ゆりかもめーる。

人生はrhythm BAR.

Sorrow of parting.

2006-07-02 18:29:01 | Art
離愁
   角川文庫
   著多島 斗志之

主人公が今は没している叔母の人生の謎を様々な資料や人の証言を得て解き明かしていくストーリー。
時は太平洋戦争の頃まで遡り、その叔母の恋人が危険思想者として警察に捕まって獄死するなど、その時代特有の理不尽さを体験した叔母はそういう事件が起こる前の明るい性格から一転、自分のコトを何も語らない無愛想な人間に豹変していた。
性格が豹変する原因としてはまだまだ色々な理由があるんだけど、最終的にはその謎を探っていた主人公自身も関係してくるコトが判明したり・・と一種の推理小説のような感じの本です。
謎が解けてスッキリみたいな
でも、結構ゆっくりと話が進むので多少いらいらします。
裏を返せば軸になるストーリーから離れたいわゆるサイドストーリー的な部分まで丁寧に書いてあるということで評価できるのかもしれない
ゾルゲ事件って知ってる?
太平洋戦争時代の大きなスパイ事件で、この事件について詳しく説明されたりはしてないけど物語のキーとなる事件です。
ま、予備知識無くても大丈夫だけど

読み進めると、後半部分で一気に叔母の謎の真相が明かされていくんだけど、淡々と書かれてるから大きな衝撃とか感動とかは無い。
でも、物語の最後の最後に載せてある、叔母から獄中の恋人に宛てた手紙の最後の部分がとてもじーんときた
その文章は物語が始まる部分より前の扉ページに抜粋して書かれていることから、著者もこの作品の中でかなり大切にしてる言葉だと思うんだけど、そこだけ読むとありがちな文章っていう気がする。
でも、全部読んだ後のその言葉はなぜか違ってて、この作品を締めくくるのにうってつけだなぁと素人なりに思った。

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