レオナルド・ディカプリオと、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督がタッグを組んだ話題作。狩猟中に瀕死(ひんし)の重傷を負ったハンターが、自分を荒野に置き去りにした仲間に復讐(ふくしゅう)するため壮絶なサバイバルを繰り広げるさまを描く。主人公の宿敵には、『インセプション』でディカプリオと共演しているトム・ハーディ。オスカー常連のカメラマン、エマニュエル・ルベツキが自然光のみで撮り上げた臨場感あふれる映像にも注目。
あらすじ:アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。
<感想>2月に発表された第88回アカデミー賞3冠(主演男優賞、監督賞、撮影賞)に輝いた作品であります。レオナルド・ディカプリオが西部開拓期の伝説的な人物ヒュー・グラスに扮して、5度目のノミネートにして、悲願のアカデミー賞主演男優賞を初受賞した。なにはともあれ本当におめでとう。
“レヴェナント”とは黄泉国から戻った者という意味である。19世紀前半のアメリカ西部、ディカプリオが演じるのは、狩猟者たちも一団の道案内を務めるハンターのヒュー・グラスという男。
旅の途中で獰猛な灰色グマに襲われ、大ケガを負った彼は、トム・ハーディ扮する仲間の男の裏切りに遭い、最愛の息子を殺されたあげくに、極寒の地に置き去りにされてしまう。グラスは、瀕死の状態で未開拓地に置き去りにされながらも息を吹き返した男の、300キロに及ぶ復讐の旅を描いています。実話だというから驚く。
トム・ハーディが悪役に扮していて、最後のディカプリオとのくんずほぐれつの取っ組み合いの戦いが凄まじかった。斧に包丁のようなナイフで戦う。これが男の勝負だし、だが、復讐に燃えた心も対岸に見えるネイティヴ・アメリカンの姿を見つけて、フィッツジェラルドを引き渡すのだ。
冒頭のネイティヴ・アメリカンの襲撃シーンでは、森の中をカメラがダイナミックに動き回る超絶技巧の長回しショットが観られる。そして、主人公が灰色熊に襲われるシーンでは、背後から猛突進してきた熊が、巨体を覆い被せて爪を振りかざし、グラスが虫の息になるまでいたぶる様を驚異的な1カットで映像化して見せる迫力だ。始めはヘラジカを狙って森の中を彷徨いあるく主人公。冬で冬眠するはずの親熊と小熊の家族が、森で食べ物を探していたのだろう。そこへ、主人公が出くわすのだ。
とてもCGとは思えない熊のリアルさのみならず、主人公の喉を裂く容赦のない残虐さで、獣の獰猛さを表現している演出も圧巻である。
怨念の燃えたぎる復讐のストーリーを、ただのアクション・スリラーとしてではなく、スピリチュアルな“魂の探究”の旅路として描いているのだ。
CG全盛の時代にあって、殆どのシーンをロケで行い、しかも極寒の大自然の中、自然光のみで映し出された誌的な映像美、それにワイルドな自然の猛威など。そして、そんな過酷な現場にめげず、主人公の執念を体現したディカプリオのド根性の俳優魂で演じきった彼に相応しいアカデミー主演男優賞であった。
もう極寒の森の中へ置き去りにされた男が、灰色熊に襲われ瀕死の重傷を負いながらも、墓場として掘られた穴から這い出てくる人間の生きたいという本能が見られ、そのまま地面を這いつくばって前進する男、川で水を飲み、枯れ木の芽を探して食べ、獣の骨の隙間にある残り身を食べ飢えをしのぐのだ。
人間の生存本能への絶望的な肯定を描いた生身のドラマであり、途中では亡くなった妻や息子が出てくる幻覚、回想シーン、そして、馬に乗り追いかけられて崖から落下して気を失うも、極寒の中で寒さをしのぐために、死んだ馬の内臓を取り除き、その馬の腹の中へと裸で入る主人公。その他にも、氷つく川に投げ込まれて流され、泳ぎついたところで火を焚き身体を温める強靭な男。
苦しみ、哀しみ、憎しみ、息子への愛に復讐を誓った父親の野獣のような凄まじい生命力と精神力。157分という上映時間もあっと言う間に感じてしまった。くすんだブルーの氷の世界の美しさ、極寒の森の中を撮影したという素晴らしい墨絵のような映像美に見せられつつ、坂本龍一の音楽が控えめで落ち着いてていいのだ。風が吹く木々の音に、雪解けの川の流れる音、主人公の荒い呼吸の音で映画が終わるところも感慨深かった。
