「福岡ソフトバンクホークス」の誕生に向けた動きが着々と進んでいるようです。昨日はFA移籍が決まった大村選手の入団発表が行われましたが、バックのロゴが新球団のものになっていて、改めて「変わったのだな」という実感が湧いてきました。
その新球団のオーナーに就任する孫正義氏なのですが、昨日気になる発言を行っています。スポニチによれば、孫氏の発言は以下の通りです。
「私は日本の選手年俸は安すぎると思う。だから優れた選手がメジャーに行くんです。メジャーの上の方は(チーム年俸総額が)100億円以上のチームもあるが、日本の国力からいっても向こうのトップと十分サシで戦える力を持ってもおかしくはない」
「私はワールドチャンピオンシリーズこそが目指すべきゴールだと思う。そのためにも(年俸面でも)ガンガン意地を張り合えばいい」
ホークスの買収表明以来野球への熱い思いを再三語ってきた孫氏だけに、自分がオーナーとなるチームが世界に通用するようになってほしいという希望があるのは理解できます。ですが、この発言にはさすがに疑問を持たざるを得ません。
今年の球界再編騒動の背景に年俸高騰問題があるのは皆さんご承知の通りです。年俸の高騰によって球団の赤字が拡大し、親会社の経営が苦しくなった時に球団の存続が危ぶまれるというシナリオはこれまで繰り返されてきましたし、ついにBu・BWの消滅を招く一因となってしまったのです。
したがって、これからは親会社に依存する体質から各球団ができる限り脱却していくことが不可欠になるのです。もちろん完全には無理でしょうが、親会社への負担が少なければ球団の消滅リスクは少なくなるでしょうし、最悪でも売却で済むと思われます。
ですが、今回のこの発言はそのような流れに逆行しかねないものです。ホークスの新たな親会社たるソフトバンクの経営が順調な間は数十億円の赤字など何でもないでしょうが、もし何かあった場合、球団の赤字を持ちこたえられなくなる恐れも十分あるのです。
特に、ソフトバンクは以前の記事でも書いたように最近の決算は赤字続きで、多額の有利子負債も抱えています。それだけに、ソフトバンクホークスがダイエーホークスの二の舞にならないという保証はどこにもありません。
もちろん孫氏も赤字を垂れ流すとは言っていませんし、先のスポニチの記事では2004年の売上高が175億円だったのに対し、今後の目標を300億円に設定するとあります。
しかし、すでに連日満員近い観客を集め、売上増加への努力でも他球団の先を行くホークスだけに、これから100億円以上売り上げを増加することが現実的かどうかは疑問です。
もっとも、これが実現すれば赤字に苦しむ他球団にとっても大いに参考になるでしょう。ただ、ホークスのみの年俸が跳ね上がることにはもう1つの問題があります。他球団とのバランスです。
この点については、「ジユウノツバサ」さんが非常に分かりやすくまとめていらっしゃるので、そちらをぜひお読みいただければと思います。
おそらく、孫氏の目は日本球界ではなくMLBをはじめ世界に向いているのでしょう。先ほども書きましたが、彼の目標はあくまでも世界を相手に戦うことだと考えられます。
ですが、あくまでもホークスは日本の球団です。年俸高騰の「主犯」であった讀賣ですら年俸総額を抑制しようというご時勢に、ホークスだけが他球団への影響を無視して年俸を吊り上げることは容認されるべきではないでしょう。讀賣の代わりがソフトバンクでは話になりません。
それに、孫氏のめざすゴールがホークスを世界レベルの球団にすることであれば、なにも選手の年俸にこだわらずとも、有能な監督・コーチ陣の招聘、トレーニング設備等の充実など、他の方法も考えられるわけです。
何より、経営規模も大きくない、年俸も高くない球団がMLBの金満球団を倒して成長していくとなれば、まさに孫氏自身の立志伝を地で行くようで痛快ではありませんか!
