ホークスの問題が解決に向かう一方で、どうなっているのかまるで分からないのがライオンズです。親会社の動向も含めてあまりにも謎が多く、また分かっている部分を見ているだけでも複雑で頭が混乱しそうなのですが、何とか整理して考えてみたいと思います。
さて、すでに報道にもあります通り、東京証券取引所は昨日の取引終了後に西武鉄道の上場廃止を発表しました。西武鉄道の株は1ヶ月間「整理ポスト」(上場廃止の決まった企業の株を整理売買するための区分)に割り当てられ、12月16日を最後に上場が廃止されます。詳細は東証からのニュースをご覧ください。
これは西武鉄道の親会社コクドや堤前会長にとっては避けたかった事態でしょう。といいますのは、西武鉄道株が市場で取引できなくなることは多額の税負担の発生につながりかねないからです。
この辺りは非常にややこしい話になりますが、朝日新聞の記事を参考にがんばって説明させていただきますので、分かりにくくても怒らないでください。
まず、上場廃止となった場合、西武鉄道株の資産としての評価が変わります。その際ポイントとなるのが、西武鉄道が所有する多くの土地資産をどう評価するかということです。
総資産にしめる土地の価額の割合が7割を超える非上場の大会社は、国税庁の通達(PDFファイル)により「土地保有特定会社」に区分されることになります。その株を評価する場合には「純資産価額方式」、つまり、その企業が持つ資産全てから負債全てを差し引いた額を用いることになります。
もし西武鉄道の土地資産の評価を時価で出すことになれば、その価額が総資産の7割を超える恐れがあり、その際には「土地保有特定会社」に区分されることになります。
しかも、都内にある多くの土地の評価額は取得した時の数百倍は下らないでしょうから、それを用いて株の評価額を算出することになれば、上場廃止によって西武鉄道株の評価額は跳ね上がる可能性があるのです。
「なら株主は儲かっていいじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はむしろ逆です。
株が上場廃止になるということは、売り買いの機会が極端に減ることを意味します。売りたいときに売ることが非常に難しくなるわけですから、いかに評価の高い株であっても、投資家にとっては魅力がほとんどありません。だからこそ、西武鉄道の多くの株主が必死で株を手放そうとして、市場での株価が暴落してきたのです。
(今日は大幅に値段が上がったようですが、これは後で述べるように西武鉄道株を別の市場に上場しようという話が出たためのものです。ただ、果たしてそううまく行くかどうかは疑問です。)
つまり、西武鉄道株の評価額がいくら高かろうが、取引できなければ意味がないのです。
しかも、西武鉄道株の評価が上がれば、その影響で大株主のコクドの株の評価も上昇することになります。ただそうなりますと、将来その株を遺産として相続する際に巨額の相続税が発生する恐れがあります。
コクドの大株主である堤前会長にとって、税負担は何が何でも避けたいところです。しかし、そのためには土地を売却し、総資産に占める土地の割合を7割のライン以下に抑えて「土地保有特定会社」の指定を免れなければなりません。税を納めるか土地を売るか、堤一族にとっては究極の選択以外の何物でもないでしょう。
もちろん、コクドや堤前会長側もこのような事態を黙って見ているわけなどありません。西武鉄道がジャスダック(昔の店頭市場)への上場の意向を示したのもその表れでしょうし、この他にもあの手この手を画策しているはずです。
ただ、この事態を乗り切ったとしても、それでコクドや西武鉄道グループが助かるわけではありません。価額の値上がりを前提とした土地取得や、ゴルフ場やスキー場による土地運用などの堤一族のビジネスモデルは、明らかに時代に合わないものとなっています。
土地という固定資産が何より重視されたのはすでに過去のこととなり、今やライブドアの堀江社長が(真偽はともかく)キャッシュフロー500億円を自慢する時代なのです。戦後の日本でその力を大いに振るった西武鉄道グループですが、ひょっとすると今や「恐竜」と化してしまったのかも知れません。
西武鉄道グループの話が長くなってしまいましたが、私たちにとって何より問題なのはライオンズがどうなるかです。
時事通信の記事によれば、ライオンズの星野球団代表は球団売却の可能性を否定していますが、これまでの報道から判断すれば、コクドが望んだ条件での買い手がなかったというのが真相と考えられます。
