不況撃退策として大胆な金融緩和、
さらにメガバンクによる通貨発行を提言
今こそ政府・日銀はメガバンク通貨の発行を検討せよ!
[HRPニュースファイル594]より
「『メガバンクも30兆円ぐらいまでなら1万円札を出してもよい』ということ
にすれば、一年で景気は回復します」―――。
(大川隆法著『日本の繁栄は絶対に揺るがない』幸福の科学出版)
幸福実現党・大川隆法総裁はリーマンショック直後から、不況撃退策として
大胆な金融緩和、さらにメガバンクによる通貨発行を提言しています。
現在、日本の金融政策が世界的な注目を集めていますが、メガバンク通貨の
発行を唱えているのは幸福実現党のみです。
そこで、「なぜメガバンク通貨なのか」を考えたいと思います。
◆「緩和に次ぐ、緩和」が世界の潮流
昨年末の衆院解散から日経平均株価は43%上昇し(参照3/30日経朝刊)、
株式市場から景気回復の兆しを見ることができます。
一方、工業生産や失業率、インフレ率など実体経済の動向を表す指標の改善は
遠く(参照3/30産経)、一般国民の懐具合が実感を持って良くなる段階は
まだ先です。
アメリカでは早くからの「大胆な金融緩和」が功を奏し、NYダウ平均株価は
最高値を更新し続けていますが、やはり実体経済を表す指標の改善は遅れて
います。
バーナンキ連邦制度準備理事会(FRB)議長は「失業率が6.5%に低下するまで
資産を無制限に購入する」と表明しておりますが、これは「たとえインフレ率
が目標とする2%を超えたとしても、失業率の改善が思わしくなければ、
さらに緩和を続ける」というメッセージです。
現カナダ中央銀行総裁であり、次期イングランド銀行総裁の
マーク・カーニー氏は、インフレ目標に代わって、名目GDP目標政策を提言し、
議論の的になっております。
名目GDP成長率=インフレ率+実質GDP成長率なので、「中央銀行はインフレ率
だけでなく、実質GDP、すなわち企業や国民の実際の経済状況にまで責任の
範囲を広げるべきだ」という主張が背景にあります。
緩和に次ぐ、緩和――これが世界の潮流であり、中央銀行の責任と権限は
拡大に向かっています。
◆金融緩和の仕組みと限界
ところで、金融緩和はどのような仕組みで行われるのでしょうか。
企業が銀行に預金口座を持つように、民間の金融機関は中央銀行に口座
(日銀当座預金)を持っております。
通常の金融緩和では、中央銀行が新しく発行したお金で民間の金融機関から
短期国債を購入し、金融機関の預金口座にお金が振り込まれます。
日銀は金融機関の日銀当座預金を潤沢にし、金融機関の資金繰りを助ける
ことで「銀行システム」を安定化させます。
ところが、実際に雇用を増やしたり、従業員に賃金を支払ったりするのは、
「銀行システム」の先にある企業です。
中央銀行は「銀行システム」を安定化させることはできても、企業の
資金繰りを直接、助けることはできません。
現在、日本やアメリカなどが直面している問題は、最大の資金供給源である
中央銀行と一般経済との間に直接的な資金供給ルートがないということに
起因しています。
(参照:竹森俊平著「アベノミクスの本質を読み解く」,『Voice』3月号)
◆政府・日銀はメガバンク通貨を検討せよ
そこでバーナンキFRB議長がやってきたことは、短期国債の購入を通じた
資金供給を超え、住宅抵当証券(MBS)など値下がりが予想されるリスク資産を
直接購入するということです。
中央銀行による民間リスク資産の購入は、リスク資産の価格を維持させつつ、
一般企業への直接的な資金供給ルートを開きます。
日本でも日銀新体制の下、企業の社債や手形、株、上場投資信託(ETF)、
不動産投資信託(REIT)などの民間のリスク資産を買い増していく方向で調整が
進んでおります。(3/30読売朝刊)
ところが日本はアメリカと異なり、「証券市場の未発達」という問題を抱えて
おります。
2%のインフレ目標達成のためには、100兆円以上の資金投入が必要だとの
分析がありますが、それに対して、例えば日本のREITの市場規模は7兆円程度、
