パピとママ映画のblog

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死霊のはらわた ★★★

2013年05月08日 | さ行の映画
『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ監督が1981年に放ち、スプラッター・ブームの火付け役となった名作ホラー『死霊のはらわた』をリメイク。人里離れた山奥の小屋を訪れた若者たちが、次々と仲間にとりつく邪悪な死霊と壮絶な戦いを繰り広げる。ライミが脚本、『スカイ・ハイ』のブルース・キャンベルが製作と、オリジナル版メンバーがスタッフで参加。監督は、新鋭フェデ・アルバレスを抜てき。よりダーク度を増したビジュアルや凄惨(せいさん)度を増した恐怖描写にも注目。

あらすじ:うっそうとした山奥にたたずむ小屋を訪れた、ミア(ジェーン・レヴィ)をはじめとする5人の若者。小屋で「死者の書」という不気味な書物を見つけた彼らは、はからずも邪悪な死霊をよみがえらせてしまう。解き放たれた死霊はミアにとりつき、若者たちに襲い掛かる。おぞましい姿に変ぼうしたミアと戦いながら山から脱出しようとする若者たちだが、死霊の力によって行く手を阻まれてしまう。助けを呼ぶこともできぬまま、一人、また一人と、彼らは死霊にとりつかれ……。

<感想>このテのジャンルのリメイクは、決して前作を超えられないというジンクスがあるが、オリジナルを見ていなかったのでかなりよく出来ていると思う。地面を這って疾走するカメラや、ヘビのように少女に絡みつく蔦や木の枝など、かつての名シーンがそのままに踏襲され、元ネタを意識して、あえて省いたり改変したりすることなく、エッセンスを巧みに取り入れているというのだ。もっともサム・ライミがプロデューサーなのだから、当然といえば当然だが、それにしても監督がウルグアイ出身とは面白い。これでは、早速帰ったらレンタルして観なくてはなるまい。

お話はドラッグ中毒から立ち直ろうとする兄妹のドラマを物語っており、この兄妹のドラマ作りのシリアスさが、今の時代性にハマっていると思う。またオリジナルへのリスペクトから、現場の特殊メイクにこだわった、作りものを実際に切り刻むスプラッター映像の感触は、CGよりも痛みが伝わってくる。
映像の中で、注射器でブスブスと刺される顔面、電動肉切り包丁での恐怖、くぎ打ち機、チェンソー、カッターで裂き割られる舌といったゴア描写の痛感、それに汚泥、汚水、吐しゃ物など。
赤黒い血にまみれてのたうち回る不快指数は、観ている方が遥に上で、それによって良くも悪くもリメイクであることを薄くさせてしまってはいる。悪魔たちの解放、憑依、封印のプロセスを細かく定義を提示するなど、なにかと丁寧な姿勢も好印象である。
今作では、オリジナルでの男の主人公から、ミアのジェーン・レヴィをはじめとした死霊に憑かれた女たちに重心が移っていること。自傷に中毒していくような感覚と、身体がバラバラになって助けを求めるアンバランスさが恐怖を煽る。

しかし、学者肌の不器用な高校教師のエリックが、地下室で、兄のデヴィッドを助けたのに、汚水に沈めるとはなんたること。だからなのか、ラストで小屋を焼き払おうとすると、死んだはずのエリックが悪魔となって襲ってくる。このクライマックスにかけてのゴア描写の執拗な押しには唖然とする。観客が仰け反りそうになる痛みを、登場人物が自身の手で下さなければ事態を打開できない状況を、次々とこれでもかと用意する徹底した悪趣味ぶり。ですが、刃物が肉を裂く触感を、丹念に伝えようとするホラーを心得た姿勢はよかったです。
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