パピとママ映画のblog

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家へ帰ろう★★★・8

2019年02月15日 | アクション映画ーア行

ホロコーストを生き延び、ポーランドから逃れてきたアルゼンチンで戦後を生きたユダヤ人の老人が、人生の最後にかつて自分を救ってくれた親友に感謝を伝えるため、たった一人で母国へと向かう中で様々な出会いを重ねていく波乱の旅を、主人公を苦しめ続ける過酷なホロコーストの記憶とともに描いた感動のロード・ムービー。主演は「タンゴ」のミゲル・アンヘル・ソラ、共演にアンヘラ・モリーナ。監督は本作が長編2作目のパブロ・ソラルス。

あらすじ:アルゼンチン、ブエノスアイレス。子どもたちや孫に囲まれ、家族全員の集合写真に収まる88歳のユダヤ人の仕立屋アブラハム。翌日、彼は老人施設に入ることになっていた。しかしその夜、家族の誰にも告げずに家を出ていく。向かう先は、ホロコーストの忌まわしい記憶から彼が決してその名を口にしようとしない母国ポーランド。アブラハムは、第2次大戦中にユダヤ人である彼を匿ってくれた命の恩人である親友に、最後に仕立てたスーツを届けに行こうとしていたのだった。

しかし飛行機でマドリッドに降り立った彼は、そこから列車でポーランドに行くためには、あのドイツを通らなければならないと知る。頑固一徹の彼にとって、ホロコーストを生き延びたユダヤ人の自分が、たとえ一瞬でもドイツの地を踏むなどということは、決して受け入れられることではなかった。いきなり難題に直面し、駅ですっかり途方に暮れるアブラハムだったが…。

<感想>ホロコーストを生き延び、アルゼンチンのブエノスアイレスに住むユダヤ人のお爺ちゃんが遙かポーランドまで70年ぶりに約束を果たしに旅をするロードムービー映画。

物語はいかにもさりげなく幕を開ける。・・・頑固老人のロードムービーの珍道中というふうになっていた。実際それは間違っていない。

映画事態は良質なロードムービーでありますが、どうしても世界中で第二次世界大戦中のホロコーストを題材にした作品が、今でもこれだけ多く作り続けられているのかが良く解ります。

それは記憶されるべき題材ではあるが、なぜにナチスによるロマの虐殺や、あるいはチェンチェン人やアルメニア人の強制移住とか、虐殺をテーマにした作品はあまり見かけない。

しかし、ここ数年で様々なナチスものが公開されているが、この映画は異色な一本であると思う。老人がホロコーストの経験者であり、旅の目的がかつての恩人に会いに行くことである意外は。第二次世界大戦の末期、ユダヤ人の彼を匿って救ってくれた命の恩人である幼馴染みピオトレックに、別れ際に約束していた、彼が仕立てたスーツを手渡すために。

演じるミゲル・アンヘル・ソラのややシニカルで不屈な眼差しが、行き当たりばったりとも言える旅でもあるが、現在60歳くらいなのに80代を演じる彼のそれはそれで面白い。監督が「彼は役者としてちょっと気難しい部分もある」という発言も納得のリアリティ。

空港へ着いたのはいいが、マドリッドから陸路の列車でポーランドへ行くには、あの忌まわしきナチス党が闊歩していたドイツ国内を通るしかないのだ。だからドイツ国内の駅で列車を乗り換えなければならない。そこへ偶然通りかかったイングリッドという女性に助けられて、ですが、彼女がドイツ人と聞いた途端に毛嫌いする。だが、つまり彼女が頭がいいので機転を利かして列車に乗ることが出来たという訳。旅先で出会った女性たちを味方につけて、目的を成し遂げる一徹さが全篇に満ちているロードムービーでありました。

その行状を老人のわがままと片づけることなかれ。頑固さが生む周囲との温度さと、その可笑しさは物語のご馳走であり、併せてユダヤ人問題の風化に警鐘を鳴らす役目もあると思いました。

全編にわたって皮肉とユーモアのさじ加減が絶妙であり、ミゲル・A・ソラに、アンヘラ・モリーナの共演は味わい深かったと思いましたね。

疲労がたまり倒れて搬入された病院の看護婦とは、ドライブデートみたいな雰囲気で車に乗せてもらうし。不自由な足も結局は切断をも余儀なくされる状態だった。クライマックスの描き方に感動のツボを押されて、ついほろりとしました。

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