"FOR THE CUSTOMER"

創業120年の建設会社「今西組」の六代後継者が あなたの”いいね”を築く!

「カレル氏、ヒマンシュ・エレクトリック社、虎視眈々」

2010年01月09日 10時57分35秒 | Weblog
「社長、インドからお電話です。」秘書が慌しく言い放つ。

こちらをむく余裕はないようだ。

「はい、代わりました」

「こちらデリー現場の山本です。」

「時差があるから、、、もう夜の6時か?」

①「はい。実は我々の共同住宅の施工を、発注者のカレル氏が大変気に召されたようで、知り合いの携帯広告会社の社長を是非紹介したいとおっしゃっておられるのですが」

「現場には携帯広告会社の社長はいらっしゃったのか」

「はい、昨日、丸一日おられました。おかげでほとんど仕事はできませんでしたが」

「工期は詰まってきているのか」

「現地の調達スピードは、日本とはずいぶん分が違うようです。文化観の違いもあるかと思います」

「遅れそうなのか」

「たまたま現場の近く、車で2時間くらいでしょうか、現地日本法人の資材工場があります。

そこが製品の品質もよいので直接注文していて、納期はきっちり守ってくれて心配はありません。

労務についても作業スピードは予想通りの遅さで、そこは工期に織り込んでいたので問題はないと思います。

なにしろ土木作業員はほぼ全員がヒンドゥー教でしたので、宗教観の対立は今のところありません。

問題は外注分です。施主指定の電気設備業者「ヒマンシュ・エレクトリック」社が定例会議に来てくれません。

工程の説明が滞り、職人の数が予想を下回っております。

それについては昨日、その携帯広告会社の社長とカレル氏と同行しているときに、直接カレル氏に伝えてもらえるようにお願いしました。

インドでは知人のいる状況で、互いの建前に非情なプライドを持つ国民性のようで、電話のように二人だけで話すときよりも、誰か第三者がいたときのほうが意見を聞いてくれるのです。

無理して格好つけて、とんでもないことを言う時もありますが。

私もようやくコツをつかんで来ましたが、もう工事も終わりですね(笑)」

「携帯広告会社からは受注が見込めそうなのか」

「先ずそのオーナーが自邸を作りたいとおっしゃっております。

さらにインドは携帯普及率がうなぎのぼりのようで、広告を出せば必ず知名度は広がる、インドの建設会社は社会的に信用が低く、競合他社はドイツやEUの建設会社となるだろうが日本企業はまだ知らない、だからチャンスはあると思う、一度社長とお会いしたいとのことです」

電話を切った後、まだ慌しそうにする秘書に社長は言った。

「至急、デリー行きの飛行機をおさえてくれ。

2010年代がスタートした。

「虎」視眈々(こしたんたん)と窺っていこうじゃないか。