ある富豪の家に、とても美しい女の人が訪ねてきました。豪華な服を着て、見るからに気品のある女性でした。その女性は、「私は吉祥天と申します。 福徳を授けにきました。」といいます。福の神の出現に、この家の主人は大変に喜んで招き入れました。
すると、そのあとからもう一人の女性が入ってこようとしています。こちらは、見るからにみすぼらしい格好をした醜い女性でした。
「おまえは誰だ。」と主人が尋ねると、「私は黒闇天と申します。私の行くところ、必ず災厄がおきる貧乏神です。」と後からきた女性が答えました。主人は、貧乏神に家の中に入ってこられてはかないませんので、「おまえなんか、とっとと消え失せろ。」と怒鳴りました。
すると、黒闇天は大声をあげて笑いました。
「さっき入って行った吉祥天は、わたしの姉なのです。わたしたち姉妹はいつも一緒に行動しています。わたしを追い出せば、姉の吉祥天だってこの家から出て行くのです。」
そして、吉祥天と黒闇天は、並んでその家を去って行きました。
このお話は、「大般涅槃経」に載っているお話です。
「禍福は糾える縄の如し」という格言があります。
人生には、良いときも悪いときもありますが、財産を得た人が、後々借金に苦しんだという話や、一病息災という言葉があるように、病人の方がかえって長生きするということも、しばしば聞く話です。
私たちは、幸せを手に入れても、その次の幸せを探し始めます。キリの無い幸せ探し、それは、欲となり、いつのまにか幸せ探しは不幸せへとすり替わります。
真夜の蕾がすこしづつ開いてきました。もうすぐ開花です。
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