吾輩は猫である~第一章~
吾輩は猫である~第二章~
吾輩は猫である~第三章~
吾輩は猫である。
名前はトラ
今年14歳。
それは7月の終わり。
蒸し暑い 夏の夜におこった出来事である。
土曜日深夜。 吾輩は飼い主とテレビをみていた。
明日は日曜日。
飼い主と長く過ごせる憩いの時間。
...何の前触れもなく それは起こった。
鼻血だ。 *イメージ映像
あ〝ーーーーっ!!
トラちゃ~~~ん
絶叫する母。
その声に驚きまた一滴たれた。
*イメージ映像
トラちゃんが鼻血ーっ!
慌てふためいた母が二階で爆睡中の父を起こす。
...まずいことになった。
動物の夜間救急病院に電話する母。
何をやりとりしてるか、とんと分からないが
『治療費なんかいくらかかってもかまいません! トラちゃんを診てくださいっ!!』
...ほんとにマズイことになってきた。
...母が..家にある現金を全部バッグにつめている...。
キャリーケースを持った母が近づいてきた。
顔面蒼白だ。
父も着替えてスタンバイしている。
あの...
ほんとにたいしたことないですから。
他人事の嫁。 華子。
吾輩の声は誰にもとどかない。
キャリーケースに入れられ車に乗る吾輩。
高速と都市高をぶっ飛ばし、夜間病院に向かう。
深夜の3号バイパス。
高速でも下道でも そう変わりはないですよ。
...今は何を言っても無駄だ。
病院到着。
診察受付。
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吾輩の番だ。
どうされましたか?
と、若い男の獣医さん。
トラちゃん、鼻血がでたんです!
ポタポタって!! と母。
獣医が少しひいた。
鼻血にも色々原因がありますが...云々...
明日まで様子みても大丈夫かと...云々...。
検査してください! と母。
こちらでも検査できますが、時間もかかるし通常よりだいぶ高い検査代になります。
様子みて、ご心配だったら後日かかりつけの先生に診てもらっても...云々...。
いくらかかってもかまいません!!
トラちゃんを治してくださいっ!!!!!
ヒートアップする母。
時間かかかっても高くてもなんでもいいから検査してください! と父。
吾輩の頭上で、飼い主 獣医のバトルが繰り広げられている。
あの...ほんとにたいしたことないですから...
吾輩の声は誰にも届かない
余談だが、うちの飼い主 (父親) は こわもてだ。
東京出張。
新宿歌舞伎町で怖いお兄さん達から
『 どこの組のものだ! 』とからまれ
『 福岡のサラリーマンだ 』 とこたえた逸話をもつ。
普段は怖いお顔の社長さんだが、吾輩や華子にはデレデレのとても優しい飼い主だ。
でも、初対面の人は間違いなく怖い。
間違いなく怖い。
吾輩の鼻血に気が動転している母に、こわもての父。
獣医さんもさぞかし怖かっただろうと思う。
デッドヒートの末、
『 緊急性はありませんから! 』
よく言った。 獣医さん
念のため止血剤をうたれる吾輩。
何もしないわけにはいかなかったのだろう。
診察が終わり冷静さを持ちなおす飼い主。
夜間救急病院。
次々運ばれてくる重症患者。
ピンピンしている吾輩を見て我に返る。
あら...場違いだった..かな
多分ね。
帰りの車中。
吾輩は初めて車の中で熟睡した。
朝4時。 帰宅。
なぜ鼻血が出たかって?
ここで話すとまた長くなるので省略するが
ほんとにたいしたことじゃない。
その後の体調もすこぶる良い。
この家にもらわれてきて早や三年。
深夜の鼻血事件を大笑いしながら話す飼い主を見て吾輩はこう思う。
吾輩は幸せな猫だと。
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