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内田鱗太郎さんの7冊目の詩集『なまこのぽんぽん』は、近年にない少年詩の傑作集だと思う。いや、もはや少年詩を超えているのではないかとさえ思える。私は、永年童謡を書いてきましたが、その視点からしてもその眼差しはむしろ童謡の視点と共通しているものを感じる。
麟太郎さんの作品世界に流れている眼差しは「自分の中の自分」ではなく「自分の中のみんな」が存在し、個と世界という二元的関係からすでに脱皮し、万人が共有できる普遍的で深い思考を、平易な言葉と表現で導いている。もはや芭蕉の軽みの境地とさえ思えてきます。
ぜひご一読をお薦めします。(銀の鈴社、1600円+税。絵は、大野八生)