『冷たい熱帯魚』などの園子温が、十数年前から温めてきた企画を実写化した異色作。まな娘の映画デビューをかなえようと奔走する男が、彼と激しく憎み合うヤクザ、映画監督に間違えられた青年、彼に代わってメガホンを取る映画マニアといった者たちと共に騒動を巻き起こす。名バイプレーヤーの國村隼、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの堤真一、『鈴木先生』シリーズの長谷川博己ら、実力派俳優が結集してクセのあるキャラを怪演。ハイテンションな語り口に加え、全編にちりばめられた35ミリ映画への愛も作品の大きな魅力もなっている。
あらすじ:とある事情から、激しく対立する武藤(國村隼)と池上(堤真一)。そんな中、武藤は娘であるミツコ(二階堂ふみ)の映画デビューを実現させるべく、自らプロデューサーとなってミツコ主演作の製作に乗り出すことに。あるきっかけで映画監督に間違えられた公次(星野源)のもとで撮影が始まるが、困り果てた彼は映画マニアの平田(長谷川博己)に演出の代理を頼み込む。そこへライバルである武藤の娘だと知りつつもミツコのことが気になっている池上が絡んできたことで、思いも寄らぬ事件が起きてしまう。
<感想>ヤクザ映画でも戦争映画でもいいけど、本当にリアルに撮りたかった。「そう考えてそれを本当に実行する気狂い映画マニアの話」という、子供が考えそうなことを実行した。17年前の園子温監督がそう考えて脚本を書いたのかどうかは知らないが、70年代日本映画ふうのB級アクションコメディ仕立てた始まり方だと思って見ていたら、最後までB級映画だった。
しかし、「ヒミズ」や「冷たい熱帯魚」に触れた人たちは、肩透かしを食らうだろう。この映画にはそういう地獄は出てこないのだから。肉体的な「痛そう」は盛りだくさんでも内面的な痛さはない。従来よりさらにパワーアップされた血しぶきやドラッグ描写、ヤクザ組と映画組の出会いや再会するきっかけなど、良くも悪くもマンガ的である。
観ていると、ヤクザの組長の國村隼や対立する池上組長の堤真一、何故か國村が白いスーツに白い帽子とか、蛇皮のスーツ姿で拳銃という、対する堤真一は、任侠肌で着物姿で刀というヤクザを披露する。
映画バカ監督の長谷川博己にヤクザ國村の娘に二階堂ふみや、そのヤクザの女房に友近が着物姿に白い割烹着で、池上組の襲来を包丁を振りかざしバッタバッタと男どもを刺し殺す凄い女を演じていた。
ギラギラした世界に一人放り出される草食系の星野源(子役時代のミツコに惹かれる)は、いるだけでギャグになるし、監督に祭り上げられた星野に協力するのが、長谷川博己率いる自主映画製作集団「ファック・ボンバーズ」。
奇妙な因縁の末に自主映画製作集団の「ファック・ボンバーズ」とヤクザが一緒になって映画を、しかも本物のヤクザ抗争の殺し合いを撮ることなる。監督が本当に「ファック・ボンバーズ」と名乗っていたそうです。
血まみれで残虐でエグイのに、アメリカのB級ホラーみたいな、そういうものではないが。ああいう映画の方が、パッケージとしてはまだちゃんとしていると思うので。こっちはまだ荒唐無稽だし、もっと支離滅裂だし、あり得ないくらい辻褄があっていない。総じていえばあまりにもメチャクチャで、だからどうしたと言うか、しかし、やたら爽快で痛快な気分にさせる。
最大の魅力を発揮するのはヒロインのミツコを演じた二階堂ふみ。その出で立ちは、まるでSM女王様きどりで、美人ではないが長い手足と胸元を見せつけて、日本刀を手に凛々しいアクションを魅せる姿は魅力的に映っているし、本当にここ数年若い女優ですごい女性がたくさん出て来たと思う。子供時代のミツコを演じた、白いワンピースでハミガキのCMに出ている可愛い子役の女の子が良かった。
それに、ファック・ボンバーズのデブカメラマン二人や、武藤組の國村隼率いる子分たちに至るまで、よくない役者が一人もいないのも素晴らしい。
二階堂ふみのビール瓶を叩き割り、その破片を相手の男の口の中へ入れてのキスシーンはあるものの、セックス要素はないのでPG12.エロも残虐ももっと見たいけど、見る者を笑いながら途方もない気持ちにさせる素晴らしい作品です。
