3月12日(日)13時~17時の間で、NPO法人POSSEでは、相談無料・秘密厳守の「過労死なんでも相談会」を開催します。
ぜひ、「家族が過労死したかもしれない」、「労災申請がしたい」、「証拠を集める方法を教えて欲しい」、「どんな制度が使えるのか知りたい」などに悩まれている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
相談無料・秘密厳守で対応しています。
・概要
3月12日(日)13時~17時
相談方法:電話・メール・POSSE事務所での対面相談(対面相談を希望する方は事前にメールにお名前、連絡先、相談内容を記載してご予約をお願いします)
電話番号:0120-987-215
メールアドレス:soudan@npoposse.jp
住所:〒155-0031 東京都世田谷区北沢4-17-15 ローゼンハイム下北沢201
※相談無料・秘密厳守
・相談会の趣旨
日本では国が認めるだけでも毎年200人近い方が、過労死や過労自死、ハラスメント自死など、職場の労働環境が原因で命を落としています。しかし、その背後には、過労死だと思ってもどうすればいいかわからずにアクションを取れない、労災申請したくても会社から申請を妨害される、証拠を集められずに困っているなどの遺族の方が何千人、何万人もいると言われています。
過労死・過労自死を起こした会社は、責任を亡くなられた本人や家族に転化し、当事者を責めたり、証拠を隠滅したり、労災を申請させなかったりとする場合があります。しかし、そのような状況にあっても、あきらめる必要はありません。労働問題に詳しい労働NPOや労働組合、弁護士などにつながることで、労災認定や損害賠償の獲得、会社に責任を取らせるなどをすることができます。
労災申請や裁判などでは、法律や制度的な壁が立ちはだかることがあります。そのような問題があったとしても、社会問題にしていくことで、法律や制度そのものを変えていける可能性もあります。
「家族が過労死したかもしれない」、「労災申請がしたい」、「会社を訴えたい」、「証拠を集める方法を教えて欲しい」、「どんな制度が使えるのか知りたい」、「弁護士を紹介して欲しい」など考えている方がいればぜひお気軽にご相談ください。
・POSSEができること
POSSEでは労災申請のサポートや過労死問題に詳しい弁護士を紹介したり、裁判傍聴などの支援を行っています。労災申請では、長時間労働やパワハラを国に認めさせるための証拠集めや、労働時間計算を専門知識を持ったスタッフと一緒に進めます。例えば、亡くなった方の携帯やパソコンや手帳などから労災申請に必要な情報を探したり、協力してくれる関係者から聞き取りをしたりします。労災が認められなかった場合は、審査請求や行政訴訟を行います。
・支援実績
これまで私たちが支援してきた事件のうち、象徴的な2つの事例を紹介します。具体的な私たちの支援のイメージを共有できたらと思います。
①機械部品会社で営業技術係係長として働いた後、長時間労働による脳幹出血が原因で過労死したAさん(当時51歳)のケース
2011年8月にAさんは脳幹出血が原因で亡くなりました。遺族が労災申請を行い、1年後に労災認定がされました。労災認定後、遺族は会社を訴えることも考えましたが、当時は、何をどうすればいいのか分からず、行動を起こすことができませんでした。それから5年経った2016年、私たちのところへ相談が来ました。過労死問題に詳しい弁護士の紹介を行い、証拠集めや会社の調査を一緒に進めていくことになりました。会社の調査では、Aさんが働いていた会社が労災認定の5か月後に解散していたことが判明しました。仮に裁判で会社に責任が認められたとしても、既に会社は解散しているので、遺族が補償を受けられなくなる可能性がありました。そのため、同時に取締役個人も訴えることにしました。弁護士によると、「前例がほとんどない難しい裁判になる」ということでした。裁判で会社側に責任を認めさせるためには、事件を多くの人に知って貰う必要があったため、原告の遺族と共に、記者会見や署名集め、裁判後の報告集会などを行いました。2021年1月の東京高裁判決では、取締役個人の責任を認めさせる勝訴判決が出されました。詳しくは、こちらをお読みください。
【参考記事】
・遺児が訴えた「震災過労死」 10年を経て加害企業の賠償責任を認める画期的判決
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20210316-00227676
・「俺は働きすぎだ。何かあったら会社を訴えろ」過労死した51歳男性の家族を待ち受けていた“ひどすぎる仕打ち”
https://bunshun.jp/articles/-/56172
②家事代行及び訪問介護ヘルパーとして個人宅に住み込みで働いていた女性のBさん(当時68歳)が、私的に訪れた入浴施設で倒れているところを救急搬送され、翌日、急性心筋梗塞で亡くなったケース
Bさんは紹介会社を通じて、認知症を患う寝たきりの高齢者(要介護度は一番重い「5」)の個人宅にて住み込みで働いていました。常時対応が必要なため、2015年20日~26日までの1週間、ほぼ24時間休みなしで、清掃や洗濯、食事の用意、介護などの仕事をしていました。
Bさんの死は仕事が原因だと思った遺族は、2017年5月に渋谷労働基準監督署に労災申請をしましたが、2018年1月に不支給決定となりました。その後の異議申し立ての手続きである審査請求、再審査請求も国から退けられました。その理由は、Bさんが労働基準法116条2項の「家事使用人」に該当し、同法及び労働者災害補償保険法の適用除外となるため、というものでした。
Bさんの遺族は、自ら探した弁護士に頼んで既に労災申請をしていましたが、情報共有や進捗の説明が十分にないなど弁護士とのやりとりに不安を感じたため、私たちのところへ相談に来ました。私たちはPOSSEと関係のある労働問題専門の弁護士を新しく紹介しました。その後、ご遺族は過重労働が原因で死亡したのに、家事労働者に労災が認められないのは不当だとして、2020年3月に国を相手に東京地裁へ提訴しました。遺族は会見で「家事労働者が労働者として守られないのは重大な人権侵害で納得できない」と訴えました。
2022年9月に出された東京地裁判決は、残念ながらご遺族の訴えを退ける内容となりました。その一方で、問題改善に向けて大きく前進した部分もありました。10月14日には、国が家事労働者の実態調査を行い、来年度にも労基法改正を視野に検討を始めるという報道がありました。
こうして国を動かすことができたのは、家事労働者の問題を皆で力を合わせて「社会運動」として取り組んできた成果だと言えます。11月9日には、家事労働者へ労基法や労災保険の適用を求めるオンライン署名約3万5000筆を厚労省担当者へ提出もしました。
今年の1月24日からは東京高裁で控訴審が始まり、初回の裁判期日には傍聴席を埋めるほどの約40人が集まりました。今後も、裁判傍聴や家事使用人に関する労基法の法改正へ向けて支援を続けていきます。詳しくは、こちらをお読みください。
【参考記事】
・24時間死ぬまで働かせても「合法」? 家事代行サービスの過労死事件で驚愕の判決
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20221127-00325645
・“家政婦に労基法適用されない規定廃止を” 遺族が署名提出
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20221109/1000086583.html