Ryozie's blog

基本気まぐれ 留守にすることも多い

映画「アオラレ」

2021-06-29 17:37:00 | 日記
スティーブン・スピルバーグの傑作「激突!」が世に出たのは1971年、この映画も予告や題名からして、あの煽られる恐怖を描いた二番煎じかな、と思って観たら、確かにそこはそうなんだけど、それだけのスリラーじゃなかった。アメリカも日本も病んでいるところは共通なんだねー。運転していると『アオリ』とまでは言えないまでも、なんとなくそういうにおいをプンプンさせているドライバーには毎日のように遭遇するわけで、怖い怖い作品でした。
社会から切り捨てられて自暴自棄になり「どうなってもいいや!」と開き直ったやつが煽り運転者になってそいつにつけ狙われたら……
いや怖いですねー。あり得るからね、今の時代。
一番ビックリしたのはラッセル・クローの変容。役作りということもあったのもしれないが、ただのデブのサイコパス親父になっていた。LAコンフィデンシャルの、渋いけれど男の魅力が溢れていたあのラッセル・クローの面影は全然なし。演技者としてそれはそれで大したもんではあるけど。
「アオラレ」という邦題は、なんだかなぁ。かえって損してるんじゃないかな?

★★★★★  映画としての出来はいい

アカデミーノミネーション3本

2021-06-23 09:41:00 | 日記
今年の米アカデミー賞にノミネートされた作品の内、3本を観ることができました。めでたい!
 ・ノマドランド
 ・シカゴ7裁判
 ・ファーザー
確かにどれも力作だったし、観る側もいろいろと考えさせられる映画揃いだったと思う。主演女優賞、監督賞、作品賞を受賞した「ノマドランド」はほんとうにいい映画だった。夏は北へ、冬は南へ、ノマド(遊牧民)生活は心のどっかに憧れがあるんだな、と気づかされた作品だった。適所で流れるルドヴィコ・エイナウディの音楽も沁みたなぁ。
個人的助演男優賞は「シカゴ7裁判」の、憎たらしい判事を演じたフランク・ランジェラ。差別と偏見に満ち傲慢で不遜。役と分かっていながら本気で腹がたった。好演でした。ああいうタイプのキャラクターって、実際身近にいたりするし。

映画「ファーザー」

2021-06-22 18:27:00 | 日記
コロナ禍で好みの映画がなかなか公開されない。映画は劇場で観る派なので、じっと我慢するしかありません。
名優アンソニー・ホプキンスが今年のアカデミーで二度目の主演男優賞を獲った「ファーザー」が公開されたので駆けつけました。お客は15、6人はいたなー。先週金曜に公開されたばかりということもあるとは思うけれど、けっこう入ってましたな。
うーむ、なるほどアンソニー・ホプキンスは素晴らしい!主演男優賞は当然だと思う。記憶や時間、認識力が混濁している認知症の老人を演じて観る者を圧倒します。このような作品は介護する側からのものになりがちだが、この映画は認知症になった主人公の視点で描くという今までにないもの。だから妄想と現実が混じり合って、観ているこっちも混乱してしまうわけだけど、これはそういう映画なんだよ。なにもかもスッキリ整理されないと嫌だ、という方にはお薦めできませんが、脳裏に残るこの奇妙な味は好きです。
敬愛する父親の変容に心を痛め悲しみに沈む娘を演じたオリビア・コールマンもさすがでした。

★★★★★  傑作!