バッサ バッサ バッサ…と羽音を立てて
椋鳥(ムクドリ)さんご夫妻が近づいてきます!
そしてまた、ドンドコ ドン ドコドコドン ドンドドドーン ドンドコ…ドコドコ…ドーン…忙しなくゆきの体に響いてくるわ💦💦
ポキママさんが
ゆきを呼ぶ合図よ! コチママさん!
ポキママさんに何かあったのかしら?
『ええ、なんだか胸騒ぎがするわ。
ゆきちゃん、どうしましょう』
あら、椋鳥さんご夫妻が慌てて、こちらにいらしたわよ。
『コチさーん!大変です!お宅のチビ助くんとポキさんのきなこちゃんが、御殿池に落ちたんですよー💦💦💦
ポキさんは一足先に向かっています。
事情は向かいながらお話しします!
さあ、急ぎましょう!』
皆さん、早くゆきの背中にお乗り下さい!
『ゆきちゃん、ありがとう(涙)』
きっと大丈夫よ!とにかく皆んながついているわ!コチママさん!急ぎましょう!
『コチさん、ゆきちゃん、私たち椋鳥夫婦は、とっくりさんの御殿池で、水浴びをしようとしていたんです。
そこへ、チビ助くんと、きなこちゃんが水を飲むために、御池にいらしたんです。
お小さい2人が可愛らしくて、飲み終わるまで、私たちは木の上から見守っていたんですが…穏やかなはずの御池に急な大波が起こったかと思ったら、勢いよく大鯰(オオナマズ)が宙返りして、真っ逆さまに御池に!で、
あれよあれよという間に、御池がグルグルと渦を巻き始めて、その渦の中に、チビ助くんと、きなこちゃんが、あっという間に飲み込まれてしまいまして💦💦💦
すみません!何も出来ず…申し訳ありません! あ、渦の正体は泉国の殿様の座を狙っている、大鯰の髭トラという厄介者の仕業です。それに、今日は15日、泉国のお扉が一日中開く日なので、御殿池にも自由に出入りできるんですよ。
ここ数年は何事もなかったんですが、このところ、勢いをつけている大鯰一家の親玉、髭トラが泉国を我が者にしようと企んでいるんです。
まあ、私も水浴びのときに、泉国に仕える者たちに聞いたことですがね。
ゆきちゃん、近道があります。そこの南天の木の間から左に行くと御池にでられます!』
ふうー着いたわ。
あ、ポキママさーん!
オロオロしているわ。
『あ、コチさん、ゆきちゃん!
大変なことになったわ。どうしましょう(涙)』
『チビ助➖チビ助➖…( ; ; )…』
『きなこ➖きなこ➖…』
どうしたらいいのかしら?ゆきも泣きそうよ
どうしましょう?猫神様…ゆきはどうしたら?
あーすみちゃんお婆ちゃーん!
ゆきはどうしらいいの?エーンエーン(;o;)
しっかりしなきゃ、何とかするのよ!
ゆき!でもどうやって助けたらいいの?って、一生懸命、考えながらね、猫神様やすみちゃんお婆ちゃんにお祈りしたのよ。
そうしたら、にわかに御池の面が小々波で揺れ出したのよ!
そこから、ひょっこりと赤い金魚さんが
顔を覗かせてたのよ。あら?見覚えがあるわ。
『ゆきちゃん、私です、お祭りでお助けいただいた、泉国の仲立ちの金魚ですよ。』
あら!縁日で花蓮さんに掬われた金魚さんね。
一体どうされたのですか?
『はい、先程、大鯰のおふざけで
陸の方々が、泉国に迷い込まれたと、通達がありまして、今、蛙兵団と金魚遊泳団で捜索をしておりますので、今しばらくお待ちを!大丈夫です、必ずや私、ゆきちゃんに恩義をお返しすべく、力を尽くします!
ママさん方も、ご安心ください!
それに、蛙泉国のお殿様も髭トラが陸の方々を巻き込んだ悪行を、今日こそは許さないとの御触れも出ております。
なので私たちを信じてお待ちくだい!』
ありがとうございます!
ゆきは泉国のお殿様や皆さんを信じて
チビ助ちゃんときなこちゃんのご無事を
祈ります。金魚さん、よろしくお願い致しますね。
『よろしくお願い致します(涙)』
『どうかお願い致します(涙)』
と、涙ながらに子らの救出をお頼みする
ママたちを見てね、ゆきも泣けたわ( ; ; )
雨も降り出してきたことだし、
ここは泉国の方々にお任せして私たちは
御池のほとりで待ちましょう!
