オストメイトの「漏れ」の不安や悩みを解消!、「安心パウチ」を広めるブログ

「安心パウチ」を装具に取付ければ、漏れが発生した時でも確実にキャッチして被害の発生を防止できます。

015「安心パウチ」を自作する手順 (補足その2) 標準タイプのポリ袋を加工する治具

2021年03月14日 | 「安心パウチ」を自作する手順の解説

標準タイプの「安心パウチ」を自作するには、ポリ袋をシーラーで加工する工程があり、一枚のポリ袋で5か所のシーリング作業が必要で、結構な時間がかかってしまいます。 特に、シーラーの熱溶着部にポリ袋の位置を合わせる作業には神経と時間を必要とします。 これを省力化する治具を紹介します。

推奨している「クリップシーラーZ-1」の場合、テーブル面から熱溶着部まで23㎜の高さがあり、シーラーの差込口から4~8㎜の奥行があります。(下図左) よって、治具を使用しないで位置を正確に合わせるのは至難の業です。(下図右)

私が使用している治具は八角形にカットした発泡スチロールです。(下図左) 厚みは熱溶着部までの高さ23㎜と同じにしてあります。 巾はビニールの巾と同じ巾にしてあります。(下図中央) ビニールを治具の上に乗せて、シーリングしたい面をシーラーの差込口に当て、ビニールをシーラーに挟み込みます。(下図右) 熱溶着部は差込口よりも4~8㎜、つまり6㎜奥になるので、八角形の熱溶着する面の大きさは、これを考慮して6㎜小さくしてあります。

ビニールが初めから閉じられている左右方向と底方向はシーリングする必要がありません。 よって、シーリングする部分は5か所になりますが、この治具を使用すれば目を瞑っていても正確に位置合わせが出来ます。 連続して作業する場合は熱溶着部が高温になるのを注意して、時々休ませながら作業をして下さい。


014「安心パウチ」を自作する手順 (補足その1) 標準タイプと簡易タイプの比較

2021年03月13日 | 「安心パウチ」を自作する手順の解説

皆様の自作のプランは進行していますか?

さて、「安心パウチ」に使用するポリ袋の違いにより「標準タイプ」と「簡易タイプ」がありますが、装具に取付けた状態、及び使用した時にどの様な違いがでるのか?…、を比較してみます。

まず、「安心パウチのユニット」の状態でそれぞれを比較してみます。

左側が「標準タイプ」ですが、明らかに右側の「簡易タイプ」よりもコンパクトに仕上がっています。 簡易タイプは市販のチャック付きポリ袋をそのまま使用している関係で小さくできません。 また、ビニールの厚みが厚いものが多く流通しているのも不利な点になります。(写真上)

上の写真は、「ユニット」を装具に取付けた状態を面板側から見た状態です。「標準タイプ」では粘着シートからビニールが僅かにはみ出ていますが、「簡易タイプ」では特に下方向が大きくはみ出ています。 はみ出ている部分は、装着した時に皮膚に当たる部分になるので、発汗してベタベタしたり、皮膚障害を起こしたりする可能性もあります。 特にビニールの角は皮膚に当たるので好ましくありません。(上写真) 

最後の写真は表側から比較した写真で、パウチをめくり上げた状態です。 皮膚に接触するポリ袋の部分の大きさが明らかに異なります。 装具のパウチには、皮膚に接触する部分に不織布を配置していて、装着時のべた付きを防止しようとしています。 同様に「安心パウチ」の内側にも不織布タイプのメディカルテープを貼り付ける工夫などがあっても良いかもしれません。

しかし、それよりは、多少の金額を払ってシーラーを購入し、手間を惜しまずに無駄な部分をカットする「標準タイプ」で自作される事を推奨します。 シーラーにはハンディータイプの「クリップシーラーZ-1」をお勧めしています。(使用する道具の項目を参照)  本来の使用方法である食べ残した食材などをシーリングする事も出来ますのでお薦めします。


013「安心パウチ」を自作する手順(その4) ユニットを面板に取付けて完成! 

