「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガンと「シカゴ」のジョン・C・ライリーが、伝説のお笑いコンビ“ローレル&ハーディ”の晩年を演じる伝記ドラマ。すでに過去の人となっていた2人が、英国で新人芸人並みの過酷なホール巡業を行っていた史実を基に、衝突を繰り返しながらも強い絆で結ばれた2人の友情の軌跡をユーモラスかつ哀愁あふれる筆致で綴る。監督は「フィルス」のジョン・S・ベアード。
あらすじ:1953年。スタン・ローレルとオリバー・ハーディは、“ローレル&ハーディ”としてハリウッドで一時代を築いた伝説のお笑いコンビ。しかしすっかり落ち目となり、2人は再起を期してイギリスでホール・ツアーを敢行することに。ところが用意されたホテルは2流で、小さなホールにもかかわらず客席はガラガラ。かつての栄光には程遠い試練が続く。それでもめげずにイギリス中を巡っていくスタンとオリバー。次第に観客も増え始め、ロンドンでの公演が決まったのを機に、アメリカに残してきたお互いの妻を呼び寄せる。少しずつ明るい兆しが見え始めたかに思われたローレル&ハーディだったが…。
<感想>アメリカのやせのスタン・ローレルと、でぶのオリヴァー・ハーディのコメディアンの2人組は、1927年から1950年まで、多くの長短編のサイレント映画に出演し、日本では極楽コンビとして親しまれ、トーキーの時代に入ってもなお歌って踊り、1950年代まで人気を保ったという。
ですが、失礼ながらこのコンビの名前は知らなかった。チャップリンの時代なんですね、彼と一緒に仕事をしたことがあると言うから、凄い人たちなんだと思いましたね。
お笑いコメディの王道というべきもので、日本ではドリフのコントや、コント55号の欽ちゃんたち、その後のお笑いコンビたちが、彼らのネタを繰り返し真似をして笑わせていたようにも思えました。とにかく、シンプルでありコメディの基本に乗っ取り、殆どが思った通りの流れにしかならない優等生コンビの2人でした。
客席がまばらな小さな劇場での舞台でも、家の2つのドアから交互に2人が、出たり入ったりするだけで、そのタイミングのずれでとめどなく笑わせる2人の定番のギャグの楽しさに笑い、感動する。あたかも一世紀前の時代にタイムスリップしたみたいな気分にとらわれた。
そして、痩せのローレルが舞台のネタの脚本をすべて書き、興行スタッフたちとの交渉などもすべて行っていることが分かる。一方のデブのハーディは、競馬が好きで、ロンドンの地下鉄ストランド駅から出て来ると、スポーツ新聞を買って目を通し、自分の買った馬券が外れたのを知りののしるといった具合。
ローレル&ハーディにそっくりの雰囲気を持ったスティーヴ・クーガンとジョン・C/ライリーがハリウッドのスタジオに登場し、6分間1カットで喜劇的な芝居をするオープニングには感動しました。
舞台はイギリスに移り、すでに過去の人となりかけた2人の感情を追っていくので、興味深く、新鮮でもあった。おまけに駅が舞台のコントも登場するし、そこで旅を絡められるのではないかという想いが頭をよぎる。
ですが、それは主演2人が織りなす絶妙なコンビぶりを眺めているうちに、途中からホテルの中へと、フロントでベルを取り合うシーンには、本当にニヤリとさせられた。
それから妻たちを、ニューヨークからロンドンに呼んでの、アイルランド公演の大成功の模様が描かれ観ていてほっとした。その妻たちを、タイプの違うシャーリー・ヘンダーソンとニナ・アリアンダが、闘志むき出しに珍コンビを競演するのも良かった。
しかしながら、デブのハーディが心臓発作を起こし、舞台に出るのは無理だということになるも、ローレルは他の誰ともコンビを組みたくないと言い張る。だから、ハーディをアメリカへ帰して公演は中止ということになるのだが。
病院でのハーディは、今までの息の合った相棒ローレルの気持ちを良く知っているので、最後の力を振り絞りながら、最後の舞台に立つのだった。
このシーンは観ていて、何時倒れるのかとハラハラしていたが、最後までやり遂げるハーディのプロ根性に涙せずにはいられない。
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