2014年、中国の海洋進出と日本の対応(1)
[HRPニュースファイル880]より
文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩
◆日本と中国のどちらが軍国主義か?
昨年末、安倍首相が靖国神社を参拝致しましたが、中国は米国やロシアまで
巻き込んで日本に対して「軍国主義の復活の兆しだ」と批判しています。
首相の靖国参拝が「軍国主義の兆し」というなら、中国の近年の軍事拡大や
海洋進出は「軍国主義そのもの」であり中国に日本を非難する資格はなく、
日本は中国の覇権主義から防御する立場にあるだけのことです。
では、2014年新年早々から、日本を「軍国主義の兆し」と批判できない
中国の海洋進出の事実を明らかにしてみましょう。
◆新年早々から緊張が高まる尖閣海域
尖閣海域では中国は1月前半だけでも以下のような動きを取っています。
(1)6日、尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で、中国海警局の
船4隻が航行。中国当局の船が尖閣周辺で確認されたのは、年末から9日連続。
(2)7日、中国国家海洋局の航空機1機が日本の防空識別圏に入り、尖閣諸島
の領空から約140キロまで接近。空自がスクランブル。(1/7産経)
(3)7日、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国海警局
「海警2113」が付近の中国漁船に乗り移り、「立ち入り検査」をした可能性。
(1/7産経)
※中国公船が日本の排他的経済水域において、中国漁船の立ち入り検査を
行った意図は、「尖閣諸島周辺の海は中国の海である」という「既成事実」
を積み上げるためである。
(4)12日午前、尖閣諸島沖で中国海警局の「海警」3隻が約2時間、
日本の領海を航行。中国公船の領海侵入は今年初。(1/12時事通信)
◆南シナ海での中国の横暴
1月1日から中国は、南シナ海で「外国漁船に対する管理強化」を開始しました。
これは、指定区域に進入する外国漁船に、中国側の許可を得るよう要求
するものです。(1/10産経)
詳細を記すと、昨年11月末、「中華人民共和国漁業法」の実施規則を改訂し、
同規則35条で「海南省の管轄水域に進入し、漁業生産や漁業資源調査を行う
外国人、外国漁船は、国務院(政府)の関係部門の許可を得なければならない」
と規定しました。
さらに漁業法46条で「違法」に管轄水域に進入した外国船舶の追放や、
漁獲物・漁具の没収、50万元(約870万円)以下の罰金の徴収を認めています。
中国の英字紙、チャイナ・デーリーは、「警察当局が船内に乗り込み、
航路の変更や航行の停止を命じることが可能になる」と報じています。
中国メディアによると、中国海軍は昨年、フリゲート艦など17隻を新たに
配備し、外国船を取り締まるため南シナ海を管轄する南海艦隊には最も
多い軍艦7隻を投入する予定です。
南シナ海は、ベトナムが領有を主張するパラセル諸島とフィリピンが領有を
主張するスプラトリー諸島を含んでいますが、すでに中国は2007年一方的に
この海域に「三沙市」を設けています。
この海域は「200万平方キロメートルの海域で適用され南シナ海の大半を
占めており(1/11朝日)、当然、南シナ海の領有を主張してきたベトナム、
フィリピンは反発を強めています。
◆今後、東シナ海で起こること
今後、尖閣諸島を含む東シナ海で起こることは、南シナ海で起こったことを
みれば予測できます。
なぜなら中国は日本列島とフィリピンを結ぶ「第一列島線」の内側、つまり
「東シナ海」と「南シナ海」を同様に位置づけ、支配の触手を伸ばそうと
しており、その中国の戦略は「南シナ海」の方が先行しているからです。
上述の「南シナ海」で起きていることから今後、1年2年以内に東シナ海で
起こることを予測してみましょう。その前にもう一度、中国が南シナ海で
行ったプロセスを整理してみます。(参考2014.1/8産経)
(1)南シナ海の領有を一方的に宣言(「三沙市」の設置)
(2)領有の根拠となる国内法整備(「中華人民共和国漁業法」)
(3)海洋調査の実施・中国漁船の出没
(4)公船による法の執行(立ち入り調査・漁獲物・漁具の没収、罰金の徴収)
(5)軍艦の出動
(6)占領と実行支配の既成事実化
前述通り、尖閣海域で中国公船が中国漁船に対して「立ち入り調査」を行い、
中国の海にしようと既成事実化しています。現在、東シナ海の尖閣海域に
おいては、(4)の段階であると分析できます。
今後1~2年後には、日本漁船の拿捕や臨検など中国公船による管轄権執行、
そして次の段階の(5)軍の出動に進むことは間違いありません。
次回は今年東シナ海、西太平洋で中国が計画している海洋軍事訓練を明らかにし、
日本は如何に対処すべきかについて言及します。
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