5月25日の朝日新聞朝刊に、NPO法人POSSE(ポッセ)事務局長・川村のコメントが掲載されています!
2012-06-05 17:47:37
ここで掲載されている解雇・退職勧奨の問題については本ブログでも取り上げているので、そちらもご覧ください。
【解説】「自分の都合で離職する若者」が多いって本当?
第一回「第三のバックラッシュを許すな!」 http://bit.ly/KZAPrK
第二回「データ不在の「自分勝手に辞める若者」」 http://bit.ly/L4SJG1
第三回「「自己都合退職」の大半が偽装」 http://bit.ly/KcaHKV
第四回「自己都合退職はハローワークで作られる」 http://bit.ly/K1R3eo
最終回「「自己都合で辞めた」と考える若者たち」 http://bit.ly/N61Ieq
解雇・退職勧奨再び相談増加 5大都市圏 円高など受け
主要5都道府県への解雇・退職勧奨の相談件数
解雇や退職勧奨をめぐる相談件数が再び増え始めた。5大都市圏の東京都、大阪府、愛知県、福岡県、北海道の窓口への件数は、リーマン・ショックの影響が薄らいでいったん減っていたが、昨年度は前年度から12%増加。超円高や欧州債務危機を受け、製造業を中心にリストラが加速していることが背景にある。
公的な労働相談の窓口としては国の機関である各地の労働局もあるが、集計が早い自治体の統計を朝日新聞がまとめた。昨年度の5都道府県への「解雇・退職勧奨」(東京は「解雇・退職」)に関する相談は、計2万4841件あった。2007年度は約1万9千件だったが、リーマン・ショック後の09年度は約2万7千件に急増。その後、リストラが一巡した一昨年度は、約2万2千件に減っていた。
地域別では、東京が前年度比17%増、愛知が同5%増、北海道が同27%増。件数が全体の8割と圧倒的に多い東京の増加が全体を押し上げた。大阪は10%減、福岡は7%減だったが、リーマン・ショック前の水準を上回っており、「高止まりの状況」(大阪府)という。
昨年度は、リコーやTDK、NECなど製造業大手がそろって1万人規模の人員削減を発表。希望退職募集や事業所の統廃合を始めた。下請けなどにも影響が広がっているとみられる。
相談内容も変化している。雇い主が雇用契約を打ち切る「解雇」と、労働者側が同意して職場を去る「退職」をわけて集計する東京では、09年度までは解雇の相談が退職を上回っていた。ところが10、11年度は退職のほうが多い。担当者は「高い数値目標を課され、未達を理由に退職を迫られた人が多い」という。
労働相談を受けるNPO法人「POSSE」の川村遼平事務局長は「解雇は理由の立証が必要で、トラブルになりやすい。経営者の間で、解雇を避けて自主的に退職させる手法が広まっている」と話す。(内藤尚志、吉川啓一郎)
(人減らし社会:1)異動で、ノルマで、追い込む 「辞めます」待つ会社側
関東地方の工業団地に立つ倉庫。灰色の作業着姿の男性(50)が、プリンターを段ボール箱につめていたら、20代の上司から注意がとんだ。
「もっと早く!」
昔のように体が動かず、同じミスをくり返してはしかられている。オフィス機器メーカーのリコー(本社・東京)に勤めて約25年。技術者として採用された自分が、倉庫で箱詰めの仕事をするとは……。
コンピューターソフト開発と販売先のサポートの仕事が長い。約2年前、コピー・ファクスの複合機の営業支援係に異動した。「看板製品にやっとかかわれる」と喜んだ。
そんな会社員生活が歴史的円高の進んだ昨年7月、暗転する。上司から「まかせる仕事がなくなる」と告げられたのだ。会社は2カ月前に1万人の従業員削減を発表していた。その一環の希望退職に応募するよう勧められた。
自分は飛びぬけて優秀ではないが、まじめさには自信がある。残業もいとわなかった。それなのに、なぜ? 上司から理由の説明はない。
次の仕事が心配になった。私立中学の長男の学費がかさむので収入が減るのは困る。
上司に紹介された再就職支援会社にも、「会社に残れるのでは」といわれた。開発から販売後の支援まで広く経験した職歴は貴重で、社内で生かせるはず、というのだ。
「辞めません」。そう上司に伝えると、「派遣のようなつらい仕事になるぞ」。9月、倉庫に異動になった。
