私のPDA履歴書 2
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さて、2001年の4月、奇跡的に大学入試を突破し大学生となった私はすぐさまiPAQ入手の準備を始めた。この段階ではまだ発売日すら発表されていない状態だったので、まずは発売日をネットでチェックすることから始めた。しかし当時はまだ自宅にネットが無かったものだから、毎日大学の端末室に通ってはネットで情報を漁っていた。まだまだ私はネット初心者だったものだから2ちゃんねるなどコアなところにはいかず、情報収集先としてWindowsCE FANを使っていた。しかしiPAQの発売日はなかなか明らかにされず、大学入学から一ヶ月ほどの間はずっと悶々とした日々を送っていた。
そんな状況に変化が訪れたのが5月の上旬である。ずっと発売日のはっきりしなかったiPAQ3630の発売が発表されたのだった。すぐさま私はアキハバラに出向き、iPAQ3630を触りに行った。手のひらの中でWordが、Excelが、Internet Explorer、Windows Media PlayerといったPCのWindowで使っているソフトが動くその様はあまりにも刺激的で、私はその週末に必ず購入しようと心に決めたのだった。
そして初めてiPaqを触った週の土曜日に、当時万世橋のたもとにあったLAOXデジタル館に買いに行ったのだが、ここでモバイルの世界の厳しさを知ることになる。なんとiPAQ3630はあまりの人気のため、あっという間に品切れになっていたのだ。店員さんの話を聴くと、どうやら予約分で全てはけてしまったとのこと。しかも悪いことに、次の入荷日がまったく見当がつかないということだった。私以外にもこの機種を待ち望んでいた人が予想以上に多かったのと、今考えればPDAというカテゴリゆえ出荷量そのものも相当少なかったのだろう。結局その日の購入はおろか、短期間でのiPAQ入手が絶望的なものとなったのだった。
いつになるか分からないiPAQ 3630の入荷を待つか、それとも他の選択肢を選ぶか。私は悩んだ。そのときに店員さんにこんなことを言われた。
「iPAQは確かに小さくて魅力的なPocketPCだけど、CFを使おうとするとCFジャケットをつけないといけない。つけるとかなり厚みが増してしまう。内蔵メモリがあまり多くなくおそらくCFはいつも使うことになるだから、本体にCFスロットを内蔵している機種の方がいいのではないか。それに最初に使うPocketPCとしてiPAQ 3630の6万円というのはちょっと高価だ。どんな使い方ができるのか分かっていないなら、まずは4万円と安めでしかもCFスロットを内蔵しているJornada525にしてみるのはどうだろうか」
これを聞いた私は考えた。
「Jornada525はiPAQ3630に比べてCPUとメモリが弱いし、デザインもiPAQ3630の方がいい。でも2万円安いというのは学生の身にはかなりうれしいことだ。それにPocketPCでどれだけのことができるのか分からないから、まずはエントリーモデルを使ってみるのもいいだろう」
そんなことを考えた結果、私はiPAQ 3630の購入をやめ、Jornada525の購入に踏み切ったのである。これが私のPocketPC使いとしての第1歩だった。しかしその道は予想とはかなり異なっていたのだが……それについてはまた次回の連載で。