にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

〔瀬戸内アヒル・うさぎ旅〕 (5)うさぎ島でうさぎと出会う

2012-08-11 05:35:20 | さすらいブロガー旅情編
 忠海から我々を乗せた客船は大久野島の第二桟橋に接岸。桟橋まで来ていた送迎バスに乗って宿に向かう。バスは海岸沿いに、島の南側にある宿まで走る。
 うさぎ島と言うだけあって、さぞうさぎが多いだろうと思っていたところ、見かけないことはないのだが、決してそこら中うさぎだらけ、という感じはない。
 はたしてどこにいるのか、すぐにでも見に行きたいと思ったが、それにはそれなりの準備がいる。バスが宿に着いたので、まずはチェックイン。



 カフェコーナーにこんなイラストが。そのまま読めば「うさんちゅコーヒー」。何かと思ったら、「うさんちゅ=兎人」ということらしい。カフェコーナー自体「うさんちゅカフェ」という名前である。
 「うさんちゅ」とは「うさぎを愛する人、うさぎをかわいがってくれる人」らしい。売店には「兎人」と大きく書かれたTシャツ等グッズが置いてあり、うさんちゅコーヒーも売っていた。フレーバーコーヒーだった。
 自分で言うのもなんだが、尾道ではアヒルんちゅぶりを遺憾なく発揮した我々。はたして兎人になれるかどうか。



 うさぎとの触れ合いには食べ物が必須。宿ではうさぎ用のペレットをカップ1杯100円で販売している。
 妻と私と、さっそく1つずつ購入。カップを片手に、島の南側の海岸沿いにある宿から、時計回りに歩くことにした。



 宿の周囲、木陰でくつろぐうさぎ。夏の昼間のことなので、エサでもなければ涼しいところで休んでいる。道理でうさぎをあまり見かけなかったわけだ。



 地面がよほどひんやりしているのか、お腹をつけてぐったり。



 日陰という日陰が、暑さを避けてくつろぐうさぎたちでいっぱい。
 大久野島がうさぎ島と呼ばれるほどになったのは、かつて島にあった小学校で飼っていた数羽のうさぎが放たれ、野生化したことがきっかけらしい。
 島には天敵らしい天敵がほとんどいなかった(といってもカラスは飛んでいるしヘビもいるようだが)ことから、うさぎの数は一気に増え、現在では200羽とも300羽とも言われるまでに至っている。
 ただ、中にはペットだったうさぎが島に捨てられる例もあったようで、毛が長かったり耳が折れていたり、明らかに違う品種の血が混ざったうさぎも見られる。
 そういう点からすれば、この島が「うさぎ島」となった経緯は決して好ましい話とは言えない。なお、現在ではペットのうさぎを捨てることは固く禁じられている。
 ただ、うさぎが繁殖したと言っても、素人目で見た限り、島の植生が荒れているようには見えない。夏なので芝生の草は少なめだが、それでもちゃんと生えている。うさぎが食べ尽くしたなどということはない。



 今ではうさぎで知られる大久野島だが、かつては旧日本軍の毒ガス製造施設が秘密裡に置かれていた。戦後施設は解体され、貯蔵されていた毒ガスも処分されてはいるが、島には往時の廃墟が各地に残っている。
 これは宿舎のすぐ近くにある貯蔵庫跡。施設保護のため木の柵が置かれ、人の立ち入りが禁じられてはいるが、うさぎはお構いなしに入り込んでいる。
 さて、ここからは島を時計回りに歩いてみよう。宿にはレンタサイクルもあるようだが、自転車で走っていてはうさぎたちと触れ合うことはできないので、暑くても自分の足で歩くことにする。



 こちらも貯蔵庫跡。



 かつての様子を示す写真が示されていた(フルサイズはこちら)。写真だからまだいいが、これが現実に私の目の前にあったとしたら、立ちすくむか、あるいは身震いが止まらないかも知れない。



 しばらく歩くと日本庭園跡に出た。とても庭園があったようには見えないが、とにかく跡らしい。



 道路上でたたずむうさぎたち。大久野島は自家用車の乗り入れが禁止になっているが、島の関係者の車がたまに走っているし、自転車もいる。事故でもあったら大変だ(なので道路上でのエサやりは避けること)。



 さらに歩くと、大きなコンクリート造りの廃墟が現れた。ここが島内最大の長浦毒ガス貯蔵庫跡だ。施設は戦後火焔放射で焼き払われており、中は黒こげになっている。



 長浦貯蔵庫跡の案内板(フルサイズ画像)。施設の規模が大きかっただけに、その処理も非常に大がかりなものだったようだ。
 しかし貯蔵庫跡は今も安全とは言い難く、中に入ることはできない。



 島にはほかにも戦争遺跡があるという。そんな中でもうさぎたちは今日も元気に生きている。その様子を見に、さらに先に進むとしよう。

(参考資料)
■ 休暇村大久野島ウェブサイト「大久野島のご案内
■ 毒ガス島歴史研究所


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