NPO法人POSSE(ポッセ) blog

6月18日に定期総会を開催しました!

6月18日に北沢タウンホールで特定非営利活動法人POSSE第9期定期総会を開催しました。
活動・事業報告では労働相談・生活相談実施状況について報告を行いました。
以下その内容になりますので、ぜひご覧ください!

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労働・生活相談実施状況(2013年4月1日~2014年3月31日)

●労働・生活相談件数
 2013年4月1日から2014年3月31日までの1年間の労働・生活相談は、1419件にのぼりました。972件だった昨年度から大きく増加しています。


図1 相談件数の推移


 全1419件のうち、労働相談は1108件、生活相談(生活保護や奨学金など)は311件でした。とくに、労働相談件数の増加は、「ブラック企業」問題の広がりと大きく関連していると思われます。



図2 月別相談件数の推移


 昨年度に引き続き、親やパートナーなど、当事者に近しい人からの相談も増加しています(計153件)。本人が長時間労働などで相談する時間がないケースや、家族が体調面の異変に気づき、心配して相談するといったケースが多くみられました。

 こうした当事者以外からの相談の増加は、メディアへの露出も関係しています。相談経路を見ると、「ブラック企業 相談」や「労働相談 24時間 電話」などWeb検索が昨年度と同様、最大多数を占めていますが、テレビ番組でPOSSEが取り上げられた際に、そこからの相談が増加しています。また、『ブラック企業』等、関連書籍を読んで相談に来られる方も、毎月一定数、存在しています。

●相談内容
 賃金に関する相談が390件と最多で、次いでパワー・ハラスメントが344件となっています。また、退職勧奨、解雇、「辞めたい」の3つを合わせると362件となり、離職に関する相談も多く寄せられています。

 今年度の特徴として挙げられるのは、長時間労働の相談が大きく増加しているということです(300件)。例年、相談件数の多い、賃金やパワハラに迫る勢いとなっています。離職トラブル等、決定的な局面になってから相談に来るだけでなく、「このまま働いていると身体を壊してしまいそう」と働き方に疑問を感じ、予防的に相談される方も増えているのではないかと思われます。こうした傾向も、ブラック企業問題の浸透と関連しているでしょう。また、長時間労働の相談の中で、正確に労働時間を把握できるもののうち、過労死ライン(月80時間以上の時間外労働)を超えているものは93件でした。

 パワハラや長時間労働の相談と関連して、うつ病などと病院で診断された、あるいは相談員が罹患の可能性があると判断したものは477件(33.6%)でした(※ただし、「心身不良」には生活保護の相談も含む)。

 さらに、今年度の特徴としてもう一つ挙げられるのが、「求人と実態の乖離」という問題です(分類では、「その他」でカウント)。「正社員での募集だったが、実際にはパートだった」、「面接で聞いていたより、拘束時間が長い」など、問題は多岐にわたります。全体で、88件にのぼりました。



図3 相談内容別件数(複数回答)


●雇用形態と勤続年数
 昨年度に引き続き、正社員からの相談が約6割、勤続年数3年未満が約7割を占めました。なかでも、2013年4月に入社した新卒者からの相談は47件で、長時間労働や「辞めたい」といった内容の相談が多く散見されました。今年度の新卒者に限らず、新卒で入社した会社で2年目、3年目といった若年正社員からの相談も寄せられています。

図4 雇用形態別の相談件数(n=688)



図5 勤続年数別の相談件数(n=705)


●年齢階級
 年齢階級の分布をみると、「25~34歳」が最も多く、次いで「35~44歳」となっています。15歳から34歳までの若年層で半数以上を占めています。


図6 年齢別の相談件数(n=821)


●企業規模
 企業規模別の相談件数では、従業員50名未満が約半数を占めました。昨年度からそれほど大きな変化はありませんが、101~500名規模の企業の割合が増加しています。

図7 企業規模別の相談件数(n=507)


●男女別相談件数






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生活相談

Ⅰ.「POSSE 生活保護相談事例調査(2011~2013年)」結果の分析
1.本調査について
2011年1月1日から2013年12月31日の3年間にPOSSEに寄せられた生活相談(計463件)を、相談時の状態別、違法性の有無、「水際作戦」や就労指導などの問題の有無などにより分類した。以下の項目では、分類した結果とその分析、そして寄せられた相談の中から各トラブルの象徴事例を取り上げている。

2.相談者の状況

図表1



図表2



図表3



3.違法性との関連
図表4のように、違法性が明確な件数は81件と、全体の17.5%を占め、違法だと疑われる件数は131件と、全体の28.3%を占めた。また、図表5のように、基準引き下げの相談と、一度も福祉事務所に行ったことがない人からの相談とを除いた相談件数(299件)の中で、違法な対応が行われた件数は77件と、25.8%を占め、違法だと疑われる対応が行われた件数は123件と、41.1%を占めた。

