「AIと労働についての検討」(今野晴貴)では、AIの導入をめぐる政策、AIが「ブラック企業」にもたらす影響、さらにはその後の労働運動の展望などについて論じています。本号特集「働き方改革「技術ユートピアの幻想」」のとおり、「技術ユートピア」論を批判的に分析する論文となっています。
筆者は「技術ユートピア」論を理解するうえで重要なポイントとして、
「ここで、大前提として留意すべきことは、新しい技術の導入は、歴史的に見て、必ずしも人間中心的にはなされてこなかったということだ。むしろ、近代社会の基本的なモードは機械に人間が合わせるように、従属させられてきたというべきだろう。」
としたうえで、機械化やIT化の過程について論じています。さらに、
「同じように、AIの導入がこのような機械化やIT化と同様の帰結とならない保証はどこにもない。」
と述べ、技術革新が「ユートピア」をもたらすかのような議論に一石を投じています。
さらに、AIが人間の仕事を代替した後の労働運動のあり方について述べた節では、「AIを代替する劣悪な労働の排除が最重要の課題」としたうえで、「実は、情報技術の発達によって労使関係に新しい変化が生じていることは、世界的にも確認されている」と説明しています。
このようなAI化の展望と労働問題をめぐる議論は、本特集全体に通じる重要なテーマです。AIに限らず、クリエイティブな労働が広がるなかでの労使関係やさまざまな問題を考えるうえで欠かせない視点が盛り込まれておりますので、興味のある方はぜひ「AIと労働についての検討」をご覧ください。
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