にわか日ハムファンのブログ記念館

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〔青森・鉄道残日録〕(1)新幹線を乗り継いで東北へ

2012-01-22 12:24:28 | さすらいブロガー旅情編
 大阪と青森を結ぶ寝台特急「日本海」が姿を消すというニュースを知ったのは、昨年の暮れのことだった。
 私にとっては単なる衝撃というより、打撃と言った方が正確かも知れない。「日本海」は東北や北海道旅行で重宝してきたし、それがなくなるのは、寂しいとか残念とかいうより、何より困るのだ。
 ともあれ、なくなるのであれば、それまでに乗っておきたいと思うのが乗り鉄の人情。ただ、翌3月の廃止まで、とにかく仕事が立て込んでいる。旅行に日を費やして大丈夫なのか、不安が先に立つ。
 普段の私なら、この時点で諦める。時間的余裕もなければ、金銭的な負担も大きい。冷静に考えたら無茶ななだから……
 というのを口実に、これまで何度列車や鉄道の廃止を見送ってきたか。おそらく、今回も何もしないまま、3月を迎えることだろうと思っていた。ところが、今回は勝手が違った。妻が「乗ってみたい」と言ってきたのだ。
 こうなると話は全く変わってくる。自分一人のわがままではなく、正々堂々と「家族旅行」に行けるのだ。
 もはや迷うことなどない。寝台の空き状況を調べてみると、青森から大阪、それもB寝台の喫煙車なら何とかなることが分かった。気持ちが冷めないうちにプッシュホン予約をかけ、いそいそと日程を立てる。
 そうするうちに、十和田観光電鉄もこの春に廃止されることを思い出した。当然ルートに組み込むとして、試行錯誤の末に予定完成。乗り鉄でなくても耐久可能な、マイルドなスケジュールとなった……と信じたい。

 そして年が明け、出発日がやってきた。夜行で往復はさすがに無理だったので、往路は新幹線を乗り継ぐ。
 いつもの鈍行旅行からすれば贅沢の極みだが、これでも飛行機よりは安いのだ。と言っても、自由席と指定席、最大限安い券を使っているから当然ではあるが。
 ともあれ、新大阪から朝一番ののぞみで、まずは東京駅を目指す。



 冬晴れの空の下、富士山が全貌を表した。多少雲がかかっているが、取り立てて残念がるほどのものでもあるまい。
 昔東京に行くときは、わざわざ二階建ての新幹線を選んで乗り、食堂車で富士山を眺めながら食事をするのが何よりの楽しみだった。
 その二階建て車両も今はなく、同じ形式の車両も、彼らを東海道から駆逐した初代「のぞみ」とともに、この春で姿を消す。富士山だけが、変わらず新幹線を見下ろしている。



 最新鋭の「のぞみ」は定刻通り東京駅に到着。すぐさまJR東日本の窓口にいき、ネットで予約していた東北新幹線の指定券を引き取り、3連休乗り放題の「スリーデーパス」を購入する。
 予算と利便性を考えると、東京駅での手続きが最善ではあったのだが、もし「のぞみ」が大幅に遅れていたら、予約していた列車に乗れないところであった。計画通り手続きが済み、まずは胸をなでおろす。



 少し時間が空いたので、東京駅内の「ペンスタ」で、SUICAのペンギングッズを見てみる。



 東京にでも来ないと手に入らないものも多いので、待ち時間ができればと、2人して楽しみにしていたところである。いや、JR西日本のICOCAのカモノハシも、決して悪いわけではないのだが……
 買い物も済ませ、いよいよ東北新幹線に乗車。心が一気に東北旅行モードに切り替わる。



 我々が乗る新幹線は「はやて」だが、車両ははやぶさ用のE5系。前々から気になる車両だっただけに、実際に目にすると、嫌が応にも気分が高鳴る。



 憧れのグランクラス。ともあれ、3時間ちょっとでは勿体ない気もする。どうせなら新函館まで延伸になった時に乗るのがいいかも知れない、と、これは分不相応な野望(?)



 あくまでも「はやて」なので、秋田行の「こまち」と併結されている。



 こちらが「こまち」。もっとも、この車両も新型との置き換えが予定されているらしい。新型は「はやぶさ」形のミニ新幹線版だそうだ。

 一通り写真撮影を堪能したところで車両に乗り込んでみると、東海道新幹線との違いに驚いた。同じ指定席でも、車内の雰囲気、シートに腰掛けた時の感覚がまるで違うのだ。
 表現が適切かどうかわからないが、東海道新幹線が大量のビジネス客を目的地に運ぶ手段なら、こちらは旅行客向け、旅を楽しみたい人向けの車両というべきかも知れない。
 夢の超特急は生きていた。まだ新幹線に夢を抱いてもいいのだ。嬉しくなったわれわれを乗せて、「はやて」は東京駅を出発した。



