スティーブン・スピルバーグの傑作「激突!」が世に出たのは1971年、この映画も予告や題名からして、あの煽られる恐怖を描いた二番煎じかな、と思って観たら、確かにそこはそうなんだけど、それだけのスリラーじゃなかった。アメリカも日本も病んでいるところは共通なんだねー。運転していると『アオリ』とまでは言えないまでも、なんとなくそういうにおいをプンプンさせているドライバーには毎日のように遭遇するわけで、怖い怖い作品でした。
社会から切り捨てられて自暴自棄になり「どうなってもいいや!」と開き直ったやつが煽り運転者になってそいつにつけ狙われたら……
いや怖いですねー。あり得るからね、今の時代。
一番ビックリしたのはラッセル・クローの変容。役作りということもあったのもしれないが、ただのデブのサイコパス親父になっていた。LAコンフィデンシャルの、渋いけれど男の魅力が溢れていたあのラッセル・クローの面影は全然なし。演技者としてそれはそれで大したもんではあるけど。
「アオラレ」という邦題は、なんだかなぁ。かえって損してるんじゃないかな?
★★★★★ 映画としての出来はいい