「あっ、大きな鳥!」と子供の声
男の子と、幼い女の子がいた。
お兄ちゃんと、その妹に見える。
「どこ?、ど~こ?」とお兄ちゃんに問いかける妹。
「ほら、あそこ。」
「ど~こ? 見えない、見えない。」
お兄ちゃんは妹に近付き、空を指さす。
そして、一所懸命にその在りかを教えている。
それでも見つけられず、泣き出しそうな女の子。
「ほら、ほら、あそこ。木の右上。」
今度は、妹の顔に自分の顔をくっつけ、肩を抱き寄せて天空を指さすお兄ちゃん。
「やっぱり、見えない」と妹。
お兄ちゃんも教えることを諦め、空を指さすのをやめた時、
「あっ!…いた。」と小躍りして喜ぶ女の子。
やっと見つけられたのが、よっぽど嬉しかったのだろう。
「鳥いた、鳥いた、やったー! やったー!」
2人は、その場をくるくると回り、踊りながら、いつまでも飛び跳ねている。
時々、空を指さしながら、見上げながら。
それは、まるで雨乞いの儀式でもしているかの様だ。
そういえば子供の頃、雨乞いの儀式をして良く遊んだな…。
楽しそうな二人の様子に安堵した私は、子供が指さしていた空に初めて目を向けた。
そこには、見たこともない大きな鳥がはばたいていた…。