ポトフに入れるローリエを買いにスーパーへ行った。
ローリエだけで良かったのだが、スーパー行くとつい売り場をひととおり眺めてしまう癖がある。
お惣菜コーナーは、特に気になる物無し。乳製品、精肉コーナーをほぼスルーして鮮魚コーナーへ。
誰かに見られている様な気がして、その方向に目をやると、おおぶりのずわい蟹が私を見てる。
しかも口が動いていて、まだ生きてる。右のハサミを頭の上に持ち上げ、私に手招きしてる?
「こっちへ来いよ」って、やっぱり言ってる!
値段を見たら、何と道産で480円! さすが北海道、蟹が新鮮で安い!
「これはもう、家に連れて帰るしかない」と手を伸ばすと…?!
手招きしていたハサミで、つかもうとした私の右手を攻撃してきた。
のろまな奴なら、指を挟まれていたところだ。
「ふふふふふ…」、そうはいかの塩辛、想像以上に、はしっこい私。
そこは、冷静にかわして、甲羅を掴み、備え付けのビニール袋に入れ、カゴの中。
野菜売り場で、アスパラガスとにんじんとマイタケをカゴに入れ、足早にレジへ。
「アスバラ248円です」
「にんじん298円です」
続いてレジのおばちゃんが蟹に手を伸ばした時だった。
「い、痛い!」とレジのおばちゃんの悲鳴。
ん?・・・・・・!左手の中指を蟹のハサミが噛み付いてる。
「離さない、どうしよう?」とおばちゃん。
良く見るとおばちゃん、挟まれた指を何とかしようと伸ばした右手の人差し指まで挟まれてる!!
慌てたおばちゃん、何を思ったか知らないが・・・。
「うっ、う~ん、だぁ!」と頭の上まで持ち上げた!!!
助け様と手を伸ばした私。
ちょっと待てよ。
これじゃまるで『もののけ姫』のラストシーンじゃねえか!
アシタカとサンが、シシ神の首を返そうと天にかざしているかの様な光景・・・。
「こんな所で、もののけごっこしている場合か!」と心で呟き、かざした手を下ろさせた。
私が片方のハサミ、隣のレジに並んでいた男性がもう片方のハサミを掴み「せーの」で同時に開かせる。
いつもなら、「せーの」の後に、「目覚め」とか「乱れ」とか「運輸」とか、あいの手を入れるところだが、ここはぐっと我慢。
何とかおばちゃん、九死に一生を得た。
「良かった…」と一息ついた瞬間。
いつのまにか出来た人だかりから、何故か拍手が!
そして「良かった、良かった」という ざわめき・・・。
何だか久し振りに舞台にでも立った様な、スーパーでの出来事だった…。
でも、家に帰ってから気がついた。
「あらら…。かんじんの、ローリエ買い忘れてる・・・・・・・。」