リコーでは、同じように退職を拒んで異動になった社員らが労働組合を結成。男性とは別の2人が申し立てた労働審判で、東京地裁は22日、異動は無効と判断した。「(異動の)必要性が立証されていない」との理由だ。リコーは異議を出し、今後は裁判で争われる。リコー広報室は「正当性を裁判のなかで主張していく」としている。
▽ ▽ ▽
退職を拒んだら、きびしいノルマを課された。できないとクビなのか――。東京都の外資系不動産会社の男性(55)は、そんな不安におしつぶされそうだ。
5年前、閉店を加速していた大手スーパーから転職。もっと出店にかかわる仕事がしたいと思った。ところが、1年ほどでリーマン・ショックに遭遇。商業地開発の担当をはずれ、一昨年からビルのテナント誘致をしている。
年長者として若手への助言に力を入れたのが、あだになった。昨年春、「個人の実績がない」と人事の評価が最低に。退職や別の会社への出向を渋ると、「成果向上プランにとりくんでもらう。未達なら解雇する」といわれた。
空室のオフィスを埋めるのがノルマだ。自分は商業の専門家で、オフィスは素人。「できないとわかっていて、やらせているのでしょう」
「退職を迫られた」という相談が自治体の窓口に殺到している。以前は最も多い相談は、経営者が一方的に雇用契約をうち切る解雇がらみだった。最近は、労働者が自ら辞める退職のほうが目立つ。
▽ ▽ ▽
「解雇だと訴訟などのトラブルになりやすい」。西日本で飲食店を展開する企業に勤める男性(37)は解説する。「辞めてほしい社員は不慣れな担当にすればいい。自分は向いていないと退職願を書き出す」。法務部にいたころ、各部署にそう助言していた。
しかし、いまは立場が逆になった。一昨年12月に異動させられ、3カ月後に上司から退職を求められた。ふり返ると、会社が検討していた新事業の法的問題を指摘したのが原因ではないか、と思う。
サラリーマンとして会社の利益に貢献したかった。伸び悩む社員を、若くて意欲のある社員に入れ替える。そういう会社なら、社員の緊張感も高まる。法科大学院で身につけた法律の知識を駆使して、トラブルをさけながら社員の入れ替えを支えてきた。
退職させられる側になって、はじめて気づいた。家族との生活、将来の夢。社員はそれぞれの思いを抱えて入社し、仕事をしているのだと。その思いをくみとらず、数字の目標ばかりを追っていた自分を恥じた。
「これからは社会をよくするために法律を使いたい」。会社を去る気はない。社風をただすのが自分のつとめだと思っている。(内藤尚志)
*
人減らしがとまらない。何が起きているのか。退職や解雇の実像に迫る。
■電機業界で相次ぐ従業員削減
<パナソニック> 約38万5千人を、2013年3月末までに35万人以下に
<リコー> 1割にあたる約1万人を13年度までに削減
<TDK> 取引先も含め、約1万1千人を約2年間で削減
<NEC> グループの約5千人と、業務委託先の約5千人を12年度前半をめどに削減
<ソニー> 6%にあたる1万人規模を12年度中に削減
また、POSSEでは解雇・退職勧奨についての相談に対応しております。
相談については下記の連絡先へお気軽にご連絡ください(相談無料・秘密厳守)。
TEL 03-6699-9359
FAX 03-6699-9374
E-mail soudan@npoposse.jp
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NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。
なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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NPO法人POSSE(ポッセ)
代表:今野 晴貴(こんの はるき)
事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
所在地:東京都世田谷区北沢4-17-15ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9374
E-mail:info@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
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