エロゲはやっぱり中古が一番

隠れた名作 消えた世界と月と少女

消えた世界と月と少女、プレイしました。

発売前に体験版をプレイした時、とても良くて、購入するつもりだったのですが、価格が高くて下がるのを待っているうちに忘れていました。
思い出した時には、いつものショップでは在庫切れ、今回はたまたま滅多に利用しないショップで見つけたのですぐに購入しました。
ただ体験版はずいぶん昔のことで、システムがここまでとは思いませんでした。第一にテキストが読みにくい。フォントだけでなく、縁取りや影などのカスタマイズが全くできません。唯一が文字の背景の透明度だけ。これが敬遠されたのか、やらかしたかなと思いながら初期設定のまま、進めていくうちにそんなこともまるで気にならないほどゲームの世界にすっかり夢中になっていました。

あらすじ
きっかけは、母の不審な死だった。
大和国広瀬郡 散吉郷―――
竹取物語と多少の縁がある名を持つ沖名 誠司(おきな せいじ)は
数年ぶりに故郷の村へと戻ってくる。

父との不仲から幼馴染の家に居候することになった誠司は、彼女の持つ
広い交友関係のお陰で、心地よい【仲間】と呼べる友と出会うこととなる。
しかし、そんな彼らと過ごす穏やかな日々は、永くは続かなかった。
母の死の真相を調べたことをきっかけに、誠司たちは惨劇に巻き込まれていく。
次々に起きる、伝承になぞらえたかのような、連続怪死殺●事件。
信じるべき仲間達が、一人、また一人と消えていく。

月に照らされた惨劇は、やがて信じたくない犯人の姿を映し出す。
(メーカーHPより)


日常のやり取りがいいですね。
自然な流れで、メイン・サブ含めて魅力満点。初っ端に大きな謎を見せつつも、田舎の長閑なゆったりとした気分が気持ちよく、テンポよく進みます。サウンドはもとより、CGが美しく、時折見せるヌリが素晴らしい。全くの別人かと思わせるくらい表情豊かなキャラがキラキラ輝いています。
みんな揃って年に一度のかぐや姫信仰の夏祭りが、村中で盛大に行われ最高潮を迎えます。

ところが一転、祭りが終わった直後から恐ろしい出来事が待っていました。
ここから先はネタバレになるので多くを語ることはできませんが、もともと主人公の誠司は子供の頃から過ごしていたこの村から暫くは都会で過ごしていました。何故この地を離れたのかはともかく、戻ってきた理由は一つ。数年前に原因不明で亡くなった母親の理由を知るためでした。しかも父親はまだこの村に住んでいるにもかかわらず、いくら不仲とはいえ幼馴染の家で居候するなんて奇妙な出だしです。
病死なのか、事故なのか、あるいは事件に巻き込まれたのか、何一つ分かっていません。ただこの村に隠された謎があるはずだと朧げながらも直感が働いたからでした。

主人公の誠司が狐のお面をつけた着物の少女に迎えられます。
おかえりなさい
???


少々グロい描写があるので、苦手な方は避けた方が無難かもしれません。ただ夏の夜には相応しい?ストーリーだけでなく、凄い仕掛けが幾重にも張り巡らされています。
私が好きなかずきふみも顔負けのシナリオで、ライターは「空好すぎる」さんなんですが、ただこれ一本だけのようなんですよ。ひょっとしたら「アラン・スミシー」のような覆面ライター?
アラン・スミシーはアメリカ映画監督で有名な話なんですが、同様にライターが架空名義で発表するのは珍しくはありません。童話作家がジャンルが全く違う推理小説なんかを描いてみたい、といったときに使うちょっとした遊び心ですね。ところが意外とそれがウケて、そのシリーズだけは架空名義のまま発表されるなんて、よくあるパターンです。仁木 悦子なんて推理小説の方が有名で、初期の童話作家としての大井 三重子なんてほとんど知られてないくらいですね。
またアメリカの推理作家の巨匠ジョン・ディクスン・カーといえばカーター・ディクスン名義でも多くの小説を書いています。推理小説ですから、当然探偵役がいます。ある程度有名になったところで、とあるトリックを企んでいたのですが、友人でもあるエラリー・クイーンが先んじて4部作最後の「レーン最後の事件」を発表してしまいました。それはカーが長年育ててきたトリックと同じものだったので、結局発表をあきらめて二つ名のままに活動することになったといわれています。
これは推理小説ファンの間では有名な話ですが、今時でしたら、むしろ喜んでコピペするのが当たり前。エロゲなんて最初にモチーフとしたアイデアを平然とパクっていますが、さすが巨匠といわれる人は違いますね。消えるべき名の方でも全米どころか世界中で翻訳されるほどの作品を世に出し続けました。

閑話休題。
今回は誰でも知っている竹取物語をベースにしています。かぐや姫は言い寄られた相手に対していろんな無理難題をだすのはご存知の通りですが、ここでもそれに沿った試練が与えられます。

竹取ではクリアしなければかぐやを娶ることができなくなるでしたが、ここでは主人公の沖名誠司だけでなくヒロインや親友6人の命をかけることになります。
失敗すれば助かりません。
生命をかけた戦いです。

次々と圧倒的な力を持った敵たちが誠司らを襲ってきます。
まず第一弾が月の使徒、物凄いスピードで瞬く間に取り囲まれます。
ようやく逃げ切ったと思ったのもつかの間、それ以上の魔術を有した敵が立ちふさがります。その名も十二単衣。



そして不可能な謎に阻まれたまま、ついに一人ずつ生贄として殺されていきます。かぐや姫復活伝説のために。
ハラハラドキドキ、手に汗握る展開でしたがとうとう誠司も追い詰められてしまいます。そして最後に恐怖の真の実行犯が月夜に照らしだされます。


「おかえりなさい」がここで初めて意味がわかることになります。

それとちょっとだけネタバラシを。
五色 瑠衣(ゴシキルイ)は図書館で探偵役のような立ち位置なのは体験版でもご存知の通りですが、とても面白い推理を展開します。お陰で誠司は真相に近付く可能性が相当高くなるのですが、その一つに今大流行の新型コロナ、ウイズコロナの考え方が腑に落ちるような細菌の説明に、思わず納得するかもしれません。
まあ、これは冗談なんですけどね(笑)
ただ彼女の関西弁には、何の違和感も感じませんでしたよ。大概は、イントネーションの違う関西弁を聞かされるので、うんざりさせられることの多いのがエロゲって思ってたんやけど、今回はチャいましたな。ホンマ、オモロかったで。
ところで彼女、いつの間にか消えてしまったようなんですが、一体何処へいったんでしょうか・・・
答えは最後の最後に語られることになります。
大掛かりな仕掛けとアッと驚くどんでん返し、最後のtrueでバックミュージックが流れだすと一気に感動の涙があふれてくるに違いありません。

キャラゲメインの私ですが、かなりのボリュームがあるにもかかわらず、最後まで中だるみもなく楽しめた隠れた名作だと思います。

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