引きこもりのロックスターが、父親の死を知り、代わりに元ナチス親衛隊の男を探してアメリカ横断の旅に出る。出演は「ツリー・オブ・ライフ」のショーン・ペン、「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」のフランシス・マクドーマンド。監督は「イル・ディーヴォ」でカンヌ国際映画祭審査員賞受賞のパオロ・ソレンティーノ。
あらすじ:人気絶頂の最中に表舞台を去り、アイルランドの首都ダブリンの広大な邸宅で妻とともに穏やかな日々を過ごしていたロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)。付き合いがあるのは、近所のロック少女メアリー(イヴ・ヒューソン)などごく少数だった。そんな彼の元にある日、故郷アメリカから30年以上も会っていない父親が危篤との報せが届く。
飛行機嫌いのシャイアンは、船でニューヨークに戻ったものの、臨終には間に合わなかった。しかし、強制収容所を経験したユダヤ人の父が、当時ナチス親衛隊の一員だった男を探していたことを知ると、父に代わってその男を探す旅に出る……。(作品資料より)
<感想>だいぶ前に鑑賞。ショーン・ペンの女装姿、アフロヘアーみたいなモップ頭の中年男。あれってカツラかな、まっ白く塗りたくった顔に真っ赤な口紅と、アイシャドウまで入れて、ヨタヨタ歩きでこれはと思ったが、確かにロック界の元スーパースターという役どころという設定ではこういうの有りかもですね。
決してゲイ、オカマではない。れっきとした奥さん役のフランシス・マクドーマンドがいるのだ。元ロックスターとはいえ、落ちぶれた暮らしはしていない。株で儲けているからか豪邸暮らしで、この男は何を訴えたいのだろうか、最初のうちはまるで見当もつかないのだ。
全体像が見えてくるのは中盤にさしかかった頃で、30年以上も音信不通だった老父が危篤となり、その父に会うためにアイルランドからアメリカへの旅へとカメラは追っていく。
いわゆるロードムービーなのだが、その旅の目的はかなりシリアスなのだ。かつてアウシュビッツの強制収容所に入れられていたユダヤ人の父親が、そこを管理していたナチスの残党に復讐しようと画策、亡くなったその父に代わって息子が復讐の刃をむくという。
そこから明らかになる父と息子の確執、そして父親の秘密を知った息子の無念の思い。互いに心に深い傷を抱えた父子は、いかにして和解に至ったのか。
これは単なるナチスへの復讐譚では、もちろんないのだ。そこで描かれるのは、父と息子のいびつな関係の修復であり、互いに心の傷を乗り越えた新しい関係の絆でもある。
と同時に、それらの人間関係が、時の移り変わりと共に確実に変化していくことの恐ろしさ。つまり時間と歴史への深い眼差しに、このイタリア人の新鋭監督パオロ・ソレンティーノの、鋭い観察の目を見る思いがする。
監督の前作「イル・ディーヴォ」に惚れ込んだショーン・ペンが主演を務め、美しい映像と、滑らかな語り口、ショーン・ペンが奇抜な外見とは合わない、甲高い声で囁くように話し、落ち目のロッカー役で新たな魅力を発揮している。もちろんギター演奏も披露している。
そしてデーヴィッド・バーンの心に染み入る音楽に、それもこれもソレンティーノ監督の卓越した演出力あってこそなのだが。
2012年劇場鑑賞作品・・・86映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
あらすじ:人気絶頂の最中に表舞台を去り、アイルランドの首都ダブリンの広大な邸宅で妻とともに穏やかな日々を過ごしていたロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)。付き合いがあるのは、近所のロック少女メアリー(イヴ・ヒューソン)などごく少数だった。そんな彼の元にある日、故郷アメリカから30年以上も会っていない父親が危篤との報せが届く。
飛行機嫌いのシャイアンは、船でニューヨークに戻ったものの、臨終には間に合わなかった。しかし、強制収容所を経験したユダヤ人の父が、当時ナチス親衛隊の一員だった男を探していたことを知ると、父に代わってその男を探す旅に出る……。(作品資料より)
<感想>だいぶ前に鑑賞。ショーン・ペンの女装姿、アフロヘアーみたいなモップ頭の中年男。あれってカツラかな、まっ白く塗りたくった顔に真っ赤な口紅と、アイシャドウまで入れて、ヨタヨタ歩きでこれはと思ったが、確かにロック界の元スーパースターという役どころという設定ではこういうの有りかもですね。
決してゲイ、オカマではない。れっきとした奥さん役のフランシス・マクドーマンドがいるのだ。元ロックスターとはいえ、落ちぶれた暮らしはしていない。株で儲けているからか豪邸暮らしで、この男は何を訴えたいのだろうか、最初のうちはまるで見当もつかないのだ。
全体像が見えてくるのは中盤にさしかかった頃で、30年以上も音信不通だった老父が危篤となり、その父に会うためにアイルランドからアメリカへの旅へとカメラは追っていく。
いわゆるロードムービーなのだが、その旅の目的はかなりシリアスなのだ。かつてアウシュビッツの強制収容所に入れられていたユダヤ人の父親が、そこを管理していたナチスの残党に復讐しようと画策、亡くなったその父に代わって息子が復讐の刃をむくという。
そこから明らかになる父と息子の確執、そして父親の秘密を知った息子の無念の思い。互いに心に深い傷を抱えた父子は、いかにして和解に至ったのか。
これは単なるナチスへの復讐譚では、もちろんないのだ。そこで描かれるのは、父と息子のいびつな関係の修復であり、互いに心の傷を乗り越えた新しい関係の絆でもある。
と同時に、それらの人間関係が、時の移り変わりと共に確実に変化していくことの恐ろしさ。つまり時間と歴史への深い眼差しに、このイタリア人の新鋭監督パオロ・ソレンティーノの、鋭い観察の目を見る思いがする。
監督の前作「イル・ディーヴォ」に惚れ込んだショーン・ペンが主演を務め、美しい映像と、滑らかな語り口、ショーン・ペンが奇抜な外見とは合わない、甲高い声で囁くように話し、落ち目のロッカー役で新たな魅力を発揮している。もちろんギター演奏も披露している。
そしてデーヴィッド・バーンの心に染み入る音楽に、それもこれもソレンティーノ監督の卓越した演出力あってこそなのだが。
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