代行バスは数名だけの乗客を乗せて亘理を出た。しばらくして市街地を抜けると、左手には平原が広がる。その先には丘も高台も見られない。太平洋まで、平らなままなのだろう。
この光景を雄大と呼べる無邪気さを、日本に暮らす者は奪われてしまった。そして、それを取り戻すことなどない。あり得ないのだ。
浜吉田の代行バス停留所。駅があるはずの左手の車窓を見るのだが、それらしい建物は見つからない。確かに、これでは乗り換えなど不可能だ。
バスはさらに平原を横目に走っていく。春は名のみの風の寒さや、とはまさにその通りで、3月とはいえ冬枯れした田畑が太平洋まで続いていき、遮るもののほとんどない中を風が吹き通っていく。
坂元駅の停留所では工事が行われていた。あるいは、常磐線の再開に向けたものかも知れない。現在不通の浜吉田-相馬間のうち、浜吉田から駒ヶ嶺の区間は、線路を内陸に移して敷き直すことが決まっている。
朝が早かったせいか、暖かいバスに揺られているとつい眠気に捕われてしまう。気がついた時には、駒ヶ嶺の駅まで来ていた。
ここからは起伏も多くなり、登ったところで常磐線の線路を一度、二度またぐ。この季節なので線路を見ることはできるが、夏は草に覆われてしまうのかも知れない。
そして相馬方面を見ると、建物が増えていくのが分かる。もう相馬は近いのだろう、との見立てに違うことなく、バスは市街地へと入っていき、終点の相馬に着いた。
相馬駅。ここから再び電車に乗る。
この光景を雄大と呼べる無邪気さを、日本に暮らす者は奪われてしまった。そして、それを取り戻すことなどない。あり得ないのだ。
浜吉田の代行バス停留所。駅があるはずの左手の車窓を見るのだが、それらしい建物は見つからない。確かに、これでは乗り換えなど不可能だ。
バスはさらに平原を横目に走っていく。春は名のみの風の寒さや、とはまさにその通りで、3月とはいえ冬枯れした田畑が太平洋まで続いていき、遮るもののほとんどない中を風が吹き通っていく。
坂元駅の停留所では工事が行われていた。あるいは、常磐線の再開に向けたものかも知れない。現在不通の浜吉田-相馬間のうち、浜吉田から駒ヶ嶺の区間は、線路を内陸に移して敷き直すことが決まっている。
朝が早かったせいか、暖かいバスに揺られているとつい眠気に捕われてしまう。気がついた時には、駒ヶ嶺の駅まで来ていた。
ここからは起伏も多くなり、登ったところで常磐線の線路を一度、二度またぐ。この季節なので線路を見ることはできるが、夏は草に覆われてしまうのかも知れない。
そして相馬方面を見ると、建物が増えていくのが分かる。もう相馬は近いのだろう、との見立てに違うことなく、バスは市街地へと入っていき、終点の相馬に着いた。
相馬駅。ここから再び電車に乗る。