見出し画像

シン・ケニーのひとりごと通信

エイドリアン・ブロディ主演Xブラディ・コーベット監督「ブルータリスト」


ホロコーストを生き延びてアメリカへと渡ったユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な運命を描くエイドリアン・ブロディ主演Xブラディ・コーベット監督「ブルータリスト」見ました。

ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トートは第2次世界大戦下のホロコーストを生き延びるが、妻エルジェーベトや姪ジョーフィアと強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためアメリカのペンシルベニアに移住した彼は、著名な実業家ハリソンと出会う。建築家ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼。しかし母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には、多くの困難が立ちはだかる。



圧倒されました。妻・姪との生き別れから主人公のアメリカ到着までを一気に見せるオープニングシークエンスから鳥肌が立ちまくり。ホロコーストを生き抜いた主人公が、いかにしてアメリカンドリームを達成するかという大河ドラマ。決して華やかではなく、成功して光輝く向こう側に見える暗く、深い闇が描かれ、瞬きをしたくないほどの物語に魅せられました。主人公ラスローを演じるエイドリアン・ブロディの完璧な演技同様、彼のパトロンになる傲慢にしていけすかない大金持ちハリソンを演じるガイ・ピアースの素晴らしい演技に拍手。ラスローの妻を演じるフェリシティ・ジョーンズも素敵でした。主人公が志向するブルータリズム建築とは、1950年代に流行った装飾を極力排して素材やテクスチャそのものに重きを置いた建築様式で、大まかな特徴としてよく言われる荒々しさを残した打放しコンクリートなどを用いた彫塑的な表現。当時は、斬新だったのでしょうが、荒々しく、粗暴な、どこか寒々しく、醜い感じに感じました。この映画のメインになる彼が手がけたペンシルバニア州ドイルスタウンのマーガレット・ヴァン・ビューレンコミュニティ・センターは、ナチスを憎み、ホロコーストを生き抜いた彼がブーヘンヴェルト強制収容所をモチーフにしたという皮肉さ。美と醜、光と影、壮大な映像と音楽、五感を刺激しまくりの3時間35分でした。途中20分のインターミッションがあります。


☆☆☆☆1/4





ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「映画」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事