確かに、200億円+西武ドームの継続使用というのは無茶もいいところです。ホークスの価格が興行権も含めて200億円だったのですから、観客動員がより少なく、かつ赤字も大きいライオンズがこの条件で譲渡できるとは思えません。
今述べた条件はこれから下がっていくでしょう。ただし、譲渡額が下がることはあっても、西武ドームの継続使用だけは頑として譲らないはずです。もし本拠地移転を認めてしまえば、西武ドームのみならず周辺の土地からの収益が大幅に下がるのは確実ですし、西武鉄道の収益にも悪影響が出るからです。
(万一本拠地移転に同意することがあれば、それはコクドが支払いや融資返済で切羽詰った時ぐらいでしょう。)
日経新聞の記事では、球団の存続を含む西武鉄道グループの再編計画案は来年1月末までにまとめられるようです。これに基づいて譲渡先を決めるとなれば、来季は「西武ライオンズ」が存続し、再来年から新たな親会社の下にライオンズが移行するということも十分考えられます。
その一方で気になるのが、来季の参入に必要な参加資格の承認期限が、今月30日から来年1月末まで延期されたという共同通信の記事です。
これはホークスの承認手続きのための措置と書かれていますが、オーナー会議での正式承認は12月24日なのです。それなら、12月31日を期限としても不都合がないように思われますが、わざわざ1ヶ月余裕をみているわけです。ということは、これがホークスのみのための措置ではないという推測も成り立つのではないでしょうか。
いずれにせよ、何か動きが出るとすれば今から来年1月末にかけてです。間違っても、本拠地を動かしたくない西武と、千葉マリンでは売店や広告の収入が入らず、千葉からの流出が一時囁かれたロッテとの間で利害が一致、ということは避けてもらいのですが…
ちなみに単なる球団譲渡なら、譲渡先の企業がしっかりとさえしていれば問題はないと考えます。ただ欲を言えば、手塚治虫先生の手によるペットマークとこれが残ることが理想ですね。
さて、すでに報道にもあります通り、東京証券取引所は昨日の取引終了後に西武鉄道の上場廃止を発表しました。西武鉄道の株は1ヶ月間「整理ポスト」(上場廃止の決まった企業の株を整理売買するための区分)に割り当てられ、12月16日を最後に上場が廃止されます。詳細は東証からのニュースをご覧ください。
これは西武鉄道の親会社コクドや堤前会長にとっては避けたかった事態でしょう。といいますのは、西武鉄道株が市場で取引できなくなることは多額の税負担の発生につながりかねないからです。
この辺りは非常にややこしい話になりますが、朝日新聞の記事を参考にがんばって説明させていただきますので、分かりにくくても怒らないでください。
まず、上場廃止となった場合、西武鉄道株の資産としての評価が変わります。その際ポイントとなるのが、西武鉄道が所有する多くの土地資産をどう評価するかということです。
総資産にしめる土地の価額の割合が7割を超える非上場の大会社は、国税庁の通達(PDFファイル)により「土地保有特定会社」に区分されることになります。その株を評価する場合には「純資産価額方式」、つまり、その企業が持つ資産全てから負債全てを差し引いた額を用いることになります。
もし西武鉄道の土地資産の評価を時価で出すことになれば、その価額が総資産の7割を超える恐れがあり、その際には「土地保有特定会社」に区分されることになります。
しかも、都内にある多くの土地の評価額は取得した時の数百倍は下らないでしょうから、それを用いて株の評価額を算出することになれば、上場廃止によって西武鉄道株の評価額は跳ね上がる可能性があるのです。
「なら株主は儲かっていいじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はむしろ逆です。
株が上場廃止になるということは、売り買いの機会が極端に減ることを意味します。売りたいときに売ることが非常に難しくなるわけですから、いかに評価の高い株であっても、投資家にとっては魅力がほとんどありません。だからこそ、西武鉄道の多くの株主が必死で株を手放そうとして、市場での株価が暴落してきたのです。
(今日は大幅に値段が上がったようですが、これは後で述べるように西武鉄道株を別の市場に上場しようという話が出たためのものです。ただ、果たしてそううまく行くかどうかは疑問です。)
つまり、西武鉄道株の評価額がいくら高かろうが、取引できなければ意味がないのです。