2021年03月13日 | 「安心パウチ」を自作する手順の解説

「安心パウチ」付きの装具を自作するステップは、

(その1) 使う材料と道具の準備

(その2) 型紙の設計

(その3) 「安心パウチ」ユニットの制作

(その4) ユニットを面板に取付けて完成!………………今回の解説

 

いよいよ、「安心パウチ」のユニットを装具に取付けます。 「簡易タイプ」と「標準タイプ」はポリ袋の形状が異なるだけで構造は同じなので、夫々の違いを意識する必要は無く作業していきます。

2品系装具への取付け方

2品系装具は面板部とパウチ部で構成されていますが、ユニットは面板部に取付けます。 パウチ部には手を加えません。 面板部には嵌合部材が備えられています。 この嵌合部分の外側の寸法に2~4㎜のゆとりを加えた寸法の穴をビニール2に開けるように設計してあります。 よって、ビニール2を嵌合部分の周囲に重ね合わせても、ビニール2が嵌合部分に挟み込まれる事は無い筈です。 この様になっている事を目視で確認してください。(写真左)

この事を確認して全体を手で押さえて固定します。 ビニール2の端をめくり上げながら、嵌合部材の周囲にボンドを乗せるようにして塗って行きます。(写真右)  その際にボンドが嵌合部分に接触しないように注意してください。塗り終えたら所から、ビニール2を上から軽く押さえて接着して行きます。 ビニールやボンドが嵌合部分に接触してしまうと、嵌合不良の原因になるので注意して下さい。全周に渡って接着して終わりです。 以上が取付け方法の基本です。

円形以外の面板の場合

面板形状が円形以外の場合には、粘着シートと面板との位置関係を設計した時と同じ向きになるように位置合わせをする必要があります。 以前の記事(その2)の粘着シートの型紙の設計の項を思い出して下さい。 上の写真の例では正方形の面板の場合を示しました。 

ベルトタブ付きの場合

円形の面板であってもベルトタブが備えられている面板では、タブが横方向になるように置いて下さい。 ビニール2は面板とタブの間に挟まれた状態で接着される必要があるので、タブを上に曲げてビニール2の上にタブを通します。 その状態で、ビニール2の端をめくり上げながらボンドを面板に塗っていき、全周を接着して終了です。(下写真)

「安心パウチ」ユニットを面板に取付けた状態では、面板と粘着シートの間に1~5㎜巾のスリットが上下左右方向に形成されている事を確認してください。 勿論この設計値通りにはなかなかなりません。 上下左右のバランスが多少崩れていても、装着する際に粘着シートの位置をずらして貼付する事によって解決できます。

単品系装具への取付け方

単品系装具の場合は、パウチと面板の結合部にビニール2を挟み込んだ位置で、面板とビニール2を接着する必要があります。 それには、パウチ部分を一旦小さく折り畳んだ状態にしてビニール2の穴に通します。(写真左) 通し終えてからパウチ部分を広げる事によって、パウチと面板の結合部にビニール2が挟まれます。 ベルトタブ付きの場合は、この段階でタブを上方向に曲げてビニール2の上にタブを通しておいてください。(写真中央) 次に粘着シートと面板との位置関係が設計時の位置関係になるように、及びベルトタブが横方向の位置になるように、ユニット全体を回転させて位置を微調整します。 面板と粘着シートの間に1~5㎜巾のスリットが上下左右方向に形成されている事も確認してください。 その位置関係を保ちながら、ビニール2の端を手でめくり、ボンドを結合部近くの面板に塗り、面板とビニール2の穴を接着していきます。 結合部の全周を接着させて完了です。(写真右)

まとめ

装具には何百もの種類があるので、それぞれの品番に適合するように「安心パウチ」を設計し、正しく加工し、正しく取付ける必要があります。

難しい点や特殊なケースについては順次、追加解説していく予定でいます。 一人でも多くのオストメイトの皆様が「安心パウチ」付きの装具を利用され、皆様のQOLの向上に貢献できればと思って止みません。 また、自作をされた皆様からのご意見、ご感想、解説不足な点や疑問点など…、コメントやメッセージを大歓迎でお待ちしています。

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012「安心パウチ」を自作する手順(その3)  「安心パウチ」ユニットの作成

2021年03月09日 | 「安心パウチ」を自作する手順の解説

「安心パウチ」付きの装具を自作するステップは、

(その1) 使う材料と道具の準備

(その2) 型紙の設計

(その3) 「安心パウチユニット」の制作………………今回の解説

(その4) ユニットを面板に取付けて完成!

