コラム:ノーベル賞に近い清滝氏の挑戦的発言、緩和長期化と低生産性を読み解く=熊野英生氏
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5月15日の経済財政諮問会議では、この清滝教授が「インフレ率が1─2%程度に定着すれば、量的・質的緩和は解除するのが望ましい」と語った。
同じ会議には、植田和男日銀総裁も同席していた。
日銀は物価が安定的に2%で推移するまで超緩和政策を継続すると宣言しているのに対し、インフレ率は1─2%の方が良いと主張している。
これは、早期解除論だ。さらに清滝教授は「1%以下の金利でなければ採算が取れないような投資をいくらしても、経済は成長しない」と刺激的な発言を行った。
1)日本でも、円安と輸入物価の急騰から、目標値を超えるインフレが続いている、2)インフレ率が1─2%程度に定着すれば、量的・質的緩和は解除するのが望ましい、3)量的・質的金融緩和の問題点として、長短金利差やリスクプレミアムが小さくなり過ぎることがある、4)長期金利を低く抑える政策も長く続けると、一方的な投機にさらされて国が損をする、5)不動産などの資産価値が高くなり過ぎる、6)金融政策の判断は日銀が責任を持つべきだが、1990年代末以降のデフレのトラウマのために、政策判断が遅れてはいけない──と述べた。
発言の骨子は、1)過去30年間、日本の労働生産性の伸び率は諸外国に劣った、2)そのため(日本は)先進国から中進国の方向に逆戻りした、3)バラッサ・サムエルソン効果により、(日本の)実質賃金や非貿易財価格の上昇率が外国より低くなった、4)東京は1990年頃、世界で最も物価の高い街の一つだったが、今はそうではない。そのため、日本はデフレになりやすい傾向がある、5)今後、デフレになりにくくするためにも、労働生産性の上昇率を諸外国並みに高めることが必要。そのためには、無形資産の蓄積と技術進歩が最も効果的と思う──。
低金利は生産性の低い投資案件を実行させて、企業の収益体質を脆弱化させる。これは、中長期的にみて、デフレに陥りやすい金融政策ではないかと、清滝教授は緩和を長期化させることに批判の矛先を向けている。
平時に戻っているのに、これを続けるのは弊害が大きく、経済の脆弱化を促すと訴えている。
円安によって、インフレ促進を後押しすることは、見かけ上はインフレ率の数字をかさ上げすることになっても、健全な企業の成長を促すことにはならない。
本当に日本は、公定歩合・政策金利を上げるタイミングを過去に何回も失っており、長期的な低金利に陥り失われた30年と、更に継続して広範囲の分野に弊害が現れて経済は撃沈した儘だと言えます。
富裕層の投資家と米国の経済を守り維持する政策だとも言えます。
派遣労働社員・非正規社員の待遇・処遇では、かつて日本が誇った職人技を本気で取り組む人々は居ないに等しいとも言えます。
これでは民衆は労働意欲が湧く筈もなく生産性の上昇は望めないでしょう。
日銀が何時迄も超緩和政策を継続していては、現状を脱出して世界に誇れて強い日本にすることは不可能です。
30年前と昨年の金額を比較
平均年収 約455万 約418万
退職金 約2870万 約1980万
消費税 3% 10%
たばこ 120円 220円
ガソリン 130円 170円
軽自動車 90万 150万
ディズニー入場料 4400円 9400円