青空感傷ツアー柴崎友香このアイテムの詳細を見る |
会社を辞めた芽衣と彼氏の浮気が発覚して失恋したばかりの音生(ねお)の女二人滅茶苦茶旅。
東京から大阪へ向かう新幹線の中での音生の愚痴からはじまり、音生の一声で旅に出ることに、しかもいきなりトルコ!?
芽衣も読んでるこちらも音生に振り回されます、音生のキャラが強烈、ものすごく可愛くて、超ワガママ。
いくら可愛くてもこんな子はちょっとなぁ、と思ってしまいます。
腹が立ってくるくらいです(^^;
音生のキャラにイラつきつつも、旅先のトルコ、徳島などの風景描写が上手いと思いましたね、読んでいて情景が浮かんでくるんですよね、トルコも徳島にも行った事はないんですがきっとこんななんだろうなぁ、って思えるんです。
芽衣が大学時代に好きだった人と徳島で再会して、高台にあるベンチに座って見たのは
『どこが山でどこが川でどこが畑で集落なのかわからない。~ 中略 ~それは夜景ということばより、誕生日のケーキに挿した蝋燭の光のほうに似ていた。~ 中略 ~大阪は曇りの夜は明るいけれど、地上に灯りの少ないところでは曇りの夜空は暗いんだと知った。これはきっと背景としては最高なんやろうな、とぼんやり考えながら~ 』
この部分、なんかいいなぁと思いました。暗闇にぽつぽつと光があってそれが蝋燭の光みたいなのってすごくわかるなぁ、"誕生日のケーキに挿した"て表現が絶妙。東京や横浜も曇りの夜の空って明るいんですよね、光の溢れた夜景も綺麗かもしれませんがこんな夜景もなかなかなもんなんだろうな。
この後の展開も芽衣らしさが表れてて面白かったです。
終始、音生に振り回されてこの子は何様!?っていうだけで終わってしまいそうだったんですが最後に、なんだ、ちょっといい子なんじゃない?って終わり方で心地の良い読書(旅)の終りを迎えられました。