 

初めに、粘着シート(固定用伸縮性粘着シート)を切り抜く作業から取り掛かります。

粘着シートの剥離紙側を上面にして下敷きに置き、その上に粘着シートの型紙を置きます。その際、型紙を設計した時と同じ方向になるようにして重ねて下さい。(写真左) 次に、型紙の「内側ライン」と「外側ライン」を鉛筆などで剥離紙に写します。「外側ライン」はハサミでカットして下さい。「内側ライン」は円形なので、コンパスカッターか、又はハサミでカットします。コンパスカッターを使用する場合は、小学校で学んだ円の中心点を求める方法を思い出して下さい。 「内側ライン」と「外側ライン」をカットして粘着シートは出来上がりです。(写真右)

次にポリ袋の加工ですが、「簡易タイプ」と「標準タイプ」で方法が異なります。最初に「簡易タイプ」を説明します。

では「簡易タイプの安心パウチ」のポリ袋の加工についてです。

「簡易タイプのチャック付きポリ袋の型紙」の上に「チャック付きポリ袋」を置きます。(写真左) その際、チャックの位置が型紙を設計した時と同じ方向になるように合わせて下さい。 型紙に記されている円の中心位置をポリ袋に写し取ります。 次に、下敷きの上にチャック付きポリ袋を固定し、円の中心位置から型紙にメモされている半径の寸法に従ってコンパスカッターで円を繰り抜きます。ポリ袋のビニールを二枚とも繰り抜いて出来上がりです。(写真右)

次に「標準タイプの安心パウチ」のポリ袋の加工についてです。

「標準タイプのポリ袋の型紙」に合わせてポリ袋の周囲をシーラーで閉じて行く作業になります。慣れない間は、先ず初めに、型紙の外周ラインと穴の中心位置をポリ袋にマジックで写して下さい。

ポリ袋が閉じられている両側と上部はそのまま利用するので、シーラーで閉じるラインは5か所になります。(写真左) シーラーは熱せられた直線のシリコン部材の間にポリ袋を挟み込んで熱溶着します。(写真中央) よって、マジックで引いたラインに対して1か所毎に、シーラーで熱溶着していきます。5か所が済んだら、熱溶着部分の外側の不要な部分をハサミでカットします。

次に、下敷きにビニール袋を固定し、型紙にメモされている半径の寸法に従って円の中心位置からコンパスカッターで円形にカットします。 ポリ袋の二枚のビニールを二枚ともカットして出来上がりです。(写真右)

次に粘着シートにポリ袋を接着する作業です。

以下からの作業は「簡易タイプ」でも「標準タイプ」でも同じです。

粘着シートの剥離紙を下側にして下敷きに置きます。 粘着シートの穴の縁に沿ってボンドGPクリヤーを押し出しながら1㎜程度の巾でボンドを乗せて行きます。ボンドが多過ぎると内側にはみ出して面倒な事になるし、少な過ぎるとハガレの原因になるので注意してください。 穴の周囲にボンドを乗せ終えたら、ポリ袋の位置を合わせて、上から被せ、軽く押さえ付けて接着します。(写真左) やり直しが利かないので、この作業が一番の難関といえます。 

位置合わせは、粘着シートの穴とポリ袋の穴が同心円の位置関係になる位置です。 慣れれば目視で上下左右の位置を調整しながら接着できます。 しかし最初は難しいと思われるので、下敷きの上にポリ袋の型紙を置き、その上に粘着シートの穴が同心円になるよう置きます。(写真中央)  この状態で粘着シートにボンドを乗せ終えてから、ポリ袋を型紙の外形に合わせ、上から押さえて接着する方法でも良いでしょう。 接着されたボンドの浸透具合をビニール越しに確認できるので、接着されていない部分は補修して下さい。(写真右)

最後に、粘着シートの穴からはみ出ているポリ袋をカットする作業です。

粘着シートとポリ袋を接着し終えた段階では、粘着シートの穴から内側方向にビニール1がはみ出しています。よって、粘着シートの内側の縁に沿ってはみ出ているビニールをカットしていきます。 カットする際にビニール2を一緒にカットしないように注意して下さい。 使用するハサミは、面板の開口部をカットする際に使用するカーブ付きの小バサミをお薦めします。  粘着シートの内側に開けられた穴は面板との間にスリットを形成し、漏れた排泄物を取り込む為の重要な穴です。 ビニールの切り残しが無い事をチェックして完成です。

以上で、「安心パウチ」のユニット部分が完成です。 次のステップでは、ユニット部を面板に取付けて「安心パウチ」付き装具の完成になります。

 


011「安心パウチ」を自作する手順(その2) 型紙の設計

2021年02月28日 | 「安心パウチ」を自作する手順の解説

今回は「安心パウチ」付きの装具を自作する手順(その2)のステップになります。

(その1) 使う材料と道具の準備

(その2) 型紙の設計………………今回の解説

(その3) 「安心パウチ」ユニットの制作

(その4) ユニットを面板に取付けて完成!

