goo blog サービス終了のお知らせ 

パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

アムール、愛の法廷★★★

2017年08月28日 | アクション映画ーア行
幼い娘を殺した罪に問われた若い男の裁判を背景に、陪審員の中にかつての想い人を見つけた堅物の裁判長が、彼女との思いがけない再会を通じて淡い恋心を再燃させるとともに、冷徹で杓子定規だった彼の考え方に思わぬ変化が生じていくさまをユーモラスに描いた大人のラブ・コメディ。主演は「危険なプロット」のファブリス・ルキーニ、共演に「アフター・ウェディング」のシセ・バベット・クヌッセン。監督は「恋愛小説ができるまで」「大統領の料理人」のクリスチャン・ヴァンサン。
あらすじ:フランス北部のサントメール。重罪裁判所に務めるミシェル・ラシーヌは、厳格で人間味に乏しい判決で知られ、いつも10年以上の刑を下すため、陰では“10年判事”と呼ばれて畏れられていた。ある日、娘を蹴り殺した罪に問われた若い父親の裁判に出廷したミシェルは、一人の陪審員に目をとめる。ディット・ロランサン=コトレという名のその女性は、なんとミシェルが6年前に秘かな想いを寄せた相手だった。それはミシェルにとって、人生で唯一の本当の愛だったのだが…。

<感想>「大人のラブストーリー」と「法廷劇」という、2つのプロットを巧みに絡み合せたストーリー展開。ミシェル役をフランスの名優ファブリス・ルキーニが演じており、この俳優さんは、2014年に『ボヴァリー夫人とパン屋』など、日本でも知られてる私の大好きな俳優。ベネチア映画祭で男優賞受賞。
「王様のためのホログラム」に出演したシセ・バベット・クヌッセンがヒロインのディット役を務めています。彼女は2016年にトム・ハンクス主演の『インフェルノ』では、エリザベス・シンスキー役で出演している、自然な美しさと演技が魅力のデンマークを代表する女優です。「大統領の料理人」のクリスチャン・バンサン監督が熟年の淡い恋を描いた法廷劇であり、今作は第75回ベネチア国際映画祭で脚本賞を受賞しています。

見せ場は、娘を殴り殺した若い父親の裁判の法廷劇なんですが、それよりも、裁判官のミシェルが離婚調停中であり、ホテルで一人暮らしをしている。風邪もひいていて微熱もあり咳もするし、本当は休みたいのだがそうもいかない。憂鬱な気候でもあり、晴れ渡って澄み切った青空を拝みたいところだが、そうもいかない。だから、法廷でも苦虫を噛んだように、いつものように段取りよく進めていく。
ところが、陪審員の中に昔本当に惚れた女性のディットがいるではないか。それも相変わらず綺麗でまだまだ若いし、颯爽としたスタイル満点で、職業は医者である。だから、体が重く辛いのに彼女に会いたさに法廷に出て来る。
判事は彼だけではないので、代わりの人に頼んでもいいのに、そうはいかない。久しぶりに彼女に会い、胸がときめき、自分は現在離婚間近だし、こんな機会はめったにないチャンスだ。という話の展開で、どうみても難しい法廷劇というよりも、中年のラブストーリー劇になっていた。

日本なら、幼い娘を父親がセッカンして乱暴し、死なせてしまったという殺人事件。母親は、もう一人小さな生まれたばかりの子供もおり、死なせてしまった娘のことを構ってやれずに、娘を見た時にはもう死んでいたというのだから。どうみても、父親の過失致死ではなく、子供を好きではなく、経済的にも低所得者であり、殴って死なせてしまったことは重罪であり、20年くらいは刑務所に入れるくらいの有罪判決だと思っていた。

ですが、陪審員たちは、昼食時間に近所のレストランでみんなと相談しながら会食をしている。人によっては無罪という人のいるが、どうみても有罪であるという陪審員が多かった。
そして裁判官のミシェルは、どうしてもディットに会いたいのだ。昔入院していた時に、彼女が手を握ってくれたことを自分に気があると誤解をしていて、それで、まだ自分にその気持ちがあればデートをしてと思っていた。

ところが、麻酔医のディットは、彼だけでなく患者の全員に対して、手を握り患者の不安を除くためにそうした分けで、好きだとか愛していたとかはなかったのだ。
ところが、自分の彼女に対する思いが、被告の若い父親の態度を変えるようにと、必死に諭します。無罪を申し立てて、頑なな態度を取り続けている被告の若い父親には、どんな真実があり、そのようなことが起きたのだろうか?、また母親も、夫の肩を持ち無罪を願っている。
裁判官のミシェルは、証人たちの証言にある、事柄が食い違って合わないことを見つけ出し、無罪を主張する被告が自分の息子の亡き命を受け留めてきたかを想像していきます。
堅物と言われていた彼が、片思いに焦がれた女性との再会をきっかけに、少しずつ他人の胸中を理解していく、それは彼女や被告人ばかりでなく、自身の内面を見つめていくところが見どころなんですね。

今までミシェルは、感情よりも事実しか目に入れなかったのかも知れないのだ。地位や立場のある男性が、それすらを忘れてしまい、恋する中年男性になっていく過程は、観ていてチャーミングなおじさんと感じられるのではないでしょうか。
さすがに、法廷での2人の絡み合う視線で、心の揺れを見せ、観客の思いもくすぐります。監督は、これは人間の心境の変化というだけではなく、誰の心にもあるだろう優しさに、気ずかされたからだと思います。映像の中で、ときおり映し出させる法廷画家の絵が、また上手いんですね。これも良かったです。

もちろん、裁判の結果は無罪であり、最後は二人でレストランでデートですが、彼女も離婚をしており、娘を連れての同伴のデートになりました。
だいぶ前に鑑賞したのに、新作映画ばかりレビューに手間取り、遅れてしまいました。それが、9月初めにWOWOWで放送されると分かり、急いで更新しなければと、相成りました。
2017年劇場鑑賞作品・・・194アクション・アドベンチャーランキング