甲状腺ガンに冒され一度は声を失いながらも、日本での手術と厳しいリハビリの末に再びステージに立った実在の韓国人テノール歌手ベー・チェチョルの奇跡の復活劇を映画化した日韓合作ヒューマン・ドラマ。主演は「オールド・ボーイ」「ノートに眠った願いごと」のユ・ジテと「あしたのジョー」「セイジ -陸の魚-」の伊勢谷友介。監督は「ミッドナイトFM」のキム・サンマン。
あらすじ:オペラ歌手のベー・チェチョルは、“アジア史上、最高のテノール”と称され、本場ヨーロッパで大活躍していた。そんなチェチョルの歌声に魅了された日本人音楽プロデューサーの沢田幸司は、彼の日本公演の主役を務めて欲しいと声をかけて来る。日本公演は大成功となり、その打ち上げで沢田はこれまでの辛い人生を音楽に支えられてきたことをチェチョルに語り、二人は固い絆で結ばれた。
その後、ヨーロッパに戻ったチェチョルを、甲状腺ガンという突然の悲劇が襲う。手術により、なんとか一命は取り留めたものの、声帯の片方の神経が切れたため、2度と歌えなくなってしまう。劇場との契約は切られ、絶望に暮れるチェチョル。沢田はそんな彼を見捨てることなく懸命に支え、ついに声帯を回復させられるかもしれない一人の日本人医師を見つけ出す。
<感想>病により超えを失ってしまった才能豊かな韓国人のオペラ歌手が、ある日本人音楽プロデューサーと共に再起の道をたどる実話を基にした物語である。NHKドキュメンタリーなぞ数々のテレビ番組で取り上げられた実話だが、日韓合作、監督はこれが3作目となるキム・サンマン。事実を基にした奇跡と感動の物語、という時点でそういう映画が好きな人は飛び付くだろうし、苦手な人は背を向けるだろうが、ただしこの映画は、後者であっても惹きつけてしまう強い吸引力を持っていると思う。
何故なら、監督の力や、ユ・ジテの演技力(口パクでの歌を歌うシーン)によるところも大きいが、もっとも効いているのは、「るろうに剣心京都大火編/伝説の最期編」など話題作への出演が続き、今後も「新宿スワン」や「ジョーカー・ゲーム」などが控えている伊勢谷友介、この人の圧倒的な存在感だろう。
全編、英語の台詞が多い中で、流暢に英語での台詞に驚き、ストーリー自体はすごくオーソドックスで実話を基にした感動のドラマで、だから正直初めは期待してなかった。にもかかわらず、ラストでまんまと号泣させられましたね。
実は、冒頭でオペラの「トゥーランドット=誰も寝てはならぬ」を声高らかに聞かされ、もうそれだけで感動してしまって、物語りの展開はその主人公がそのままとんとん拍子に階段を駆け上がるわけではなく、甲状腺ガンという突然の悲劇が襲う。
もう自分の歌手生命は断たれ、絶望的になり生きていく気力もなく茫然自失の時に、日本人である音楽プロデューサー沢田が勇気づけて手術を進め、再起をかけるという話。まぁ本質的には人が感動する法則っていうのは、どの映画もそう大差ないわけで、後はそこに加わってくるのは、観ているひとの知識量というか、人生に対してある程度リテラシーを持っているかどうかですよね。
以前見た「ワン チャンス」のポール・ポッツもそうでしたが、この主人公が「神から与えられた声」で、そのままのオペラを続けていられればもっと有名になっていただろうに。その声はまさに天からの授かりものといっても過言ではなく、一緒に脇役として歌っていた女性のソプラノ歌手のジェラシーというか、その意地悪な言動に傷つき、歌手としての人生を諦めるべきかの判断に悩む主人公。その主人公を支える妻も元オペラ歌手で、夫の病気で働こうと合唱団のテストを受けに行くも、その女性オペラ歌手にガラスのコップを2階から落とされ、歌えなくなってしまう。
この映画の主人公が経てきた葛藤っていうのは、みんな想像つかないんじゃないかと思えてくる。そこで観る人が共感に至れるところまで、演出がひっぱっていけていれば、感動に辿り着けると思います。
それに、この作品が社会的に影響を与えているってことは事実で、今の社会を見つめた時、誰が観ても哀しい国家間の争いごとがずっと続いていること。そのきっかけとなっていることは、もの凄く根深かったりするという中で、じゃあ、我々一般人は何をするべきなのか、それを取り持っていくことはみんなが力合わせてやらなければと。
政府同志だといろいろな思惑が重なって、正しいと思えることを実現するのが非常に難しい。国家間の摩擦を軽減していくことは、まず個人が繋がることで、今生きている個人の役目だと思うのです。そのきっかけになれることが、本作であり、意味のある作品たるゆえんだと思いましたね。
沢田の秘書となり一緒に活動する美咲に、北乃キイちゃんが活躍していました。音楽プロデューサーの沢田自身も、会社の代表で企業としての利益の面において、かなりネガティブな状況にあるにもかかわらず、利益よりも志を優先した。
沢田は、オペラという文化の中で、ベー・チェチョルの才能を見出し、その才能を愛し、彼の人生そのものも愛することによって、自分も何かを得ているような気がするんです。
「人を助けることによって、自分が一番救われる」それで、最終的に結果がついてきたっていうのは、それを直観的に信じて行動出来た人間だからこそだと思うんですよ。ベー・チェチョルが手術の後で、沢田のコンサートの出演を拒み町を彷徨い続け、最後の舞台で、「アメイジング・グレイス」を歌うシーンは、観ていても胸が熱くなり、応援したくなりますから。
