第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞した芦沢央の小説を基に、娘の死の真相を知ろうとする父親と人気者の女子高生との攻防を描くサスペンスドラマ。男手一つで育てた娘が学校で転落して亡くなり、どうして死んだのかを調べている男が、美しく邪悪な女子高生に振り回されるさまを映す。監督は、『Girl's Life』などの大塚祐吉。出演は『臨場』シリーズなどの内野聖陽と『ゆめはるか』などの吉本実憂のほか、谷村美月や加藤雅也ら。繊細かつ過激な女子高生の行動に衝撃を受ける。
あらすじ:女子高に通う加奈は、ベランダから転落し命を落としてしまう。彼女は、女子高のカーストの中でトップに君臨する咲(吉本実憂)に憧れる友人グループの一人だった。加奈を男手一つで育ててきた安藤聡(内野聖陽)は自責の念にかられており、娘の死は事故だったと信じていた。ところが、死の真相を探ろうとする安藤の前に咲が立ちはだかり……。
<感想>これは新感覚の高校青春映画かと思ったのだが、まったくもって違う単なる悪女ものの変形のようだった。女子高生という生きた狂気を相手にする父親に、あまりその覚悟がなく愚かすぎるからだろう。
転落死した娘の心理学者である父親と、その死に関わる美しい同級生がスリリングに対決する物語。良くある、娘を殺された父親が、犯人を追いつめる刑事物語のような、大学教授の父親が警察の無能にガッカリして、自分で事件を調べ、犯人を追いつめていくような展開なのだ。
ヒロインの言葉で人の弱点をつく、ねちっこさをも備えているダークなヒロインが、女優になりたいために人を蹴落として行く様が悪魔っぽい。芸能プロダクションの社長に加藤雅也が出ていた。だが、このヒロインの両親は一切出てこないので、娘の監督不行き届きというか、シャネルのバックを持ち、高価な洋服を着て遊ぶ女子高生。援助交際でもしている今問題の女子高生のような風情がしてならない。
父親の内野聖陽は、最近では「海難1890」で男らしい医者を演じていたが、ここでは女難にあった男の色香を漂わせ、大学の女先生が心配して料理を運び、独身の父親に好意を寄せているようだ。
それに、教室やコーヒーショップその他の事件を巡る場所や描写があまりにもありきたりで工夫に欠けている。場所の風景に雰囲気を盛り込めば、もう少し内容にふくらみが出たかもしれないのに、主演女優の咲を演じた吉本実憂の放つモンスターワードが、どこまでも上滑りをして現実の女子高生にはとても見えない。吉本実憂の主演女優はなかなかよかったのにね。
悪魔のような心を持つ主人公咲、以前に観た「渇き。」は娯楽に徹している分いさぎよかったのに。ラストがもう少し物語の展開として、父親が咲を追い詰めていき、娘のケータイをチラつかせて、娘を殺すに至った咲の殺人を仄めかせる悪事に、自分が咲に突き落とされる予感がみえみえであったので、「そうかやっぱり」という結末には驚きどころか、がっかりの方が強い。ベンランダから落とされて、その下にあの大学の女先生が車を止めて、ボンネットに父親が落ちて命が助かった。そういう展開も読めてしまうのもダメですよ。
2015年劇場鑑賞作品・・・257映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:女子高に通う加奈は、ベランダから転落し命を落としてしまう。彼女は、女子高のカーストの中でトップに君臨する咲(吉本実憂)に憧れる友人グループの一人だった。加奈を男手一つで育ててきた安藤聡(内野聖陽)は自責の念にかられており、娘の死は事故だったと信じていた。ところが、死の真相を探ろうとする安藤の前に咲が立ちはだかり……。
<感想>これは新感覚の高校青春映画かと思ったのだが、まったくもって違う単なる悪女ものの変形のようだった。女子高生という生きた狂気を相手にする父親に、あまりその覚悟がなく愚かすぎるからだろう。
転落死した娘の心理学者である父親と、その死に関わる美しい同級生がスリリングに対決する物語。良くある、娘を殺された父親が、犯人を追いつめる刑事物語のような、大学教授の父親が警察の無能にガッカリして、自分で事件を調べ、犯人を追いつめていくような展開なのだ。
ヒロインの言葉で人の弱点をつく、ねちっこさをも備えているダークなヒロインが、女優になりたいために人を蹴落として行く様が悪魔っぽい。芸能プロダクションの社長に加藤雅也が出ていた。だが、このヒロインの両親は一切出てこないので、娘の監督不行き届きというか、シャネルのバックを持ち、高価な洋服を着て遊ぶ女子高生。援助交際でもしている今問題の女子高生のような風情がしてならない。
父親の内野聖陽は、最近では「海難1890」で男らしい医者を演じていたが、ここでは女難にあった男の色香を漂わせ、大学の女先生が心配して料理を運び、独身の父親に好意を寄せているようだ。
それに、教室やコーヒーショップその他の事件を巡る場所や描写があまりにもありきたりで工夫に欠けている。場所の風景に雰囲気を盛り込めば、もう少し内容にふくらみが出たかもしれないのに、主演女優の咲を演じた吉本実憂の放つモンスターワードが、どこまでも上滑りをして現実の女子高生にはとても見えない。吉本実憂の主演女優はなかなかよかったのにね。
悪魔のような心を持つ主人公咲、以前に観た「渇き。」は娯楽に徹している分いさぎよかったのに。ラストがもう少し物語の展開として、父親が咲を追い詰めていき、娘のケータイをチラつかせて、娘を殺すに至った咲の殺人を仄めかせる悪事に、自分が咲に突き落とされる予感がみえみえであったので、「そうかやっぱり」という結末には驚きどころか、がっかりの方が強い。ベンランダから落とされて、その下にあの大学の女先生が車を止めて、ボンネットに父親が落ちて命が助かった。そういう展開も読めてしまうのもダメですよ。
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