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姉を失った少年は、自死の道を歩めない
“僕は姉の事を心から尊敬しています”
そんなことを真顔で、恥ずかしがらずに言える姉を持っていた少年冒険者クロック。
彼はそんな姉フィートに褒められたくて、冒険者としてこれまで頑張ってきた。
その結果、ギルドからは今は未成年なので規定で受けられないが、成人して高ランクの依頼を受けられるようになったら、このギルドのエース格になるとまで期待される。そして、その才能の一部を低ランクの依頼で、いかんなく発揮していた。
だが、その順調な成長は一か月前から鳴りを潜める。
唯一の肉親である姉を持病で亡くしたからだ。
彼は姉を失い、冒険者としてはもちろん、人生も投げ出したくなっていた。そのため、眠る前“二度と朝が来なければよいのに”と思うようになっていた。
そんな迎えたくない朝を繰り返したクロックは、十五歳の誕生日を迎え成人の仲間入りをする。そしてその日に流浪の修道士のアリスと出会う。
クロックは、修道士のアリスや同期の少女の冒険者シオンたちの支えのもと冒険者として、そして自身の生き方を見つけられるのか。それとも自ら進んで危険な依頼を受け、偽善的な身代わりのもと自死を選ぶのか……
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でも、低ランクの依頼だって命の危険がないわけではないんだから、無意味なルールよね」
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「僕はフィート姉さんの事を心から尊敬しています」
少年冒険者クロックには、そんな台詞を真顔で言えるくらい素敵な姉がいた。
彼は姉に褒められたい一心で、子供ながらも冒険者として頑張ってきた。
その結果、ギルドからは未来のエース格になるとまで期待され、才能と名声は街中に知れ渡っていた。
だが、その評判もある時を境に失われつつあった。
なぜなら、ひと月前に唯一の肉親である姉が持病で亡くなったからだ。
姉を失ったことで自暴自棄になった彼の生活は荒み、冒険者として活躍することもなくなってしまった。
しかし、十五歳の誕生日に流浪の修道士のアリスと運命の出会いを果たす。
これは少年から成年になったクロックが自身の人生と向き合う物語。
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