東証一部の時価総額でさえ300兆円程度です。
日銀がデフレ脱却のために、100兆円を超えるリスク資産を購入し続けた場合、
日銀が日本の主要企業の筆頭株主になるという事態も生じかねません。
ありとあらゆる手段を用いた金融緩和は景気回復のために不可欠ですが、
それは日本企業の国有化政策、特定資産の価格支持政策、社会主義政策として
の側面を持っていることも否めません。
(参照:大川隆法著『政治の理想について』第4章,幸福の科学出版)
だからこそ、政府・日銀は幸福実現党が提唱しているメガバンク通貨の
発行を検討すべきです。
メガバンクに一定の通貨発行枠が与えられれば、自由市場の機能を損なう
ことなく、「銀行システム」の先にある企業への資金供給を活発化させる
ことができます。
メガバンクによる通貨発行は決して奇異なことではありません。
私たちは銀行に預金しますが、その預金は全て金庫にしまわれるのではなく、
投融資に使われます。
すでに預金・貸出業務を通じて民間銀行は新しくお金を創りだす機能を
持っており、メガバンク通貨の発行は、銀行の投融資能力を格段に高める
効果を持ちます。
世界に拠点を持つ三大メガバンクの投融資能力の向上は世界経済を牽引し、
日本をリーダー国家へと導いていく力になります。(HS政経塾2期生川辺賢一)
◆銀行貸出が順調に増加 アベノミクスの効果か?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5831
大手銀行の貸出しが順調に増えている。
4月1日付日本経済新聞によると、大手銀行の国内貸出残高は、3カ月連続で
前年同月を上回り、198兆円となった。
同紙の分析では、企業のM&A(合併・買収)が盛んになり、その資金が必要と
なったことと、アベノミクスの影響で円安になって輸入代金の必要額が増して
いることにあるという。
今後、この流れが一時的なものにとどまるか、あるいは本格的な景気回復に
つながるかは、企業が設備投資をするために銀行からの借り入れを増やす流れが
できるかどうかにかかっている。
金融緩和政策のキモは、巷間言われるような円高対策やデフレ対策の側面も
あるが、最も重要なのは、資金繰りに苦しんでいる企業にお金が行きわたるか
どうかにある。
金融緩和によって円高が円安になり、デフレがインフレになっても、円安や
インフレにはデメリットもある。現に、食品など輸入関連の価格は値上がり
しており、生活に打撃を与えつつある。
そもそも為替や物価はどちらに振れても、メリット、デメリットの双方が生じる
ものだ。そうした中で、金融を緩和しなければならない理由は、経済の血液で
あるマネーを市場の隅々まで循環させるところにある。
おりしも、4月からは金融円滑化法が期限切れとなり、中小企業への資金繰り
支援は打ち切られる。5万とも10万とも言われる中小企業が倒産するという声も
出ており、せっかく順調に景気を上向かせつつあるアベノミクスに水をさす
ことになりかねない。
今後、新体制に入った日銀が、期待通りに強力な金融緩和を断行すれば、銀行
も企業も前向きに投資できるようになる。じわりと増加しはじめた銀行の貸出し
の流れを止めてはならない。
ただでさえ、朝鮮半島有事やキプロス発のユーロ危機が懸念される中、
消費増税などの景気回復に深刻な影響を与えかねないネガティブな政策は
避けておくべきだろう。(村)
【関連記事】
2013年2月号記事
世界大恐慌を食い止めよ 「バランスシート至上主義」の罠
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5366
2013年3月号記事
そもそモグラのそもそも解説
1.アベノミクスって何?
2.「活断層の上の原発は危ない」って本当?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5529
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