2014年劇場鑑賞作品・・・318 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:オペラ歌手のベー・チェチョルは、“アジア史上、最高のテノール”と称され、本場ヨーロッパで大活躍していた。そんなチェチョルの歌声に魅了された日本人音楽プロデューサーの沢田幸司は、彼の日本公演の主役を務めて欲しいと声をかけて来る。日本公演は大成功となり、その打ち上げで沢田はこれまでの辛い人生を音楽に支えられてきたことをチェチョルに語り、二人は固い絆で結ばれた。
その後、ヨーロッパに戻ったチェチョルを、甲状腺ガンという突然の悲劇が襲う。手術により、なんとか一命は取り留めたものの、声帯の片方の神経が切れたため、2度と歌えなくなってしまう。劇場との契約は切られ、絶望に暮れるチェチョル。沢田はそんな彼を見捨てることなく懸命に支え、ついに声帯を回復させられるかもしれない一人の日本人医師を見つけ出す。
<感想>病により超えを失ってしまった才能豊かな韓国人のオペラ歌手が、ある日本人音楽プロデューサーと共に再起の道をたどる実話を基にした物語である。NHKドキュメンタリーなぞ数々のテレビ番組で取り上げられた実話だが、日韓合作、監督はこれが3作目となるキム・サンマン。事実を基にした奇跡と感動の物語、という時点でそういう映画が好きな人は飛び付くだろうし、苦手な人は背を向けるだろうが、ただしこの映画は、後者であっても惹きつけてしまう強い吸引力を持っていると思う。
何故なら、監督の力や、ユ・ジテの演技力(口パクでの歌を歌うシーン)によるところも大きいが、もっとも効いているのは、「るろうに剣心京都大火編/伝説の最期編」など話題作への出演が続き、今後も「新宿スワン」や「ジョーカー・ゲーム」などが控えている伊勢谷友介、この人の圧倒的な存在感だろう。
全編、英語の台詞が多い中で、流暢に英語での台詞に驚き、ストーリー自体はすごくオーソドックスで実話を基にした感動のドラマで、だから正直初めは期待してなかった。にもかかわらず、ラストでまんまと号泣させられましたね。
実は、冒頭でオペラの「トゥーランドット=誰も寝てはならぬ」を声高らかに聞かされ、もうそれだけで感動してしまって、物語りの展開はその主人公がそのままとんとん拍子に階段を駆け上がるわけではなく、甲状腺ガンという突然の悲劇が襲う。
もう自分の歌手生命は断たれ、絶望的になり生きていく気力もなく茫然自失の時に、日本人である音楽プロデューサー沢田が勇気づけて手術を進め、再起をかけるという話。まぁ本質的には人が感動する法則っていうのは、どの映画もそう大差ないわけで、後はそこに加わってくるのは、観ているひとの知識量というか、人生に対してある程度リテラシーを持っているかどうかですよね。
以前見た「ワン チャンス」のポール・ポッツもそうでしたが、この主人公が「神から与えられた声」で、そのままのオペラを続けていられればもっと有名になっていただろうに。その声はまさに天からの授かりものといっても過言ではなく、一緒に脇役として歌っていた女性のソプラノ歌手のジェラシーというか、その意地悪な言動に傷つき、歌手としての人生を諦めるべきかの判断に悩む主人公。その主人公を支える妻も元オペラ歌手で、夫の病気で働こうと合唱団のテストを受けに行くも、その女性オペラ歌手にガラスのコップを2階から落とされ、歌えなくなってしまう。
この映画の主人公が経てきた葛藤っていうのは、みんな想像つかないんじゃないかと思えてくる。そこで観る人が共感に至れるところまで、演出がひっぱっていけていれば、感動に辿り着けると思います。
それに、この作品が社会的に影響を与えているってことは事実で、今の社会を見つめた時、誰が観ても哀しい国家間の争いごとがずっと続いていること。そのきっかけとなっていることは、もの凄く根深かったりするという中で、じゃあ、我々一般人は何をするべきなのか、それを取り持っていくことはみんなが力合わせてやらなければと。
政府同志だといろいろな思惑が重なって、正しいと思えることを実現するのが非常に難しい。国家間の摩擦を軽減していくことは、まず個人が繋がることで、今生きている個人の役目だと思うのです。そのきっかけになれることが、本作であり、意味のある作品たるゆえんだと思いましたね。
沢田の秘書となり一緒に活動する美咲に、北乃キイちゃんが活躍していました。音楽プロデューサーの沢田自身も、会社の代表で企業としての利益の面において、かなりネガティブな状況にあるにもかかわらず、利益よりも志を優先した。
沢田は、オペラという文化の中で、ベー・チェチョルの才能を見出し、その才能を愛し、彼の人生そのものも愛することによって、自分も何かを得ているような気がするんです。
「人を助けることによって、自分が一番救われる」それで、最終的に結果がついてきたっていうのは、それを直観的に信じて行動出来た人間だからこそだと思うんですよ。ベー・チェチョルが手術の後で、沢田のコンサートの出演を拒み町を彷徨い続け、最後の舞台で、「アメイジング・グレイス」を歌うシーンは、観ていても胸が熱くなり、応援したくなりますから。
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