録画していた中から、『高齢者破産の現実』という番組を観た。
NHKスペシャル老人漂流社会「老後破産の現実」という番組だった。
家族が出かけたあと、一人でゆっくりコーヒーを飲みながら見ていた私は、思わず身を乗り出してしまった。
ある85歳の青森に住んでいらっしゃるおばあさんの話を聞いて、固まりそうになってしまったのだ。
国民年金の受給額月額25,000円でご自分の生活費をすべて賄うというおばあさん。
「まんず、食費だば、月に4000年遣うぞ。娘が居るさどもみんな生活があるべ、心配かけれないべさ。家と田んぼがあるで、生活保護は受けられねんだ。」
そういいながらおばあさんは微笑む。
次に画面は変わり、おばあさんの畑仕事の場所に行く。
そこで、野草を摘むおばさんは、夕食の一品にするのだと、屈託のないかわいい笑顔で話す。
お金はなくとも、確かに、豊かな暮らしを営むことができるでしょう。
色とりどりの季節の野菜がずらっと並んだ食卓は、とても豊かに私には見えました。
けれど、青森のおばあさんは、毎月の医療費を支払えないから、滞納している。
そんな現実があったのです。
ずいぶんひどいじゃない、お母さんがこんな困窮を極めた暮らしを、たった一人でしているのに、
と、一人娘さんを責めるわけにはいかない。
何のために、人は生きるのか。
何のために先祖の田畑を守るのか。
生きるためにしていることが、自分のためにしているはずが、「しんぼうさえすれば」にすり替わってしまっているこの現実。
私の夕飯の献立は、娘と私のダイエット維持のために、糖質とカロリーも、少し制限している。
これを青森のおばあさんが知ったら、なんと言われるだろう、そんなことを、つい、考えさせられてしまう。
大阪は不正生活保護費受給が全国ワースト1と言われている。
最近は、ニュースに取り上げられなくなったが、その筋の人々が日雇い労働者を木賃部屋に囲い、彼らのためと称して、生活保護を不正受給する。
もちろん、彼らの手元には実際に生活保護費はいかない、その筋の資金源になるからだ。
本当の意味で、福祉ってなんなのだろう、そんなことを思うと、心が折れそうになる。