「駅 STATION」「鉄道員」など数々の名作を送り出してきた降旗康男監督と高倉健のタッグ20作目となるヒューマンドラマ。愛した妻の想いを知るため、妻との記憶を巡る旅に出る男の道のりを描く。共演は「春との旅」の田中裕子、「アンフェア the answer」の佐藤浩市、「ステキな金縛り」の草なぎ剛、「愛と誠」の余貴美子、「映画 ホタルノヒカリ」の綾瀬はるか。
あらすじ:北陸のある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉健)のもとに、ある日、亡き妻・洋子が遺した絵手紙が届く。そこには“故郷の海を訪れ、散骨して欲しい”との想いが記されていた。妻の故郷を目指すなかで出会う多くの人々。彼らと心を通わせ、彼らの家族や夫婦の悩みや思いに触れていくうちに蘇る洋子との心温かくも何気ない日常の記憶の数々。様々な想いを胸に目的の地に辿り着いた英二は、遺言に従い散骨する。そのとき、彼に届いた妻の本当の想いとは……。(作品資料より)
<感想>『単騎、千里を走る。』以来、6年ぶりとなる名優・高倉健の主演作品。205本目だというが、ここしばらくスクリーンを遠ざかっていたので、健さんの顔を見るのは本当に久しぶりでした。
81歳という高齢でも、背筋をぴんと伸ばして立つ制服姿は、「鉄道員(ぽっぽや)」を思い出し懐かしくもあり感無量の気分でした。さすがに高齢を押しての出演、歩き方が少々揺れているように見えましたが、それでも台詞の言葉一つ一つに優しさが滲み出て、物語の中に溶け込み刑務所の指導技官、倉島役を難なくこなし、さすがに演技は衰えていないと実感しました。
いつもの健さんは、眼光鋭くちょっと怖いイメージのある俳優さんですが、本作では始終笑みを絶やさず、亡くなった奥さんの遺骨を故郷の長崎、平戸の海へ散骨して欲しいとの遺言。妻の真意を知るために、一期一会の旅に出るロードムービーでした。奥さん役には田中裕子が、奇麗な声で歌も「星めぐりの歌」を披露、上手いです。自然な演技で、田中裕子さんも久しぶりに見た感じです。
旅先で出会うビートたけしやイカ飯を販売して歩く佐藤浩市、草なぎ剛、そして故郷の長崎では余貴美子、綾瀬はるか、大滝秀治。長塚京三、原田美枝子、浅野忠信といった豪華な顔ぶれでした。
ワゴン車を改造して、本当は亡き妻と定年後に旅をしようと思っていたのに、先立たれてしまい念願敵わず、妻の亡きがらを抱いて長崎までの旅に出たのです。ビートたけしは、立派なキャンピングカーに乗っており、羽振りのいい感じで国語の教師だと言ってましたが、実は車泥棒だとは。警察官が取り押さえて、健さんも警察へ事情徴収に連れていかれましたが、「山頭火」の本を愛読していてまさかそんな役回りだとは思ってもいなかった。
佐藤浩市と草なぎ剛の二人には、始めスーパーの駐車場で草なぎ剛の車が故障して、それが縁でイカ飯の販売まで手伝わされ、イカを洗う健さんの前掛け姿に、「居酒屋兆治」の映画を思い出しましたね。
長崎での船の手配を佐藤浩市が親切に教えてくれて、長崎では食堂のおかみさんの余貴美子さん、健さんのメモを見て何か意味ありげに親切にしてくれるしで、それが最後に佐藤浩市さんとの繋がりになっていたのです。娘のウエディングドレスの写真、自分の夫は海で死んだと、その写真を海へ一緒に流してくれと言っていたのだが、倉島は佐藤浩市にその写真を渡す無言の事情。
夫婦とは、お互い好きで一緒になって、何十年一緒に暮らしていても、全て分かりあえるもんじゃない。知らないこともあってもいいのじゃないかしらね。それに、お互いの秘密を知っていても、知らないふりをして黙っている。それも夫婦が長続きする秘訣だと思う。
倉島も、亡き妻が夫のために、これからの人生を好きなように生き抜くようにと、奥さんにしても、今まで故郷を出てから帰ってないのでしょう。せめて最後くらいは、自分の生まれた故郷の海へ散骨して欲しいと願ったのでしょうね。骨壷から妻の遺骨を手に取り、海に静かに落とす仕草に優しさと愛しさが感じられ、そのシーンでは涙がこぼれましたね。
この映画は、確かに豪華な俳優さんたちの集結でしたが、私には高倉健という役者の人生を見届けるという意味でも、感慨深い映画となりました。高齢ですが、まだ、まだ、スクリーンで健さんの姿を拝見したいと願っています。
