以前勤めていた学校の卒業式に招待された。
私が一年前に担任をしていたクラスの学生が
卒業することになったのだ。
みんな進路も決まり、安心した。
その中でも、大学に受かった一人の学生。
一年前も、彼女の能力はずば抜けていた。
卒業生代表の答辞はもちろん彼女だった。
彼女が前に出、原稿を開き、みんな彼女の言葉を待っていた。
しかし、なかなか声が出ない。
見ると、彼女は泣いていた。
しばらく待ったが、涙がどんどん溢れて
全然声を発することができない。
周りでは拍手が起こった。
卒業生の女性陣はもらい泣きをし、
男性陣は下を向いて何とも言えない顔をしていた。
去年教えたときは、彼らのこんな顔を見たことはなかった…。
涙も落ち着き、発せられた彼女の答辞は
とてもわかりやすく、内容も素晴らしかった。
なんとも言えない気持ちになった。
こんなシーンは一瞬で、
日々大変なことのほうが多いとよくわかっているのだが
招待客としてではなく、送り出す立場にまた戻りたくなった。