祝日は国旗を掲揚しましょう。
★精神学協会「日本のいまを考える」から転載
『精神学協会』
http://www.godbrain.com/gb/letter/
■日本のいまを考える#61
●「骨太の方針二〇一八」からは、PB黒字化目標を取り下げよう!
最近の国会やマスメディアの報道を見るたびに、問題は左右というイデオロギーというより、むしろ思考力の上下なのだと感じます。
私の感じる「上下」とは、もちろん精神性を伴った知的対応性における「上下」であって、生活レベルとか、たとえば東大を頂点に置くような偏差値レベルの話ではありません。
右でも左でも、といっても、まっとうな右など現在の日本にはほぼ皆無なので、みんな左寄りに見えますが、精神性の高い、感情論でなく知的に議論のできる人々の間では、右でも左でも、それは意見交換の場となり、異なる視点を知ることのできる良い機会にもなります。
いまの国会の、子供が見ても失望するような大人たちの様子や、都合の良い部分だけを切り取って報道するマスメディアの誘導、そこに相乗りして騒ぐ人々、たまにワイドショーを見ると、日本人の精神性は、とことん落ちたと感じざるを得ません。
だからこそ国民一人ひとりが精神性を高め、目を覚ましてよく考えて動かなければならないときなのだ、といえます。
国会の場にいらっしゃる数少ない国士頼みではなく、官僚の中にいらっしゃる数少ない国士頼みでもなく、自分たちが自力でできることを精一杯やることが何よりも重要です。
誰も代わって歩んでくれることのない人生を生きるのは、私たち自身なのですから。
日本はかつて、経済成長が著しく、世界において「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで評されていました。
その頃の日本が健全であったか? というと、私にはそうは見えません。
むしろ、一度落ちてよかったのだ、と思っています。
しかし、この落ちぶれぶりを、ずっと続けるのは不健全ですから、反省した後は復活しなければなりません。
なぜ、復活できないのか?
答えはシンプルで、単純なこと。
それは、自分たちがどうなりたいかを真剣に考えて、自力で立ち上がる、ということができずにいるからです。
小泉郵政選挙の頃に明るみに出たスリード社のプランによる「B層」戦略あたりから、一気にわかりやすく劇場型が展開されている政治の場。
私がB層 のことを知ったのは、郵政選挙の後で、ネット上にスリード社の企画書が流出したからでしたが、その後も劇場政治はずっと続いています。
権益を同じくする同士が結びついて、数を持っている愚民層を動かそうという、人の良さにつけこんだ大変失礼なやり方です。
これだけ世の中に知らされても姿勢が正されないのはなぜなのか? は私にとって謎ですが、まだ知らない人が多すぎるということなのかもしれないと最近考えるようになりました。
なおかつ、知ったら変わるか? というと、それもまたイコールではありませんが、少なくとも知れば用心深くなります。
私の場合はそうでした。
そして、今はまだ沈黙しているこの多くの善良な人たちが、よく考え、正しい判断をしていけるかどうか、に日本の将来はかかっているのだと思います。
自力で立ち上がること、これは、実行できるかどうかが難しいだけで、理論的に考えれば当たり前なことです。
しかし、財務省の後ろにはアメリカ、国際金融資本が存在し、過去、多くの国士たちが挑んでは甚だ不名誉な形で死に追いやられてきたことを思うと、巨象に向かう一匹の蟻のようで、立ちすくむ、これも当たり前なことです。
私自身、どこからどう手をつけたらよいのか、調べれば調べるほど網の目のように包囲されていることを知り、今さら何をすればよいのかと考えて、小さな挑戦をしてみては砕け、やり方を変えて挑戦しては砕け、試行錯誤を続けています。
それでも、何もしないよりは半歩でも前へ動ける分、気分は明るく元気が出ます。
思い起こせば、国民の経済状況が統計上目に見えて成長を止めたのは、一九九七年の橋本政権下の消費税増税からでした。
バブル崩壊後の増税と公共投資の削減により、将来への不安を抱えた国民が一斉に借金返済と蓄財に向かい、消費に消極的になったことから、悪循環が始まったのです。
バブル崩壊前の株価は、一九八九年の大納会で終値の最高値三万八千九百十五円八十七銭を付けたのをピークに暴落に転じ、原油高や公定歩合の急激な引き上げが起こった後の一九九〇年十月一日には一時2万円割れと、わずか九カ月あまりの間に半値近い水準にまで暴落しました。
