パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

LIFE!   ★★★★

2014年03月25日 | アクション映画ーラ行
凡庸で空想癖のある主人公が未知なる土地への旅を経て変化していくさまを、ベン・スティラー監督・主演で描くヒューマンドラマ。夢を諦め、写真雑誌の写真管理部で働く地味な中年男性が、ひょんなことからニューヨークをたち世界中を巡る旅を繰り広げる様子をファンタジックに映し出す。物語の鍵を握るカメラマン役で『ミルク』などのショーン・ペン、主人公の母親役で『愛と追憶の日々』などのシャーリー・マクレーンが共演。壮大なビジュアルや、主人公のたどる奇跡のような旅と人生に目頭が熱くなる。

<感想>空想好きで不器用な中年男が、人生を切り開く冒険を通じて輝き出す姿を描く。人間の可能性の大きさを謳う物語はもちろん、主人公の脳内で展開される空想と現実の出来事をつないだ不思議な映像にも心を奪われます。
物語は、ウォルター・ミティはニューヨークの伝統ある雑誌「LIFE」の写真管理部で働いている。不器用な性格ゆえに人付き合いが苦手で、思いを寄せる同僚の女性シェリルと会話もできない臆病者。ヒーローのような自分を空想することが、そんな現実を紛らわす唯一の方法だった。

デジタル化の波により、「LIFE」誌は休刊が決定。だが、最終号の表紙を飾る大事な写真のネガ行方不明になる。ウォルターは有名写真家ショーンから直接ネガの在り処を聞き出すことを決意する。冒険家でもある彼を追って、人生初の壮大な旅に乗り出す。

グリーンランドの極寒の海から、アイスランドの火山地帯へ。それはウォルターが空想で夢見ていた以上の、刺激に満ちた冒険だった。初めて見る景色、初めて出会う人との触れ合いの中で、彼は気付く。人生で最も大事なことをいつしか見失っていた自分に。
結局あと一歩でショーンには追いつけず、ウォルターは帰社をよぎなくされる。そこで待っていたのは、無情なリストラ宣告と、シェリルへの恋心の幕切れ。
だが、現実から逃げていたウォルターはもういなかった。あきらめない心が思いがけない奇跡を起こすのです。

現実をあきらめるように日々妄想にふけっていた主人公が、あり得んような冒険を通して人生の素晴らしさを見つけるというわけ。確かに彼は、出版社で写真管理をして働く地味な男だし、彼が飛び込む未知の世界はとんでもなく魅力的なんですね。
しかし、どんどん変わっていく彼の表情を見ていると、物語りの別の軸に心を動かされるのです。

雑誌「LIFE」の最終号の表紙を飾る写真のネガ25番が無いのだ。それを探すため、カメラマンのショーン・ペンを訪ね国境を超える。妄想かと疑うような信じがたい現実の危機を、離陸寸前のヘリに飛び乗るし、大海原を航行する船にヘリからダイブするも海へ落ちてしまうとか。山岳地帯では得意のスケボーを駆使してこれは見事だ。ヒマラヤで原住民の協力を得て登山など、自身の中に眠っていた判断力と身体能力で乗り越えていく。
肌で感じる体験に震えつつ、思わずこぼれた彼の笑顔に私たちは、ショーンがクールに証明したとおり、彼がつまらない日常においても高い理想を抱き仕事をしてきたことに気付きます。大海原や、雪山の絶景に圧倒され、ピュアなウォルターという男が笑った後に、何故か清清しい感動残る作品です。

ところが、ひょんなことからショーンに逢えるんですね。ユキヒョウを撮りたくてシャッター・チャンスをじっと待ってたんです。でも、このユキヒョウが雑誌「LIFE」の最終号の表紙を飾る写真ではなかったんです。SNSで自慢できる職業でなければ仕事に誇りを持てないと思っている私たちに、人生という名前の雑誌の最後の表紙が語りかけてくれる。これには思わず唸りましたね。原題は「ウォルター・ミティの秘密の生活」なんですが、断然、邦題の付け方が上手いと思いました。
原作は1947年にも「虹をつかむ男」として映画化された、ジェイムズ・サーバー著の短編。スピルバーグも再映画化に興味を示すほど愛された小説。それを、ベン・スティラーが監督、主演を務めたユーモラス&ファンタジックなヒューマンドラマである。
2014年劇場鑑賞作品・・・67  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング