ラムセスはエジプトの民の為、エジプトの神々の為に戦ったが、アレクサンドロスは何の為に戦っただろうか?
阿刀田高 著 「獅子王アレクサンドロス」 講談社文庫


エジプトに、アレキサンドリアを建てた所で止めておけばいいのに・・。ペルシャに治められていた国々を、ペルシャのくびきから解放するって、アレクサンドロスがくびきになってしまえば、一緒じゃないか。
ペルシャを制圧した所で、やめておけばいいのに・・。世界の果ては、ペルシャまでだと思っていたが、その先にはインドが有った???
仲間たちもあきれ返るが、反対するものは、誅殺してしまう。
アレクサンドロスは、世界の果てをみたかった。
要するに、探検家なのだ。探検家、冒険家が巨大な軍事力を持っているから、たちが悪い。
インドで、部下にいい加減にしろと言われて、引き返すことになるが、来た道でなく、海の道、砂漠の道をたどってしまう。冒険、夢を追うことしかできない。結果、砂漠でさまよい多くの部下を亡くしてしまう。
どうにかペルシャまで戻ります。次は、ペルシャ湾を越えてアラビア半島へと夢は膨らみます。
しかし、最も信頼する友人ヘパイスティオンを亡くし、自分も後を追うように、バビロンで病気になって死んでしまう


結局なんだったのだ。



アレクサンドロスは、自分の理想や夢を追いかけ、現実を見ることが出来なかった。後継者は「最も強い者に」というのが遺言で、アレクサンドロス死後、権力闘争が始まります。安定するのに40年もかかったとか。アレクサンドロスの血縁は、アレクサンドロス死後の戦いで、誅殺されて絶えてしまう。
この時代、中国でも戦国時代で争っていた。秦の始皇帝の現れる前。争いのない時代は無いものだろうか。戦争は、すべてを破壊する。
この時、エジプトに建てたアレキサンドリアは、部下のプトレマイオスが王となり、時代を越えてクレオパトラまで引き継ぎます。
この小説のお気に入り度:★★★☆☆