いろいろ書いてきましたが、もしホークスの譲渡が2,3年前、あるいは去年だったとしても、私はここまで危機感を感じていなかったような気がします。それどころか、単なる景気のいい話としてホークスを羨む程度の認識しか持たなかったかも知れません。
ですが、もはやそのような認識では済まされないことを知ってしまったのです。そして、それを知ってしまったのは私だけではなく、これをお読みの皆さんの多くもおそらくそうであろうと思います。
孫次期オーナーが大きな夢を語るのはすばらしいことです。その夢には私も大いに賛同したいと思います。だからこそ、孫氏がすべきことは「景気のいい話」ではなく、夢の実現のために必要な地に足の着いたビジョンをこそ語ることではないでしょうか。
その新球団のオーナーに就任する孫正義氏なのですが、昨日気になる発言を行っています。スポニチによれば、孫氏の発言は以下の通りです。
「私は日本の選手年俸は安すぎると思う。だから優れた選手がメジャーに行くんです。メジャーの上の方は(チーム年俸総額が)100億円以上のチームもあるが、日本の国力からいっても向こうのトップと十分サシで戦える力を持ってもおかしくはない」
「私はワールドチャンピオンシリーズこそが目指すべきゴールだと思う。そのためにも(年俸面でも)ガンガン意地を張り合えばいい」
ホークスの買収表明以来野球への熱い思いを再三語ってきた孫氏だけに、自分がオーナーとなるチームが世界に通用するようになってほしいという希望があるのは理解できます。ですが、この発言にはさすがに疑問を持たざるを得ません。
今年の球界再編騒動の背景に年俸高騰問題があるのは皆さんご承知の通りです。年俸の高騰によって球団の赤字が拡大し、親会社の経営が苦しくなった時に球団の存続が危ぶまれるというシナリオはこれまで繰り返されてきましたし、ついにBu・BWの消滅を招く一因となってしまったのです。
したがって、これからは親会社に依存する体質から各球団ができる限り脱却していくことが不可欠になるのです。もちろん完全には無理でしょうが、親会社への負担が少なければ球団の消滅リスクは少なくなるでしょうし、最悪でも売却で済むと思われます。
ですが、今回のこの発言はそのような流れに逆行しかねないものです。ホークスの新たな親会社たるソフトバンクの経営が順調な間は数十億円の赤字など何でもないでしょうが、もし何かあった場合、球団の赤字を持ちこたえられなくなる恐れも十分あるのです。
特に、ソフトバンクは以前の記事でも書いたように最近の決算は赤字続きで、多額の有利子負債も抱えています。それだけに、ソフトバンクホークスがダイエーホークスの二の舞にならないという保証はどこにもありません。
もちろん孫氏も赤字を垂れ流すとは言っていませんし、先のスポニチの記事では2004年の売上高が175億円だったのに対し、今後の目標を300億円に設定するとあります。
しかし、すでに連日満員近い観客を集め、売上増加への努力でも他球団の先を行くホークスだけに、これから100億円以上売り上げを増加することが現実的かどうかは疑問です。
もっとも、これが実現すれば赤字に苦しむ他球団にとっても大いに参考になるでしょう。ただ、ホークスのみの年俸が跳ね上がることにはもう1つの問題があります。他球団とのバランスです。
この点については、「ジユウノツバサ」さんが非常に分かりやすくまとめていらっしゃるので、そちらをぜひお読みいただければと思います。
おそらく、孫氏の目は日本球界ではなくMLBをはじめ世界に向いているのでしょう。先ほども書きましたが、彼の目標はあくまでも世界を相手に戦うことだと考えられます。
ですが、あくまでもホークスは日本の球団です。年俸高騰の「主犯」であった讀賣ですら年俸総額を抑制しようというご時勢に、ホークスだけが他球団への影響を無視して年俸を吊り上げることは容認されるべきではないでしょう。讀賣の代わりがソフトバンクでは話になりません。
それに、孫氏のめざすゴールがホークスを世界レベルの球団にすることであれば、なにも選手の年俸にこだわらずとも、有能な監督・コーチ陣の招聘、トレーニング設備等の充実など、他の方法も考えられるわけです。
何より、経営規模も大きくない、年俸も高くない球団がMLBの金満球団を倒して成長していくとなれば、まさに孫氏自身の立志伝を地で行くようで痛快ではありませんか!
