン・ゴジラ」の特技統括を務めた特撮監督の尾上克郎が手がけた合戦シーンは、CGで、多い時では1カットに1億匹の猿、3000人の人間が映り込むことがあるという。
それに超人的剣客にして適当なプータロー侍の主人公・掛十之進を、綾野剛が演じているのが最高でした。共演には北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏ら豪華実力派俳優陣が集結しており、さらに物語の鍵を握る猿将軍・大臼延珍(デウスノブウズ)を、永瀬正敏が特殊メイクで演じていた。
主人公の掛をはじめ、様々な濃いキャラクターたちが縦横無尽に活躍し、人と猿と腹ふり党の合戦があり、と非常に欲張った映画だと豪語する石井監督の言葉通り、映画の仕上がりは前代未聞の作品に出来上がっていた。
“将軍の格好をした猿”の名前は、大臼延珍(デウス・ノブウズ)。メイクアップアーティスト・JIRO氏による特殊メイクを施されて同役を演じた永瀬正敏。なおかつナレーションをしていたことは、ネタバレ禁止って何故?
これが実は宮藤官九郎の独自の工夫であるらしく、大きな意味があると言うのだ。しかしだ、そんなに巧く機能していないようだった。と言うか、パンクがオリジナルのロックの活気リバイバル戦略として、チンピラさを意識的に演じたメタなものなのだと言うことと、この物語全体が登場人物を突き放した語り手に語られていないように見えたから。
浅野忠信さん演じる茶山半郎の初登場シーンでは、全部浅野さんのアドリブだそうです。顔になにやらいろいろと線を描き、まるでキチガイの風体ですから。黒子2人は、黒人の俳優さんみたいな、でも流暢に日本語でセリフを喋るし、その横では染谷将太の侍が、冷静にセリフを言っているし、そして最後には裸になり、腹ふり党信者になり踊り出し、本当にカオス状態。訳が分からない。
それでも全編に渡って、フトドキでふざけていて、不真面目であるけれど、狂った態度に狂った騒動があちこちに、世界の現実や世間のデタラメが透けて見えるもんだから、もう面白いったらなかった。
宮藤官九郎の脚本も原作にノリノリであり、とんでもなく自由奔放であった。だから演技陣の真面目な怪演もワクワクとさせるし、各キャラのなりふりも超リアリズムで度肝を抜いているのだ。天下分け目のヤラセの大暴走に、猿まで加わっての大迷走。それに、北川景子のキャラも珍しくぶっ飛んでいて、最後には親の敵討ちを決めていて良かった。
新興宗教とやらは、ふんどし一丁で、ハラボテの腹に丸を書いて、何も考えずにただただ酒を飲み遊び呆けて、腰ふりダンスで踊れば楽しいと言う世の中では、財政も困窮しているし、どうやって食べて暮らしていけるのだろう。
それもこれも、内藤と犬猿の仲にある次席家老・大浦主膳を失脚させるために利用しようと考えた策略。その計らいは見事に成功…その後、“腹ふり党”が既に存在しないという事実を知った内藤は、黒和藩に転がり込んだ掛(綾野剛)にとんでもない事を命じる。
嘘のでっち上げ騒動が、政略に不満を持つ民衆たちの大騒動となり、始終がつかなってしまうという話なのだ。それもこれも、殿様が我が藩の一大事ゆえにと、自分がその猿と民衆の合戦に出てゆくものだから、殿様だろうがこてんぱんにやられて殺されてしまうのだ。こんなのってあるか、呆れてモノも言えなく、バカバカしくさえ思う。観ていて、殺伐としていて、楽しくないのだ。
だから、そんなに観客には好評でもなく客数が少ないし、余りと言うか笑いどころ満載と言うほどでもなく、内容的には白けていましたね。
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