 

初めに、粘着シート(固定用伸縮性粘着シート)の型紙の設計です

面板の形状には、図のピンクのように円形、正方形、楕円形…等があります。図に示すように粘着シートに面板を左右方向と上方向が同じ寸法になる位置関係にして押し当てます。その際、粘着シートの切込みがある側を上方向にする事により、装着時に切込み部分を利用できて便利てす。(図を参照して下さい) 上方向と左右方向の位置が決まったら面板の外側に沿って「面板ライン」をペンで記録します。

次に、この「面板ライン」よりもスリット巾分として1~3㎜を大きくして「内側ライン」を描きます。そして、粘着シートの大きさに収まる範囲で、成るべく広い面積になるように「外側ライン」を書き込みます。図示のように八角形にする事がポイントで、効率的に広い粘着シートの面積を利用できます。 尚、図では粘着シートの上方向の巾よりも下方向の巾を広くしています。これは、排泄物が下方向に流れ落ちて負荷がかかり易い事を考慮していて、下方向の粘着シートを剥がれ難くする為の工夫です。(勿論、均等でも構いません) ブルーの面で示した部分が粘着シートの形状になりますので、これらの位置関係を粘着シートの型紙として写し取っておいてください。

特殊なケースとして、面板が大きくて1枚の粘着シートに収まらない場合は二枚の粘着シートを連結して下さい。2枚のシートの端同士が重なる位置に配置し、一方のシートの粘着部を他方に貼り合わせれば連結できます。(後日、詳細をアップする予定でいます)

次は、使用するポリ袋についてです。

使用するポリ袋は、面板の横巾よりも2~4㎝程度広い巾のポリ袋を使用して下さい。市販されているポリ袋の中から、巾が一番近いものを選んで使用することとします。広すぎるとポリ袋が粘着シートからはみ出して皮膚に接触し、汗によるベタ付きの原因になります。狭すぎると面板との接着作業が難しくなります。

ポリ袋の型紙の設計です。

ポリ袋を構成する外側の面(ビニール2)には、面板に接着する部分の円形の穴を開ける必要があります。その為の型紙をポリ袋用の型紙として設計します。

2品系装具の場合は嵌合部分の外側の寸法を物差しで測り、嵌合した時にビニール2が挟み込まれないように2~4㎜を加算した寸法が円の大きさになります。(写真左側) 単品系の場合は、面板とパウチの接合部分の外径寸法をものさしで計かり、1~3㎜を加算した寸法が円の大きさになります。(写真右側はパウチ部分を捲り上げた状態を示す) 尚、装具には補助ベルトを取付ける為のタブが付いているものがあります。右側の装具はその一例ですが、タブ付きの面板の場合、ビニール2はタブと面板の間に挟まる形で取付けられます。よって、タブの付け根同士の間を計測してください。

ポリ袋に開ける円の大きさが決まったらば、次に円の中心位置を決めます。図左側のように、左右方向と上方向が同じ寸法になるように円の中心を決めるのが基本になります。円の中心にマークをし、円の半径をメモしておきます。

「簡易タイプの安心パウチ」の場合はここまでの位置関係を簡易タイプのチャック付きポリ袋の型紙として記録します。その際、チャックの位置が上側になるように配置します。(万一、チャックが間違って開いたとしても被害を最小にする為)

標準タイプの「安心パウチ」の場合はシーラーを用いてビニールを閉じて余分な部分をカットして理想的な形状にする事が出来ます。円の中心位置は左右方向と上方向が同じ寸法になる位置関係にするのは簡易型の場合と同様です。円の中心位置にマークをし、円の半径をメモしておきます。 下方向の長さは10~35㎜大きい寸法にします。これは下方向に収容される排泄物の容積を確保する為で、特にイレオストミーやウロストミーは漏れた時の量が多いので必須です。(図右側参照) 逆に寸法が大き過ぎると皮膚に当たるビニールの面積が多くなり皮膚障害の原因になり易くなります。 次に、四隅の余分な部分と角をカットする45度のラインを引きます。これは四隅が皮膚に接触するのを防止する為です。以上の位置関係を標準タイプのポリ袋の型紙として記録します。

以上で粘着シートとポリ袋の型紙の設計は完了です。

次のステップ(その3)は、いよいよ「安心パウチ」ユニットを製作して行きます。