勇み立ちどこにも往けぬ鯉幟
薫風を避けるマスクの人また人
疫禍恐るは人 風薫らすは花
逢ひにゆく道の山吹雪柳
春塵やバンドネオンの咳払ひ
永きため息のごとくに春過ぎぬ
口に出さず日永の空に書く言葉
君の背に光輪見えて春暮色
陽春や御使ひ出づる阿片窟
猫に手を引かれて朧夜の逢引
恐竜の滅亡悼む菜種梅雨