迎撃ミサイルPAC3やSM3があれば
本当に安心なのか
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高木 よしあき氏 、ブログ転載
3月27日、北朝鮮が人工衛星と称して発射を予告している
弾道ミサイルが日本に落下する場合に備えて、防衛相は自衛隊に
「準備命令」を発令しました(※)。
具体的には、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットPAC3と、
海上自衛隊の海上配備型迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦を
展開する準備を行うものと思われます。
発射された弾道ミサイルを迎撃する手段として自衛隊が保有
するのは前述の2つですが、有事の際に実際に機能するかは
疑問があります。
今回の北朝鮮による発射予告は、いつ、どこから、どこへ向かって、
幾つ発射するのか、事前に概ねわかっているので、迎撃すると
なれば、成功する確率は高いのですが、有事の際はそれらの
事前情報の把握は困難です。
実際、北朝鮮が保有する日本を射程内に収める
中距離弾道ミサイルのノドンは、数百基が実践配備済みとの観測があり、
その発射台は固定式に比べて位置の特定が困難な移動式と
されています。
従って、数に限りがあり、射程距離も限られ、試射でも命中率が
100%ではないPAC3やSM3で、有事の際に日本を守り切ることは
難しいのが現実です。
こうした状況を踏まえると、日本政府は迎撃体制を整えつつも、
北朝鮮にミサイルを「撃たせない」ように、米国、韓国、ロシア等
と連携し、外交上の圧力を強めることが賢明です。
しかし、北朝鮮のミサイル発射に際し、事前に対処することが
できる方法がほかにもあります。
それは、以前、国会でも議論のあった敵地先制攻撃です。
相手国が日本に対して明確な攻撃意図を持っているとしても、
戦争行為に直結する先制攻撃が可能か議論の余地はありますが、
抑止力という意味でも敵地先制攻撃のオプションを日本が保持
することは重要です。
現状で、自衛隊が保有する敵地攻撃が可能な兵器は、護衛艦による
艦砲射撃と、航空自衛隊のF-2戦闘機と精密誘導弾JDAMの組み合わせ
程度です。
前者は、攻撃可能なエリアが海岸近辺に限られ、相手に察知
されないように近づくことが困難なうえ、浅い海では2年前の韓国の
哨戒艦撃沈事件のようなリスクがあります。
後者は、空中給油を行えば、比較的広範囲に作戦が可能ですが、
同じように人的被害のリスクを考慮しなければなりません。
従って、現状で自衛隊が敵地先制攻撃を行うことは困難です。
そこで、今後、考慮すべきが、以前から一部で議論のあった、
自衛隊による巡航ミサイルの保有です。
米軍が保有する巡航ミサイルのトマホークは潜水艦から発射可能な
タイプがあり、海上自衛隊が配備すれば強力な敵地先制攻撃手段に
なります。
巡航ミサイルは、既に、中国、ロシア、韓国、台湾など日本周辺の
多くの国が保有しています。実際に、巡航ミサイルですべての
移動式発射台を叩くことは困難ですが、戦略的に強力な抑止力となります。
2009年の北朝鮮によるミサイル発射の際には、米国の国防次官補が
「日本が敵基地攻撃能力の獲得を決めれば、米国は当然できる限りの
方法で支持する」と述べています。
今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射を機に、こうした敵基地攻撃能力に
ついての議論を進めるべきではないでしょうか。
※:3月27日付産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120327/plc12032708090014-n1.htm
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転載、させていただいた記事です
http://takagi-yoshiaki.net/3006.html
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