一九九三年末には、日本の株式価値総額は一九八九年末の株価の五十九%にまで減少しました。
投機に熱を上げていた国民は、この先も上がると信じ、借金をしてまで買い込んだ株やゴルフ会員権、土地などの購入資金の返済に追われることになります。
ちょうどそんな時期の消費税増税と公共投資の削減は、ダブルパンチでした。
以来、長いデフレが続き、国としての政策が正しく対処されなかったために、格差社会が進行し、非正規雇用が増え、国民は貧困化して「失われた二十年」といわれる事態となっています。
そもそも経済学には長期デフレに対応するという考えがありません。
需要がこんなにも長期にわたって落ち込むことは、想定外だからです。
そして、この特殊な状況というのは、日本人らしさのあらわれでもあり、日本ならではでもあると私は思います。
経済というのは、日本ではもともと「経世済民」の略語でしたが、欧米でいう「エコノミクス」には、経世済民の意味はありません。
日本のあり方と、欧米の考え方とは、政治経済に対する根本姿勢が異なるので、そこにも既に混乱があります。
日本人の多くが、みんな我慢しているから自分もがんばる、という気持ちで耐えてきた結果の格差社会の到来です。
それは、強欲を基にした他国の格差社会の成り立ちとは少し違うと思いますが、結果をみれば同じこと、一握りの大金持ちと多くのそれ以外の人々に分かれています。
その間に、一握りの経済勝者たちが、それぞれの持ち場で自らの利益を大きく獲得するための法案を通し、道を作り、着々と日本国を弱体化させてきました。
自由貿易の促進と、規制緩和、緊縮財政の三本柱によってです。
日本の弱体化は中国など近隣諸国にとって歓迎すべきことでもありますから、国際金融資本、グローバリストは中国共産党とも親和性があります。
国境を越えて、国に縛られず、豪勢な暮らしを満喫し、安心して好き放題をしたいという目標で生きる人たちにとっては、正しい方向性なのでしょうけれど、人としてどうかと問えば、ただの怖いもの知らずではないかと思えます。
多くの日本人は、生涯現役が良いのですから、着替えも何も全部メイドに任せてただ好きなことだけして余生を生きることを目標とすることはないだろうと思います。
すくなくとも、私はそんな人生はごめんです。
「起きて半畳寝て一畳」ですから、広すぎる家は人生に必須なものではないですし、豪華な宝石もTPOです。
それよりも、子供たちを見守ることでも、洗濯物をたたむことでも、留守番をすることでも、何らか他者の役に立つことをして、存在を歓迎されながら暮らせることが、幸せであると感じられるとしたら、その精神性が続くことこそが大事といえるかもしれません。
この、人としてほんとうに健全だと感じられる日本人のメンタルと、情報を正しく受け取り的確に判断するという時代に見合った力を、個々に身につけていくことが、日本の未来を作る第一歩だと感じます。
同時に、現実面での大事な一歩があります。
国民にとって生活基盤となる経済の立て直しを急がなければなりません。
この六月に出される「骨太の方針二〇一八」から、プライマリーバランス(PB)の黒字化目標を取り下げる、ということです。
PBについては、繰り返しになりますので、下記を参照してください。
#25 STOP! プライマリー・バランス黒字化目標。
#26 気がつけば移民国家?にならないために
「骨太の方針二〇一八」から、PBの黒字化目標をはずすこと、これが達成されなければ、今後もまた一層の国民貧困化とグローバリストの荒稼ぎ、跳梁跋扈が続きます。
早くPBの黒字化目標を取り下げ、災害復旧や、道路補修、交通インフラなどの健全な公共投資を増やし、防衛費もきちんと手当てを整え、デフレ脱却を目指さなければなりません。
デフレ化が止められなければ、全体的に所得が増えるはずもなく、需要が大きく伸びることもありません。
若者が未来に希望を抱けるような技術立国としての復活を目指すための予算も必要ですし、単に価格を下げるために国民の大事なデータ入力を海外に発注するなどのことも未然に防ぎたいところです。
邪悪な者たちのはびこる世界を生き抜く日本の再生、最初の一歩はそこからです。
平成三十年三月三十日
阿部 幸子
協力 ツチダクミコ
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