2012年劇場鑑賞作品・・・87 人気ブログランキングへ
あらすじ:北陸のある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉健)のもとに、ある日、亡き妻・洋子が遺した絵手紙が届く。そこには“故郷の海を訪れ、散骨して欲しい”との想いが記されていた。妻の故郷を目指すなかで出会う多くの人々。彼らと心を通わせ、彼らの家族や夫婦の悩みや思いに触れていくうちに蘇る洋子との心温かくも何気ない日常の記憶の数々。様々な想いを胸に目的の地に辿り着いた英二は、遺言に従い散骨する。そのとき、彼に届いた妻の本当の想いとは……。(作品資料より)
<感想>『単騎、千里を走る。』以来、6年ぶりとなる名優・高倉健の主演作品。205本目だというが、ここしばらくスクリーンを遠ざかっていたので、健さんの顔を見るのは本当に久しぶりでした。
81歳という高齢でも、背筋をぴんと伸ばして立つ制服姿は、「鉄道員(ぽっぽや)」を思い出し懐かしくもあり感無量の気分でした。さすがに高齢を押しての出演、歩き方が少々揺れているように見えましたが、それでも台詞の言葉一つ一つに優しさが滲み出て、物語の中に溶け込み刑務所の指導技官、倉島役を難なくこなし、さすがに演技は衰えていないと実感しました。
いつもの健さんは、眼光鋭くちょっと怖いイメージのある俳優さんですが、本作では始終笑みを絶やさず、亡くなった奥さんの遺骨を故郷の長崎、平戸の海へ散骨して欲しいとの遺言。妻の真意を知るために、一期一会の旅に出るロードムービーでした。奥さん役には田中裕子が、奇麗な声で歌も「星めぐりの歌」を披露、上手いです。自然な演技で、田中裕子さんも久しぶりに見た感じです。
旅先で出会うビートたけしやイカ飯を販売して歩く佐藤浩市、草なぎ剛、そして故郷の長崎では余貴美子、綾瀬はるか、大滝秀治。長塚京三、原田美枝子、浅野忠信といった豪華な顔ぶれでした。
ワゴン車を改造して、本当は亡き妻と定年後に旅をしようと思っていたのに、先立たれてしまい念願敵わず、妻の亡きがらを抱いて長崎までの旅に出たのです。ビートたけしは、立派なキャンピングカーに乗っており、羽振りのいい感じで国語の教師だと言ってましたが、実は車泥棒だとは。警察官が取り押さえて、健さんも警察へ事情徴収に連れていかれましたが、「山頭火」の本を愛読していてまさかそんな役回りだとは思ってもいなかった。
佐藤浩市と草なぎ剛の二人には、始めスーパーの駐車場で草なぎ剛の車が故障して、それが縁でイカ飯の販売まで手伝わされ、イカを洗う健さんの前掛け姿に、「居酒屋兆治」の映画を思い出しましたね。
長崎での船の手配を佐藤浩市が親切に教えてくれて、長崎では食堂のおかみさんの余貴美子さん、健さんのメモを見て何か意味ありげに親切にしてくれるしで、それが最後に佐藤浩市さんとの繋がりになっていたのです。娘のウエディングドレスの写真、自分の夫は海で死んだと、その写真を海へ一緒に流してくれと言っていたのだが、倉島は佐藤浩市にその写真を渡す無言の事情。
夫婦とは、お互い好きで一緒になって、何十年一緒に暮らしていても、全て分かりあえるもんじゃない。知らないこともあってもいいのじゃないかしらね。それに、お互いの秘密を知っていても、知らないふりをして黙っている。それも夫婦が長続きする秘訣だと思う。
倉島も、亡き妻が夫のために、これからの人生を好きなように生き抜くようにと、奥さんにしても、今まで故郷を出てから帰ってないのでしょう。せめて最後くらいは、自分の生まれた故郷の海へ散骨して欲しいと願ったのでしょうね。骨壷から妻の遺骨を手に取り、海に静かに落とす仕草に優しさと愛しさが感じられ、そのシーンでは涙がこぼれましたね。
この映画は、確かに豪華な俳優さんたちの集結でしたが、私には高倉健という役者の人生を見届けるという意味でも、感慨深い映画となりました。高齢ですが、まだ、まだ、スクリーンで健さんの姿を拝見したいと願っています。
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