いろいろ書いてきましたが、もしホークスの譲渡が2,3年前、あるいは去年だったとしても、私はここまで危機感を感じていなかったような気がします。それどころか、単なる景気のいい話としてホークスを羨む程度の認識しか持たなかったかも知れません。
ですが、もはやそのような認識では済まされないことを知ってしまったのです。そして、それを知ってしまったのは私だけではなく、これをお読みの皆さんの多くもおそらくそうであろうと思います。
孫次期オーナーが大きな夢を語るのはすばらしいことです。その夢には私も大いに賛同したいと思います。だからこそ、孫氏がすべきことは「景気のいい話」ではなく、夢の実現のために必要な地に足の着いたビジョンをこそ語ることではないでしょうか。
「ひとりバブル」はネタとしての活きではミヤーンに負けてませんね。
ルパートさんのおっしゃるように、同じお金をかけるにしてもすべきことはいろいろあるわけですし、そんなにお金があるなら福岡ドームを開閉してよなんて言ってみたくもなるわけです…が、そもそも、選手はお金のためだけに海を渡るのかな?
それとは別に、年俸問題で今年は選手側も自主規制すべきという声も聞きますが、その返納した年俸の行方がはっきり見えなければ、なかなかそういう行動は起こせないのではないかと。会社が危ないから給料1割カットに応じたのに社長がその金で銀座で遊んでたらやってられない、みたいな(?)
ま、孫氏も今はハイな状態であるのだと思うことにします。壮大な立志伝に期待して。
普通のビジネスなら最下位企業にあわせる必要はないですが、スポーツ興行が結果ではなく試合というプロセスを見せるビジネスである以上、球団間である程度均衡を図ることは不可欠であると思います。
もっとも、本来ならこれは各球団の仕事ではなく、機構や連盟の仕事なのですが、各球団の自制に期待せざるを得ない現状が哀しいです。
メジャーと張り合うという言葉自体は魅力的なんですけどね…
できれば開閉型天然芝にまでしてほしいところですよね。それだけでも選手は結構集まると思います。
>年俸問題で今年は選手側も自主規制すべきという声も聞きますが、その返納した年俸の行方がはっきり見えなければ、なかなかそういう行動は起こせないのではないか
私もそうだと思うんですよね。当ブログで表立って年俸要求叩きができなかったのは、かめちきさんがおっしゃったことが引っかかったというのも理由の1つです。
確かに選手側も「痛み」を分かち合う必要があります。そう考えると、要求し過ぎとしか言いようのない選手がいるのも確かです。
ただ、経営側がこの機会をもっけの幸いとばかりに「痛み」を選手側にのみ押し付けるという恐れは十分ありますよね。
それでなくても契約更改の条件は必ずしも平等とは言えませんし、なんだかんだ言いながら選手がごねるのをネタにして楽しむファンもいるわけですからね。
いずれにせよ、孫次期オーナーには少なからず危惧を覚える反面、魅力を感じるのも確かなので、お金は王監督とよく相談して使ってほしいです(笑)
私が自分のBlogで選手の年俸に関して厳しい意見を書いているのは、そもそも各選手が年俸に見合った利益を球団・親会社にもたらす事ができているのか、という疑問からです。
例えばF1のミハエル・シューマッハは莫大なギャランティーをフェラーリから獲得していますが、それはF1が世界中から注目を集めるスポーツであり、テレビ中継もほぼ全世界で中継されるためFIAからフェラーリに分配される放映権料も莫大な金額となります。シューマッハは勝ち続けることでフェラーリ自体のブランド力の維持・拡大にも大きく貢献し、高級車販売によりカネという形にしています。だからこそ、企業規模で言えばホンダ・トヨタなどに比べれば小さい会社であるフェラーリはシューマッハにその価値を認め、途方もない金額を支払うことができるのです。
