パピとママ映画のblog

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ミルカ ★★★

2015年04月01日 | アクション映画ーマ行
ボリウッド映画界において著名なファルハーン・アクタルが体脂肪率を5パーセントにまで落とし、実在のインド人ランナーのミルカ・シンを熱演する人間ドラマ。空飛ぶシク教徒と称賛されたランナーの栄光の陰に潜む、国家間の紛争に翻弄(ほんろう)された男の知られざる半生を描き切る。『スタンリーのお弁当箱』などのディヴィヤ・ダッタらインドの実力派俳優が共演。本国インドでヒットを記録した本作で、一人のアスリートの生きざまに目がくぎ付けになる。
あらすじ:1960年のローマオリンピックで、インド人選手ミルカ・シンには400メートル走でのメダル獲得の大きな期待が掛かっていた。だが、彼はあろうことかゴールを目前にして後ろを振り返ってしまったことで、4位という結果に終わる。その後、パキスタンとのスポーツ大会が催されることになり、ミルカは団長に選ばれるものの、辞退すると言ってきかなかった。

<感想>国家の悲劇に屈せず自らの運命を切り開いたインド人陸上選手ミルカ・シンの半生を綴った人間ドラマ。
実話であり、今から55年前のオリンピックでメダルを期待されながら、思いがけない失態を演じてしまった、インドの国民的陸上選手ミルカ・シンの数奇な半生を題材にした伝記映画でもあります。
インド映画はそれらを自在に一体化していたのだが、パキスタンの分離独立で家族を虐殺され、運動靴も買えない極貧生活から文字通り裸一貫で成り上がったミルカ。政治的な背景によるトラウマという主題を持ちこんだ時点で、アメリカ映画として勝負せざるを得なくなってしまったようだ。

その結果、去る場面が典型的だが、リアルにやるべきところが作為的になり、感情で突っ走るところがせせこましく見えてしまう。
典型的なスポ根映画のドラマトゥルギーと、インド映画の悠然たる時間の歩との、相容れなさをどう処理すべきか、リアリズムか、コメディか、様式的にするのか。さすがに歌はところどころに入ってましたが、踊りの方はなかったです。
上映時間が2時間33分は長く感じるものの、中盤を過ぎ、ミルカが世界記録を目ざしトレーニングを開始するあたりから俄然緊張感が高まって、彼がかたくなに行くことを拒んでいたパキスタン、幼い日に家族が虐殺された地でのクライマックスへと続きます。

オリンピックにも出場した俊足アスリートで、跳ぶように走ると言われた男の一代記ときたら、その走行シーンに期待が高まるのは間違いありません。鍛え上げられた身体も申し分ないが、ですが、どういう分けか足の速そうな感じが今一つ伝わってこないのだ。最大の見せ場であるレースやゴールの瞬間が、ほぼファンタージ処理になっているのはどうしてだろうか。実話ベースという冠が、要らないほどである。

オーストラリアで金髪のガールフレンドにうつつをぬかし、撃沈してしまうエピソードは人間らしくて微笑ましかった。
最大の悲劇と言われるインド・パキスタン分離を扱ったインド映画は少ないが、スポーツの高揚感と民族の悲劇が相まって不思議な感動を呼びます。ファルハーン・アクタルの苦行僧のような表情、鍛え抜いた肉体演技が印象深く残ります。
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