図表4



図表5




4.トラブルの類型
トラブルの類型

図表6


①申請時のトラブル
水際作戦
図表7に見られるように、申請前の状態での相談件数(222件)のうち、水際作戦が行われていた件数が27.5%と、約4人に1人に対して違法な対応がなされていた。

図表7

②申請後開始前のトラブル
迅速に保護を開始しない対応、申請取り下げの強要・促し等が挙げられる。
③ 受給中のトラブル
就労圧力
生活保護の受給中のトラブルとして、担当のCWによる不当な就労指導の問題が挙げられる。図表8のように、受給中の状態でかつ、不当な就労指導が行われた人の相談件数(24件)は、受給中の相談件数(203件)のうち、約1割を占めた。さらにその24件のうち、疾患一般が見られた人の件数は18件と、75.0%であった。


図表8


その他、受給中のトラブルとしては、無料定額宿泊所、転宅・移管、保護費返還・「不正受給」、自動車保有、基準引き下げ等が挙げられる。
④ 廃止時のトラブル
不当な保護の打ち切り、辞退届の強要等が挙げられる。

5.年齢と労働問題との相関
図表9のように、20代、30代の若者からの相談では過去に労働問題があったものが散見された。具体的には、過重労働に伴ううつ病により働けなくなったこと、雇用保険や労災保険の受給ができずに失業後の生活費が不足してしまったこと等が原因で、生活保護受給に至ってしまったとみられるケースが見受けられた。

図表9


6. まとめ
・POSSEに寄せられた相談件数は2011年に18件、2012年に189件、2013年に256件と、過去3年間で10倍以上に急増している。
・違法性の有無に関しては、基準引き下げの相談と、一度も福祉事務所に行ったことがない人からの相談とを除いた相談のうち、明確に違法といえる対応は25.8%を占め、違法だと疑われる対応と合わせると、66.9%を占めた。そのほか、居住環境の劣悪な無料低額宿泊所への入所の強要、保護の不当な打ち切り等、違法な対応が現場で数多く行われていることが分かった。
・「水際作戦」の有無に関しては、申請前の相談件数のうち27.5%と、約4人に1人の割合で「水際作戦」が行われていた。厚労省が監督しているにもかかわらず、依然として現場では「水際作戦」が行われているということが分かった。
・就労指導と疾患一般に関しては、就労指導のトラブルがあった件数のうち、傷病・障害を抱えている人は約7割と、何らかの疾患を抱えているにもかかわらず就労指導が行われていることがトラブルの原因となっている可能性がある、ということが分かった。
・相談の中には、過重労働によりうつ病等の病気に罹患して働き続けられなくなったことや、失業保障が不十分であること等が原因で生活保護の申請に至るケースも見受けられ、過去の労働問題が生活保護に至る原因となっている可能性がある、ということが分かった。


Ⅱ.記者会見の開催
※いずれも生活保護問題対策全国会議との共催

1.東京都大田区蒲田の事例(2013年8月5日)
【概要】
 大田区蒲田福祉事務所で生活保護を申請しようとした男性が、「実家に帰りなさい」「ホームレスは自立(自立支援センター)に行ってもらう」などの理由を付けられ、申請権を侵害された。更に、POSSEスタッフ同行により申請が受理された後日に、区の指定する宿泊所ではなく、他自治体の友人宅で待機していたことを理由に申請取下げを強要された。
【経過】
・大田区蒲田福祉事務所に公開質問状を提出
 →福祉事務所は応答せず。
・現在、東京都に対し審査請求中。

2.「POSSE生活保護相談事例調査」報告と4つの事例(2014年1月24日)
①「POSSE生活保護相談事例調査(2011年~2013年)」報告 →Ⅰ参照
②東京都大田区大森の事例
急迫状況にあった50代男性に対し、大田区大森福祉事務所が生活保護を開始せず、財産分与で係争中の兄弟に不適切な扶養照会を行った。
③東京都目黒区の事例
住居を喪失した状態で目黒区福祉事務所において生活保護を申請しようとした40代男性が、申請にあたって無料低額宿泊所への入所を強要された。
④東京都武蔵野市の事例
武蔵野市福祉事務所で生活保護を申請しようとした男性が、「別の制度を利用してください」、「診断書がないと申請できない」などの理由をつけられ、申請権を侵害された。
⑤京都市下京区の事例
大阪府茨木市の実家に住んでいた20代男性は生活苦で住居を追い出され、京都市下京区で生活保護の申請に行った。住居がない場合は現在地で申請できることに制度上なっているにもかかわらず、実家の住所と申請場所が違うことを理由に茨木市で生活保護の申請をするように言われ追い返された。

3.群馬県桐生市の事例(2014年3月26日)
50代女性が生活保護申請のために2回桐生市福祉事務所の窓口へ行き、4回にわたって電話したにもかかわらず、福祉事務所が「子どもに養ってもらえ」「(足に障害を抱える)夫をハローワークに行かせろ」などという理由によって女性を追い返し、生活保護の申請権を侵害した事案。
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