しかも、西武鉄道株の評価が上がれば、その影響で大株主のコクドの株の評価も上昇することになります。ただそうなりますと、将来その株を遺産として相続する際に巨額の相続税が発生する恐れがあります。
コクドの大株主である堤前会長にとって、税負担は何が何でも避けたいところです。しかし、そのためには土地を売却し、総資産に占める土地の割合を7割のライン以下に抑えて「土地保有特定会社」の指定を免れなければなりません。税を納めるか土地を売るか、堤一族にとっては究極の選択以外の何物でもないでしょう。
もちろん、コクドや堤前会長側もこのような事態を黙って見ているわけなどありません。西武鉄道がジャスダック(昔の店頭市場)への上場の意向を示したのもその表れでしょうし、この他にもあの手この手を画策しているはずです。
ただ、この事態を乗り切ったとしても、それでコクドや西武鉄道グループが助かるわけではありません。価額の値上がりを前提とした土地取得や、ゴルフ場やスキー場による土地運用などの堤一族のビジネスモデルは、明らかに時代に合わないものとなっています。
土地という固定資産が何より重視されたのはすでに過去のこととなり、今やライブドアの堀江社長が(真偽はともかく)キャッシュフロー500億円を自慢する時代なのです。戦後の日本でその力を大いに振るった西武鉄道グループですが、ひょっとすると今や「恐竜」と化してしまったのかも知れません。
西武鉄道グループの話が長くなってしまいましたが、私たちにとって何より問題なのはライオンズがどうなるかです。
時事通信の記事によれば、ライオンズの星野球団代表は球団売却の可能性を否定していますが、これまでの報道から判断すれば、コクドが望んだ条件での買い手がなかったというのが真相と考えられます。
確かに、200億円+西武ドームの継続使用というのは無茶もいいところです。ホークスの価格が興行権も含めて200億円だったのですから、観客動員がより少なく、かつ赤字も大きいライオンズがこの条件で譲渡できるとは思えません。
今述べた条件はこれから下がっていくでしょう。ただし、譲渡額が下がることはあっても、西武ドームの継続使用だけは頑として譲らないはずです。もし本拠地移転を認めてしまえば、西武ドームのみならず周辺の土地からの収益が大幅に下がるのは確実ですし、西武鉄道の収益にも悪影響が出るからです。
(万一本拠地移転に同意することがあれば、それはコクドが支払いや融資返済で切羽詰った時ぐらいでしょう。)
日経新聞の記事では、球団の存続を含む西武鉄道グループの再編計画案は来年1月末までにまとめられるようです。これに基づいて譲渡先を決めるとなれば、来季は「西武ライオンズ」が存続し、再来年から新たな親会社の下にライオンズが移行するということも十分考えられます。
その一方で気になるのが、来季の参入に必要な参加資格の承認期限が、今月30日から来年1月末まで延期されたという共同通信の記事です。
これはホークスの承認手続きのための措置と書かれていますが、オーナー会議での正式承認は12月24日なのです。それなら、12月31日を期限としても不都合がないように思われますが、わざわざ1ヶ月余裕をみているわけです。ということは、これがホークスのみのための措置ではないという推測も成り立つのではないでしょうか。
いずれにせよ、何か動きが出るとすれば今から来年1月末にかけてです。間違っても、本拠地を動かしたくない西武と、千葉マリンでは売店や広告の収入が入らず、千葉からの流出が一時囁かれたロッテとの間で利害が一致、ということは避けてもらいのですが…
ちなみに単なる球団譲渡なら、譲渡先の企業がしっかりとさえしていれば問題はないと考えます。ただ欲を言えば、手塚治虫先生の手によるペットマークとこれが残ることが理想ですね。
>手塚治虫先生の手によるペットマークにカモメの翼を・・イカンイカン。
東証からジャスダックに移籍するようにはうまいこといかせませんぜ。
しかし、ミヤウチもウチのシゲミツジュニア(裏にシニア)もニタリと何かしらほのめかしてるところが誠に気に入らない。オーナー連中には「いつでも合併カード」が無期限で握られていると考えた方がよさそうです。正月に、あけましておめで合併とうございます。とかやりかねません。
確かにこの2人のオーナーや、今年辞任した2人の元オーナーを見ていますと不気味で仕方ありませんね。
以前の記事でも書きましたが、今は「球界再編」の第2ラウンドだと考えた方がいいのでしょう。シーズンオフだからこそ、ファンの監視の目が緩むことがあってはならないと思います。