2016年劇場鑑賞作品・・・79映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。
<感想>2月に発表された第88回アカデミー賞3冠(主演男優賞、監督賞、撮影賞)に輝いた作品であります。レオナルド・ディカプリオが西部開拓期の伝説的な人物ヒュー・グラスに扮して、5度目のノミネートにして、悲願のアカデミー賞主演男優賞を初受賞した。なにはともあれ本当におめでとう。
“レヴェナント”とは黄泉国から戻った者という意味である。19世紀前半のアメリカ西部、ディカプリオが演じるのは、狩猟者たちも一団の道案内を務めるハンターのヒュー・グラスという男。
旅の途中で獰猛な灰色グマに襲われ、大ケガを負った彼は、トム・ハーディ扮する仲間の男の裏切りに遭い、最愛の息子を殺されたあげくに、極寒の地に置き去りにされてしまう。グラスは、瀕死の状態で未開拓地に置き去りにされながらも息を吹き返した男の、300キロに及ぶ復讐の旅を描いています。実話だというから驚く。
トム・ハーディが悪役に扮していて、最後のディカプリオとのくんずほぐれつの取っ組み合いの戦いが凄まじかった。斧に包丁のようなナイフで戦う。これが男の勝負だし、だが、復讐に燃えた心も対岸に見えるネイティヴ・アメリカンの姿を見つけて、フィッツジェラルドを引き渡すのだ。
冒頭のネイティヴ・アメリカンの襲撃シーンでは、森の中をカメラがダイナミックに動き回る超絶技巧の長回しショットが観られる。そして、主人公が灰色熊に襲われるシーンでは、背後から猛突進してきた熊が、巨体を覆い被せて爪を振りかざし、グラスが虫の息になるまでいたぶる様を驚異的な1カットで映像化して見せる迫力だ。始めはヘラジカを狙って森の中を彷徨いあるく主人公。冬で冬眠するはずの親熊と小熊の家族が、森で食べ物を探していたのだろう。そこへ、主人公が出くわすのだ。
とてもCGとは思えない熊のリアルさのみならず、主人公の喉を裂く容赦のない残虐さで、獣の獰猛さを表現している演出も圧巻である。
怨念の燃えたぎる復讐のストーリーを、ただのアクション・スリラーとしてではなく、スピリチュアルな“魂の探究”の旅路として描いているのだ。
CG全盛の時代にあって、殆どのシーンをロケで行い、しかも極寒の大自然の中、自然光のみで映し出された誌的な映像美、それにワイルドな自然の猛威など。そして、そんな過酷な現場にめげず、主人公の執念を体現したディカプリオのド根性の俳優魂で演じきった彼に相応しいアカデミー主演男優賞であった。
もう極寒の森の中へ置き去りにされた男が、灰色熊に襲われ瀕死の重傷を負いながらも、墓場として掘られた穴から這い出てくる人間の生きたいという本能が見られ、そのまま地面を這いつくばって前進する男、川で水を飲み、枯れ木の芽を探して食べ、獣の骨の隙間にある残り身を食べ飢えをしのぐのだ。
人間の生存本能への絶望的な肯定を描いた生身のドラマであり、途中では亡くなった妻や息子が出てくる幻覚、回想シーン、そして、馬に乗り追いかけられて崖から落下して気を失うも、極寒の中で寒さをしのぐために、死んだ馬の内臓を取り除き、その馬の腹の中へと裸で入る主人公。その他にも、氷つく川に投げ込まれて流され、泳ぎついたところで火を焚き身体を温める強靭な男。
苦しみ、哀しみ、憎しみ、息子への愛に復讐を誓った父親の野獣のような凄まじい生命力と精神力。157分という上映時間もあっと言う間に感じてしまった。くすんだブルーの氷の世界の美しさ、極寒の森の中を撮影したという素晴らしい墨絵のような映像美に見せられつつ、坂本龍一の音楽が控えめで落ち着いてていいのだ。風が吹く木々の音に、雪解けの川の流れる音、主人公の荒い呼吸の音で映画が終わるところも感慨深かった。
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