半刻(1時間)過ぎた頃、いきなりとっくりさんとえりまきさんご夫妻の御殿から水神様にお仕えの龍さんが勢いよくお出ましになってね、それはそれは大きなお口をお開けになられたのよ。ただビックリさせられていたらね、
もうすでに、私たちね、龍さんのお口の中にいたのよ!もの凄いスピードに圧倒されてね、
何が何だか?
さしづめ龍コースターにでも乗った感じかしらアハハ💦💦💦
気づいたら、前にお邪魔させていただいた
泉国よ!そして、ゆき、コチママ、ポキママ、
椋鳥さんご夫妻までが、あの重厚で美しい
襖の前に座っているじゃない!
焦るわ💦
ドンドンドン…ドンドンドン…
『おな〜り〜おな〜り〜』
ドンドンドン…
美しい着物を纏った蛙さんが襖をスッと
軽やかにお開けになられたのよ。
あー前と同じでゴージャスな滝を背にされた
泉国のお殿様が相変わらず素敵で、ますます燻しに燻された感に、惚れ惚れしちゃうわ〜
なんて、うっとりしちゃうゆきはね、いつもどこか、不謹慎よねー。 あー毛布踏みたいわ😮💨
『ゆき殿や、久しきこと。
この度は泉国の大鯰が、陸の者に無礼なる振る舞い、泉国の主として、詫びを申しあげたく、お呼び立て、いたした次第です』
あらあら、コチママ、ポキママ、椋鳥ご夫妻さん、みーんな、固まっているわ。クスっと。
おっとダメよ、ゆきΣ(-᷅_-᷄๑)
『金魚国の仲立ち魚よ。早く子らを連れて参れ』
『ハハア。只今、お連れいたします!』
『ゆき殿や、前に申した水難の秘薬の茶の事、
記憶におありかな?』
あ、はい!あの時、水難から身を守ってくれるという、秘薬のお茶をいただいた事は、有り難くて、忘れられません!
『左様であるか。ハッハッハ… あの時、交わした其方を水難から守る約束が
あの茶に込められた秘儀によって、しっかと作用したようであるなあ。ハッハッハ…
本来は本人だけ、効力があるが、其方、
猫神様にお頼みした甲斐があったなあ。
ハッハッハ…ハッハッハ…』
お殿様、ありがとうございます😭
猫神様、ありがとうございます😭
もひとつおまけに、
すみちゃんお婆ちゃん!
ありがとう😊
『お待たせを』
『ママ〜エーンエーン、ママ〜
ごめんなさ〜い』
『チビ助➖この子は、もう!(涙)』
『ママ〜ママ〜エーンエーン』
『きなこ➖きなこ➖(涙)』
良かったわ。ご無事でなによりよ😹
『ゆきちゃん、これでお祭りのご恩がお返しできて、良かったです!これからも宇壷家の皆様を、私、金魚国の仲立ち魚としてお守りいたします!
それから、あの大鯰ですが、水神様に罰として大髭を抜かれてしまったそうです。再生するまで120年かかるそうで、その間は悪さはできません! なので皆さんご安心下さい!
今は水神様にお仕えしているようです。』
金魚さんありがとうございます♪
『さあ、ゆき殿、皆の者たちよ!
泉国にお出でになったのも、縁であるなあ。故に、皆の者よ、泉国の茶を一服召し上がってから、戻るが良いぞ!ハッハッハ
子らも飲むが良いぞ。ハッハッハ
この縁が水と土の更なる繋がりを示すものとなる事を願って。』
私たち一同、お茶をいただいてね、
お殿様に ハハアーとお辞儀をした瞬間よ〜
またまた勢いよく飛んで来た龍さんに
一目散に咥えられてね、気付いた時にはね私たち、御池のほとりにいたのよ。
そしてね、皆んなヘトヘトになりながら、天高くお昇になられた龍さんを、ただただ無言で見送っていたのよ。 忙しかったわ。
皆んな我に返った時にはね、
雨も上がってね、辺りの木々の葉もしっとりとしていてね、なんとも清々しい空気が心地よく流れていたのよ。
お日様の光が雫を帯びた葉っぱに当たって、風がサア〜っと吹いた瞬間に、キラキラ、雫さんたちが輝きはじめたの。
それは一瞬の事だったわ。
たまゆらよ!
宇壷庭の皆んなと力を合わせた
ご褒美ね!
猫神様、すみちゃんお婆ちゃん!
ありがとうございます😊
たまゆらの美しさに、皆んな
あっけにとられていたわ。
全てが揃わないと見られる
ものではない事に、皆、
涙していたわ。
第17話/後編 お終い
長々なお話し、お読みいただき
ありがとうございます😊
まだまだ、ゆっくりですが
続きます。
よろしくお願い致します(//∇//)
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