翻って野球界はどうでしょうか?確かに平均年俸が1億円を越えるMLBと比べると、1軍クラスだけで見てもNPBの年俸水準は非常に低いでしょう。ただ、MLBはアメリカ国内の他、日本など野球が普及している各国でも人気を集めテレビ中継の放映権料・グッズの版権料を集めています。対してNPBの抱えているマーケットは主に国内で、仮にアジア各国に拡大を図ったとしても現状MLBのマーケットを脅かすだけの力を持っているとは思えません。市場が小さければ収入も当然少なくなり、年俸もそれに見合った金額にせざるを得ないのではないか、というのが私の考えです。
孫氏の目が世界を向いている、というのは良いでしょう。アジアシリーズ開催の話も進んでいます。ただ、正直私にはそれが球団収入にどう直結するのか見えていません。具体的な収入の形が見えていないのに、莫大な投資をすると言っているのには危うさを感じます。同じお金を使うならNPBや国内プロスポーツ自体のマーケット拡大に使って欲しいですね。それこそ欧米に比べれば上積みの余地は十分にありますから。
どうも長文失礼いたしました。それでは。
基本的には採算度外視なんでしょうね。もともとソフトバンク自体の全体の赤字に比べたら、近鉄の発表の40億の赤字なんて微々たるものになりますし。
#近鉄のだってパルケエスパーニャの赤字を乗せてるという話もありますのでそこまでないでしょうし。
こんなコと言ったとしても、適正年俸ってものは確かに存在するわけで、どんなに高騰させても読売の異常なまでの高額年俸にまでは届かんとは思うんですよ。
ローズはともかくペタにあそこまでの金払う気なんてなさそうですし。
いささか楽観的すぎるかもしれませんが、あまり気にはしてません。
勘違いして給料引き上げようと言うあほな選手が増えてしまうかもしれないってのは危惧してますが^^;
私自身、プロ野球選手の年俸総額は高過ぎると感じていますし、球団の経営規模や市場規模に見合った範囲に落ち着かせなければならないと思っています。
ただ選手とて人の子、お金は貰えるならいくらでもほしいはずです。本来ならそこを球団側がうまく説き伏せるべきなのですが、これまでは讀賣という悪しき参考材料があっただけに難しかったでしょうね。
その意味では、TBさせていただいた記事にあった讀賣の「サラリーキャップ制」導入も(ネーミングはアレですが)一案だと思いますし、その効果を打ち消しかねない孫氏の発言には不安を禁じ得ません。
それだけに、
>同じお金を使うならNPBや国内プロスポーツ自体のマーケット拡大に使って欲しいですね。それこそ欧米に比べれば上積みの余地は十分にありますから。
という点には大いに賛成です。
さらに言えば、さきほどかめちきさんへのレスにも書きましたが、福岡ドームを全開閉型の天然芝に変えてもらえると嬉しいです。
球場よし、チームよしとなれば、今以上にホークスや、ひいてはパ・リーグへの注目が集まるでしょうし、マーケットの拡大にもなると思いますからね。
さりとて、歯止めがないのもちょっと…というのが私の正直な気持ちですね。
関西人として4つの球団の消滅(南海、阪急、近鉄、BW)を見てきましたし、あれだけ勢いがあったダイエーの凋落も考えると、どうしても「もしソフトバンクが傾いたら今度は…」という不安が消せないんです。
>適正年俸ってものは確かに存在するわけで、どんなに高騰させても読売の異常なまでの高額年俸にまでは届かんとは思うんですよ。
ならいいのですが…確かに孫氏は100億に上げると明確に言い切っているわけではないので、そこに期待したい気持ちはします。
王監督も大幅補強には消極的ですからね。
>勘違いして給料引き上げようと言うあほな選手が増えてしまうかもしれないってのは危惧してますが^^;
球団のたがが緩むとそういう選手も出てきかねませんねぇ(^^;)