中でも警察には「深作警察署」と書かれ、「仁義なき戦い」のテーマ曲が他作品で初めて使用されているのも、深作欣二監督が撮影所を舞台に映画へのオマージュを捧げたように、「地獄でなぜ悪い」はヤクザの抗争と自主映画作りを交錯させて、映画への愛を描いた「蒲田行進曲」のようでもあると思った。
2013年劇場鑑賞作品・・・286 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:とある事情から、激しく対立する武藤(國村隼)と池上(堤真一)。そんな中、武藤は娘であるミツコ(二階堂ふみ)の映画デビューを実現させるべく、自らプロデューサーとなってミツコ主演作の製作に乗り出すことに。あるきっかけで映画監督に間違えられた公次(星野源)のもとで撮影が始まるが、困り果てた彼は映画マニアの平田(長谷川博己)に演出の代理を頼み込む。そこへライバルである武藤の娘だと知りつつもミツコのことが気になっている池上が絡んできたことで、思いも寄らぬ事件が起きてしまう。
<感想>ヤクザ映画でも戦争映画でもいいけど、本当にリアルに撮りたかった。「そう考えてそれを本当に実行する気狂い映画マニアの話」という、子供が考えそうなことを実行した。17年前の園子温監督がそう考えて脚本を書いたのかどうかは知らないが、70年代日本映画ふうのB級アクションコメディ仕立てた始まり方だと思って見ていたら、最後までB級映画だった。
しかし、「ヒミズ」や「冷たい熱帯魚」に触れた人たちは、肩透かしを食らうだろう。この映画にはそういう地獄は出てこないのだから。肉体的な「痛そう」は盛りだくさんでも内面的な痛さはない。従来よりさらにパワーアップされた血しぶきやドラッグ描写、ヤクザ組と映画組の出会いや再会するきっかけなど、良くも悪くもマンガ的である。
観ていると、ヤクザの組長の國村隼や対立する池上組長の堤真一、何故か國村が白いスーツに白い帽子とか、蛇皮のスーツ姿で拳銃という、対する堤真一は、任侠肌で着物姿で刀というヤクザを披露する。
映画バカ監督の長谷川博己にヤクザ國村の娘に二階堂ふみや、そのヤクザの女房に友近が着物姿に白い割烹着で、池上組の襲来を包丁を振りかざしバッタバッタと男どもを刺し殺す凄い女を演じていた。
ギラギラした世界に一人放り出される草食系の星野源(子役時代のミツコに惹かれる)は、いるだけでギャグになるし、監督に祭り上げられた星野に協力するのが、長谷川博己率いる自主映画製作集団「ファック・ボンバーズ」。
奇妙な因縁の末に自主映画製作集団の「ファック・ボンバーズ」とヤクザが一緒になって映画を、しかも本物のヤクザ抗争の殺し合いを撮ることなる。監督が本当に「ファック・ボンバーズ」と名乗っていたそうです。
血まみれで残虐でエグイのに、アメリカのB級ホラーみたいな、そういうものではないが。ああいう映画の方が、パッケージとしてはまだちゃんとしていると思うので。こっちはまだ荒唐無稽だし、もっと支離滅裂だし、あり得ないくらい辻褄があっていない。総じていえばあまりにもメチャクチャで、だからどうしたと言うか、しかし、やたら爽快で痛快な気分にさせる。
最大の魅力を発揮するのはヒロインのミツコを演じた二階堂ふみ。その出で立ちは、まるでSM女王様きどりで、美人ではないが長い手足と胸元を見せつけて、日本刀を手に凛々しいアクションを魅せる姿は魅力的に映っているし、本当にここ数年若い女優ですごい女性がたくさん出て来たと思う。子供時代のミツコを演じた、白いワンピースでハミガキのCMに出ている可愛い子役の女の子が良かった。
それに、ファック・ボンバーズのデブカメラマン二人や、武藤組の國村隼率いる子分たちに至るまで、よくない役者が一人もいないのも素晴らしい。
二階堂ふみのビール瓶を叩き割り、その破片を相手の男の口の中へ入れてのキスシーンはあるものの、セックス要素はないのでPG12.エロも残虐ももっと見たいけど、見る者を笑いながら途方もない気持ちにさせる素晴らしい作品です。
中でも警察には「深作警察署」と書かれ、「仁義なき戦い」のテーマ曲が他作品で初めて使用されているのも、深作欣二監督が撮影所を舞台に映画へのオマージュを捧げたように、「地獄でなぜ悪い」はヤクザの抗争と自主映画作りを交錯させて、映画への愛を描いた「蒲田行進曲」のようでもあると思った。
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