近づきて そっと窺う 猫の恋
「鈍草」のつぶやき
若いころまだ写真をフイルムで撮っていたころのことである。
富士フイルムの100フート缶を買って、36枚分を18本ローダーで巻いて、
カメラバックに入れ街へ出て撮りまくっていた。
当時使っていたカメラはAペンタクスSPである。
なけなしの小遣いはたいて、質屋で買った。その時に
ついていたレンズは28mm。開放F値が4だったと思う。
ファインダー覗いても暗くてピントが合わせにくかった。
一日撮影に没頭してフイルムは18本全部使って、足らなくなると、
カメラ屋でトライXを買ってとにかく夢中で撮ったものである。
なぜかその当時から路地や街角の壁の崩れかけたものや、
壊れて捨てられたものなどを撮っていた。
綺麗な風景を見る感性がないわけではないのだが、
どうしても路地や我楽多に魅かれてしまう。
路地が遊び場だった、少年期に見た昭和の光景が
写真の原点、原風景となって、今もなを続いているようだ。