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「ビシュヌ・プラサド・ダマラさん追悼会」に参列して

2012年02月29日 17時20分38秒 | ツィッター
平成24年1月16日早朝、ダマラさんの「あれほど生きたいと願った明日」が奪われた。

2月21日。「ビシュヌ・プラサド・ダマラさん追悼会」が大阪・千日前の法善寺にて催された。我々日本人の気持ちを代表し、追悼会という形で表現された、主催者の前浄土宗宗務総長・里見様、千日前法善寺住職・神田様にこころから感謝する。

平成24年1月16日、大阪・阿倍野で発生したダマラさん暴行死事件は、残忍な犯人グループと不運にも出くわし、殴られても一切手を出さなかった被害者の写る防犯ビデオとともに、関西のメディアで多数報道された。

以降、加害者で逮捕された若年男女3名がそれぞれ暴行・窃盗・覚せい剤容疑で起訴され、来る裁判員裁判で裁かれることとなっている。

ほか詳細は報道の通り。

当領事館にも刑事が捜査協力目的でお越しになった。

「被害者の財布にネパール紙幣が残っていた。その確認と価値を教えて欲しい」と刑事。

捨てられていた被害者の財布には、容疑者たちにとって価値のないネパール紙幣だけが残っていたようだ。

もうそのお金自体には誰にとっても何の価値もない、そう思いながらネパールマネーの為替を説明する。

警察の調べによると、容疑者たちはネパールが国の名前だということ、またどこにあるのかも当然、知らなかった。

事件直後、駐日ネパール大使館(東京・目黒)からも参事官が大阪へ来訪、事態把握のため警察本部に向かわれた。

当館からは今西名誉総領事が同行した。

ネパール国内でもニュースとして流れた。

ダマラさんの遺体は、諸々の配慮により、事件後すぐにネパール本国へ輸送されたと聞く。

追悼会で配られた住職の”趣意書”には、日ネ関係についてこう記されている。

「~(中略)ネパールと日本が国境を越え培ってきた友好を後退させることのないようダマラさんにお誓いしたい」

マスコミにはこのような善意の催しこそ、国内よりむしろ、ネパールへ発信する術を得て欲しい。

経済のグローバル化、またインターネットという手段が可能にしたボーダーレスなふれあい、多様なコミュニケーションが、時代のスピードとともに閃光の如く進行するなか、我々が今回の事件を機に見つめ直すべきは、日本人として国際社会で生きるモラルである。

・明日出会うネパール人は、日本人の私のことをどう思うのだろうか。
・本日出会ったネパール人は、日本人の私のことをどう思ったのか。
・昨日出会ったネパール人は、日本人の私のことをどう思っているのだろうか。

「ネパールと日本が国境を越え培ってきた友好を後退」させないためには、

・「昨日出会った日本人はネパール人の私を良く思わなかった。
・だから明日出会う日本人もネパール人の私を良く思わないだろう」

という「誤解の伝染」を少しでも減らしていく姿勢を保つことであるように思う。

我々は日本人として、ダマラさんの「かけがえのない明日」を一生懸命生きなくてはならない。

明日を生きることが叶わなかったダマラさんの「心残り」を思うとき、今このときを生きる我々は、この一分一秒を無駄にも、有効にも使える身だということに思いを馳せたい。