 東京から上野を出てしばらくすると、再び富士山が顔をのぞかせた。冬の休日の関東平野、空気は澄んでいるとはいえ、こうもはっきりと富士山が見えるのは、大阪住まいの私にとっては意外であった。
 電柱やビルの度重なる妨害にもめげずに撮ったのが、上の1枚。これで一仕事終えたような気分になったのだが、これがまずかった。しばらくぼうっと車窓を見ていると、

 ―あ、ロッテの浦和球場。

 浦和球場は新幹線からはっきり見えるわけで、旅行前には写真に撮っておこうと考えていたのだったが、これがすっかり頭から抜け落ちていた。
 慌ててデジカメを取り出すが、そんな調子でまともな写真が撮れるはずがない。



 その結果がこれ。痛恨のミスというよりほかないが、今後上越新幹線や北陸新幹線に乗る機会もある。その時に、借りを返すしかない。
 その後「はやて」は大宮を出て一気にスピードアップ。関東平野を走り去り、やがてトンネルを抜けるごとに窓の外が白くなっていく。イメージしていた、いやそれ以上の冬の東北を、新幹線は快調に走って行く。



 かくて八戸に到着。ここから第三セクターの電車に乗り換えである。


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
家族旅行 (ちょり)
2012-01-22 14:20:56
奥様と鉄分多めの旅行ができるとは!!素敵です。
これからの旅行記を楽しみにしています。
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ちょりさん (ルパート・ジョーンズ)
2012-01-22 14:44:54
妻は妻で目的地があったようですし、利害の一致というところです(笑)
これからぼちぼちと書いていきますので、よろしくお願いします。
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私の友人 (瑞浪男)
2012-01-24 22:40:34
私の友人(横浜在住)が大阪出張だということで(その人出張が10年に1回ぐらいしかない)、青森までグランクラスではりこみ、日本海で大阪に行きました。去年の夏の話です。そのときは皆呆れましたが、今は「あんた良い体験したな」と言うと思います。
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Unknown (M・K)
2012-01-25 01:11:47
日本海の運行終了は、切実な問題です。
自分一人だけなら、新幹線の乗り継ぎでも飛行機でもどうにでもなりますが、
家族が関わってくると、費用面なり体力面なりと課題が山積みです。

季節が訪れれば、秋田へ帰省する手段で頭を抱えている姿が目に見えます。(苦笑)
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瑞浪男さん (ルパート・ジョーンズ)
2012-01-25 05:54:05
グランクラス、いいなぁ(笑)
他の寝台特急も先行きは不透明ですし、多少無理をしても乗っておくのが賢明でしょうね。
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M・Kさん (ルパート・ジョーンズ)
2012-01-25 06:08:55
「日本海」は臨時列車としての運転はあるみたいです。
さしあたりゴールデンウィークのダイヤは出てますし、お盆の時期も運転するでしょう。
もっとも、そこでの乗車率が悪ければ、来年以降どうなるか分かりませんが……
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私の中のはやぶさ (某23)
2012-01-25 23:01:01
旅行記、読ませていただきました。
そういえば昔、「なは」という寝台特急があったなあ…なんて思い出したり。

文中に「はやぶさ」が出てきましたけど、
かつて地元から東京に行く寝台特急と同じ名前でしたので、
よその新幹線で名前が使われる事が決まった時、妙に寂しい気持ちになっちゃいました。
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某23さん (ルパート・ジョーンズ)
2012-01-26 07:17:28
>はやぶさ
ですよね。はやぶさといえば東京から西鹿児島(ここ重要)ですよね。
新幹線の車両には感動しましたが、名称は「はつかり」で良かったのにと今でも思ってます。

ちなみに、個人的に一番思い入れのある寝台特急は「彗星」だったりします。
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懐かしの「日本海」 (まきこ)
2012-01-27 23:01:50
高校の修学旅行の帰りに、
京都から青森まで乗りました。
青森から函館までは青函連絡船です…年がバレますね(^^;

特急「はつかり」も懐かしい。
車内販売のカツサンドが美味しかったのを、今も覚えています(笑)
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まきこさん (ルパート・ジョーンズ)
2012-01-28 05:38:45
修学旅行で寝台特急ですか。いいなぁ(笑)
私の場合、他校と相乗りの臨時列車だったんですが、
帰りは夜行だというのに4人掛けの固定シートで難儀しました[;;0J0]
今となってはいい思い出ですけどね。

「日本海」は函館に伸びてから、全区間乗り通したのが最初です。
寝台特急で北海道旅行とか、考えるだけでもわくわくするんですが、
やはり時間がかかるだけに、一般受けはしないんでしょうね。
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